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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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*34*

  ヤジータside



……。


……?



真っ白な空間だった。

どういうことだろう。俺はさっきまで食人植物を……



<<だーっ!あんた全然武器のこと考えないんだから!>>



「……?」

脳に直接響いたような声は、俺の目の前から聞こえてきた。


<<ちょっと聞いてるの?ヤジータ!>>

「……風神鉈?」

目の前にいたのは一人の少女。

何故、俺が風神鉈だと思ったのかはわからない。だけど、見た瞬間にわかった。

<<そーよ、あんたの武器よ!>>

相変わらず頭に響く声。

「……ここはどこだ?それにお前……」
<<いいから話を聞きなさい!ったく、あんたってばアタシのこと全然考えてないんだから。アタシはあんたを認めて、あの子からあんたの武器になったのに。>>

早口でまくし立てているが、何を言いたいのかよくわからない。

「……あいつの無念を引き継ぐために、俺にお前は宿ったんじゃなかったのか?」
<<違う!あーもう鈍感なのね!あんたに宿ったのは、あの子の想いを継ぐためよ。>>

「……どういうことだ?」
<<あの子は死んじゃう直前にアタシにこう言ったわ。『ヤジータを助けてあげて』って。『きっとあの子はこの事を一生引き摺ってしまう、だから貴方が彼を支えてあげて』ってね。>>

風神鉈が話した彼女の言葉は、実際に彼女の声で再生されているような感覚になった。

<<だからねヤジータ。あんたは昔のこと考えすぎ。ミクロちゃんを守るのはいいけど、あの子とミクロちゃんを重ねちゃダメ。>>
「……でも、俺はあのとき……」
<<だ か ら!それを考えちゃダメなの。あの子はね、自分のせいであんたが悩んでほしくなかったのよ。あの子の気持ちを汲むなら、あの子の過去を切り捨てて。>>

風神鉈に聞かされた彼女の本心。
だけど、俺は……

<<ヤジータ。あんたはこのまま戦闘を続けたらエネルギー切れで倒れる。そうしたらミクロちゃんを独りにするのよ?それこそまずいんじゃないかしら?>>

……?

<<自覚してないかもだけど、随分ルーンが減ってるわ。アタシを使えなくなるのはもちろん、立ってもいられないんじゃない?そうなる前に、ちゃんと彼女に協力を申し出なさいな。つまらないプライドも、過去の無念も全部捨てて、もっと仲間を信じなさい。>>

……。

<<仲間を信じること。それが、一人でなんだってできるように努力したあなたが忘れていたことでしょう?>>



瞬間白い空間が崩れ、どこかへ堕ちていく。

そしてその先には、鉈をがむしゃらに扱う自分の姿があった。














「…ミクロ。」

目の前に霞がかかっているような気分だが、いったん風で食人植物を吹き飛ばす。

「手伝ってくれ、そろそろまずい。お前の協力があれば、こいつらの一掃は簡単だ。」

後ろで立っていたミクロは一瞬ポカンとした顔をしたが、すぐに肩に乗っていた三郎を降ろして薬品を構えた。

「……ったく、最初からそう言えばよかったんだ。」
「ミクロ、頑張れ!」

鉈を構え直す。食人植物の数は決して少なくはないが、俺ならやれる。


……いや、俺達なら。


「行くぞ!」
「おう!」




同時に駆け出し、食人植物達に襲いかかった。







  ???side

「……君は気付いてるんだよね?」

「……!?」

「俺のことも、ツバキのことも」

「ツバキ……?」

「……あ、知らなかったのか。ごめんごめん、忘れて。」







「……頑張ってきてね」

「は?お前何言って……ッッ!?」

「あはっ……!!」



「アッッハハハハ ハハハハハ ハハハハハハハハハハハハハハ ハハハハハハハハハ ハハハハハハハハ!!」

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