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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*36*

  ライデンside

こちら目掛けて矛を構えるセイシュンにサーベルを向ける。

「セイシュンを操っている人物……あいつしかいない……!」
「……ラ……、ライデン……!」

掠れた声でセイシュンが俺を呼ぶ。
そして次の瞬間に、セイシュンは矛を俺に振りおろす。
サーベルで受けるが、セイシュンはそのまま矛てサーベルを押し込んでいく。


「……セイシュン……!」
「……僕を、殺してくれ……!!君を殺したくない……!!」

絞り出したような声は、セイシュンの本心だった。

「やっぱり、俺を狙っていたってのは……」
「……ッッ!」

突然セイシュンが青ざめ、俺から距離をとる。

「厄介だな……あれだけの馬鹿力使われて、傷つけずに止めるのには無理がある……」

手荒だが、これしか方法がない……サーベルに流れる電流を、そのままセイシュンに向けた。

「ぐっ!?」
「雷に麻痺効果があったのは幸いだったな……」

電流が走り、セイシュンはその場に膝をついた。

「……しばらくは安全だろう。」



サーベルの構えを解いた瞬間、天井が崩れた。

「うわぁぁぁぁっ!」

上の階へ進んでいた全員が落ちてきた。

「お、お前ら!最上階ってこの上だったのか!?」
「そ、そうみたいだった……機械も止めてきたんだが……」

ヤジータに状況を聞き、辺りを見回す。

「……ここ、なんか変じゃないか?」
「そうだな……ところで、セイシュンは?」

麻痺の効果で動けなくなっているセイシュンを指差し、「しばらくは動けないはずだ」と付け足した。

「……セイシュンを操っていたやつって……」
「……ああ。」

この場にはまだ現れていない。

「機械を壊したってことは、もう世界樹の暴走は止まっているはずじゃないか?」

俺が問いかけると、一同は下を向いた。

「いや、残念だがそうじゃないんだ。」

下の階から現れたのは、シンとジンだった。

「無事だったのか!」
「あったりまえだ!……んで話を戻すけど、世界樹の暴走は止まってなかったんだよ。」

施設の機械を壊しても、ヒートの増幅は止められてもルーンの回復はできないってことか……

「恐らく汚染した世界樹自体をどうにかしないといけないんだと思うんだ。」
「世界樹自体って、どうすれば……」





考えるあまり、気づかなかった。

「……ライデンッッ!!」
「なっ……」

他の奴等の死角になる位置で背後から俺を狙っていたセイシュンの姿を。
麻痺効果なんてそんな長い時間使えなかったか、と頭で冷静に分析できてしまう。
ガードも間に合わず、回避にも時間がない。






「……!!」

矛が何かを切り裂いた音がしたのに自分に痛みがないことに気付いて目を開いた。

セイシュンも大きく目を見開いて、広がる血飛沫を呆然と見つめる。

俺を庇って斬りつけられたのは……


「……ツバキ……!!」


セイシュンはその瞬間、糸が切れたように倒れ、ツバキもそのまま倒れこんだ。



「……まずい!」

ミクロとアイリが治療しようと駆け寄るが、次の瞬間……





「フフ、フフフフフフフ……」

ツバキはゆっくりと立ち上がって、含み笑いを続けた。


「やっとね……ああ、ようやく外に出られたわ!キャハハハハハハハハハハハハハ!」



ツバキとは違う姿になった化け物がそこにはいた。
一見人形に見えるが、形のはっきりしない赤い光……目が顔の部分に点り、ツバキの和風な髪型も、黒くパーマのかかったロングヘアーに見える。
足は膝から下が溶けているように存在していない。




「ありがとう……私を外に出してくれて。この姿が一定血を流せば、表と裏の人格が交代する仕組みなのよ……」




化け物は流暢に語る。そして……










「私が、世界樹から産まれた汚染部分の化け物なのでーす☆」




信じられないくらい明るい声が、施設中に響き渡った。

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