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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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*14*

  ライデンside

「……そんなことあったのか。」

彼等の辛い過去を知って、俺はうつむいた。
ツバキは話を進める。

「……セイシュンは、心が壊れてしまったのかもしれない。私の、『この人たちやっつけて』だけが心に残ってるのかもしれない。だから……」

そこまで言って言葉を切った。

「……正直俺は、セイシュンはもう死んでるのかと思ったんだ。でも……ツバキに話を聞いて驚いたよ。」

イタルータは目を閉じる。彼なりにも思うところがあるのだろう。

「みんな大変だったんだねー。そのセイシュンって人、ちゃんと見つかるといいんだけど……」

ここまで無言だったネオンが口を開いた。
俺はそれに答える。

「……見つかるさ。組織LBSを追っていれば、きっとまた会える。あいつだってその組織を追ってるんだろ?」
「私、今度また彼に会えたらちゃんと言わなきゃ……ごめんなさいって。また会えて嬉しいって。」

ツバキは何かを決意したような顔をしていた。

「……あいつとは話したいこといっぱいあるからな。あいつは元から喋らないやつだったけど……」

イタルータも優しく微笑んだ。


「ち ょ っ と 待 っ た !」

突然響いた大声量。

「その任務、私達も手伝おうじゃないか!」

現れたのは、

「……え、ミカさん!?ミクロさんにフィギールさんまで!」
「アイリじゃないか!」
「ヤジータ!それに鎌のお前も……」
「名乗ってなかったか?レイドだぜ」

鎌の少女は不機嫌そうに答えた。

「……ライデン、みんな。俺達、これまで相手を蹴落として、ただ机に向かって勉強してって感じだったんだ。超つまんなかったよ。でも、仲間と協力して戦うお前らといる間は楽しかったんだ。だから、俺達はお前らに協力しようと思う。」

ヤジータはまっすぐ俺の目を見て語る。

「それに、そちらのツバキちゃんが悩んでると聞きましたからね?私が黙ってるわけがないのですよ!」

ミカンは誇らしげに話す。

「研究の材料にはなるかもしれないなー。」
「……フィギール、お前らはアイリ達を助けたから、味方だと認識することにする。」
「ヒャハッただダラダラしてるだけじゃあつまらないぜ!」
「ぼっ、僕も頑張る!みんなの力になりたいんだ……」

他の四人も、次々と名乗り出る。

「……ありがとう、いいよな、3人共?」

「……はい!とっても嬉しいです!」
「わーい!みんなでいた方が楽しいもんね!」
「……じゃ、王女様に報告してきますね」

3人共了承したようだ。

「……それじゃあ、明日任務に向かうぞ。よろしくな!」

『おー!』

明日の任務は、10人体制だ。














  ???改め、セイシュンside

吐き気がする。

昨日から体調がすぐれない。
幼い頃から病弱ではあったが、突然目眩がすることなどなかった。

ぐらりと視界が揺れ、その場に倒れそうになった。
膝をついて意識は保ったが、気を抜けば意識がとぶレベルだ。

……おかしい。

どうやら体調なんて関係ないようだ。

昨日の施設は汚染でもされていたんだろうか。明らかに薬品か何かの影響を受けている。

立ち上がろうとしても、脚に力が入らない。
今日はそこまで暑くないのに、身体中びっしょりと汗をかいている。

……呼吸が苦しい。

息はどんどん荒くなっていく。
落ち着かせようと深呼吸を繰り返すが、肺にうまく空気が入ってこない。

遂には耳鳴りまで鳴り始めた。

それは昔耳に張り付いた彼女の叫び声のような気がする。
……いや、それの呪いのようなものかもしれない。

視界がぼやけ、少しずつ暗くなる。意識が遠のいている気がする。

「(……まずい、早く戻らないと……)」

周りに人はいないが、今襲われればひとたまりもない。
なんとか立ち上がって1歩を踏み出した瞬間、僕はその場に倒れこんだ。

瞼が重くて開けない。まだ耳だけは辛うじて聞こえた。



「……見つけたぞ、セイシュン・グリオニオ」
「最上階に充満していた遅効性の毒ガスが効いたようだな。」
「……んで、こいつどうするんだ?」
「決まってるだろ、新種の食人植物の実験に使うんだよ」

首元に圧迫感を感じた。

「とにかく施設に向かうぞ。」

それを最後に、何も聞こえなくなった。

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