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*22*
その間花言葉でも調べてようと、本棚からその本を取り出した。そしてベッドの上に座り、本を開いた。
その時、ふっと思い出す。そうだ。私、「感謝」を伝えられるような花を探して、見つけたその時に突発的な眠気に襲われてそれで____。
あの花の名前は確か……。
「……そう、これだわ」
それはカンパニュラという花だ。いつか本で見たベルのような、形をしている花で、淡い紫や桃色、水色などの色をしたとても可愛らしい花だ。
花言葉は、「誠実」や「感謝」。この花を見つけた時、私はなんてぴったりなんだろうと思った。これだったら、きっと私の感謝も伝わるはず。
と。がちゃ、とドアノブが回る音がした。アイビーがお盆を持って入ってきた。
「お嬢様、お食事を持ってまいりました」
そう言うと、アイビーは微かな音を立ててベッド脇の机にお盆を置いた。
「アイビー、頼みたいことがあるんだけど」
私はアイビーがお盆を置くや否や問いかけた。アイビーはそのままの格好で「はい?」と私を見た。
「カンパニュラの花を窓際に置いておいてほしいの」
アイビーは私がそう頼むと、一瞬考えてすぐに笑顔になり、
「かしこまりました」
と応えた。
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