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貴女と言う名の花を
作者: 彼方  (総ページ数: 34ページ)
関連タグ: 恋愛 
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10~ 20~ 30~

*20*


第零章*アネモネ-2*

ぼくはきみのことならぜんぶ知ってる。
ぼくはきみのことだけを愛してる。
きみはぼくと目が合うと笑いかけてくれる。

これって相思相愛でしょう?
きみはぼくの名前を知らないけれど、名前なんて知らなくても愛は芽生えるでしょう?

みんなは違うって言うけれど違わないよね。
ぼくたちの間に芽生えてるのは本当の愛。

ぼくたちの愛を邪魔なんてさせない。そんなやつ、ぼくがみんな片付けるから安心してね。

なのに、きみはぼくがいるのにまた、違う女と仲良くしてる。

きみの口からあいつの名前は聞きたくない。
あいつの口からきみの名前は聞きたくない。

やめて。
やめて。
やめてやめてやめてやめてやめて。ぼくだけのきみをけがさないで。

そうだ。
あいつなんていなければいいんだ。あいつなんてコロしちゃえ。
あは。
あはは。
あはははははははははははは。


____どうして?

どうしてきみは、ぼくを拒むの?
どうしてきみは、ぼくをそんな目で見るの?
どうしてきみは、あいつを庇うの?

ぜんぶきみのためなんだよ?
きみの目を覚まさせようとしてるんだよ?
何で?
何で何で何で何で何で?

何できみは、ぼくの愛を受け入れてくれないの?


____そんなきみなんて、きみじゃない。そんなきみなんて、いらない。


そうしてきみは、ぼくだけのものになった。
しゃべらないし、動かないけど、ようやくきみはぼくだけのものになったんだ。

でもおかしいな。
少しずつ、きみがくさっていく。少しずつ、きみがきみじゃなくなっていく。

やだ。いやだ。いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ。

ぼくは必死に探した。
きみがいつまでも、きれいなままで生き続ける方法。


____そしてぼくは、『禁呪』に手を染めた。

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