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*20*
第零章*アネモネ-2*
ぼくはきみのことならぜんぶ知ってる。
ぼくはきみのことだけを愛してる。
きみはぼくと目が合うと笑いかけてくれる。
これって相思相愛でしょう?
きみはぼくの名前を知らないけれど、名前なんて知らなくても愛は芽生えるでしょう?
みんなは違うって言うけれど違わないよね。
ぼくたちの間に芽生えてるのは本当の愛。
ぼくたちの愛を邪魔なんてさせない。そんなやつ、ぼくがみんな片付けるから安心してね。
なのに、きみはぼくがいるのにまた、違う女と仲良くしてる。
きみの口からあいつの名前は聞きたくない。
あいつの口からきみの名前は聞きたくない。
やめて。
やめて。
やめてやめてやめてやめてやめて。ぼくだけのきみをけがさないで。
そうだ。
あいつなんていなければいいんだ。あいつなんてコロしちゃえ。
あは。
あはは。
あはははははははははははは。
____どうして?
どうしてきみは、ぼくを拒むの?
どうしてきみは、ぼくをそんな目で見るの?
どうしてきみは、あいつを庇うの?
ぜんぶきみのためなんだよ?
きみの目を覚まさせようとしてるんだよ?
何で?
何で何で何で何で何で?
何できみは、ぼくの愛を受け入れてくれないの?
____そんなきみなんて、きみじゃない。そんなきみなんて、いらない。
そうしてきみは、ぼくだけのものになった。
しゃべらないし、動かないけど、ようやくきみはぼくだけのものになったんだ。
でもおかしいな。
少しずつ、きみがくさっていく。少しずつ、きみがきみじゃなくなっていく。
やだ。いやだ。いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ。
ぼくは必死に探した。
きみがいつまでも、きれいなままで生き続ける方法。
____そしてぼくは、『禁呪』に手を染めた。
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