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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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*42*

  イタルータside



目を開けるとそこは真っ黒な空間だった。

死んだのか、とも思ったけどどうやら違うようだ。

俺の前に、二人の男女が並んだ。

「……誰?」

<<僕らは光線銃>>
<<貴方の光線銃>>

なるほど、魔武器の意思とやらか。

「なんで突然俺の前に現れたの?」

<<君を救うため>>
<<貴方をヒートから救うため>>

「へぇ……でも俺はこれから死ぬんだよ?救うもなにもないよ」

<<どうして?>>
<<どうして死ぬの?>>

「誰かに殺されるくらいなら自分で死ぬ。決めてたから」

<<君は殺されないよ>>
<<貴方は殺されないよ>>

「……どうしてそんなことがわかるの?」

<<みんなを信じてるから>>
<<これから貴方を救ってくれると信じてるから>>

「……。」

<<君は僕達の大切なご主人様>>
<<貴方は私達の大好きなご主人様>>
<<ヒートに邪魔されて話せなかったけど>>
<<貴方をずっと救いたかった>>
<<復讐の心から>>
<<壊れてしまった心から>>

「でも俺は……もうなにも信じられない。」

<<大丈夫だよ>>
<<絶対大丈夫だよ>>
<<君が今まで過ごしてきた>>
<<辛いことや悲しいことで埋め尽くされてきても>>
<<幸せだと思ったことが一度でもある>>
<<そんな不安定で美しい>>

<<<<世界を信じて。>>>>

「……俺は……」

<<だから、僕達は>>
<<世界が貴方を救ってくれると>>
<<僕達の願いを叶えてくれると信じて>>
<<最期の仕事をするよ>>

「最期……?」






彼等の後ろに亀裂が走り、黒い壁はガラガラと崩れていく。

<<君はもう苦しまなくていい>>
<<みんな一緒だよ>>
<<君の傍にいることができなくなるのは>>
<<とても寂しいけど>>

<<<<ご主人様の幸せを祈ってるよ>>>>



<<<<ごめんね、サーベルのお兄さん>>>>










完全に壁が崩れたとき、俺は現実に引き戻されたようだった。

霞のかかったような視界に映ったのは、バラバラに壊れた光線銃。
だけど、身体を食いつくされていくような、重い感覚はなくなっていた。


そのまま、視界は真っ暗になった。

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