完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*16*
彼__、アイビーは、純粋に驚いたような顔をした。そして、何か重たい荷物を下ろしたような、すっきりした表情になった。
「……ありがとうございます」
アイビーが出会ってから初めて、心の底からの笑顔を浮かべた。
花が綻んだような、きれいな輝いた笑顔がとても印象的で。何故だか私はその時、胸がきゅうっと切なくなった。
そうだ、その時から私はアイビーが__。
何かを振り落とすような勢いで私は頭を振った。だめだ。アイビーはただ、職務を果たしているだけなんだから。
ああでも、アイビーに出会ってから毎日が前よりも楽しくなったのは事実だ。アイビーは、私のことをよく考えて、時に優しく、時に心配してくれる。
それで、十分じゃないか。例え、仕えている相手としか見られてなくても。
結局、私はアイビーと「彼」のどちらが気になっているんだろう。どっちつかずだなあ、私、と苦笑した。
もしかしたら、「彼」がアイビーだったりして。私はふとそう思った。
PR