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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*45*

  ライデンside

「うわ陰気くさっ」

ヤジータがふいに呟いた言葉は間違ってなかった。



世界樹の巨大な根。そのひとつが不自然に抉りとられ、ぽっかりと空いた空洞。
その中から発見された異常なまでの周波数。
恐らくこの中に、アヤ……ツバキがいるはずだ。

「随分と変なところに隠れ住んでるんだな」
「世界樹の周りの方が、ヒートを扱いやすいとかそんなもんだろ」

世界樹を解放できるかどうか、それは俺達3人にかかっている。
今になって恐ろしいくらいの不安が込み上げる。

学院で首席をとるほどの実力者であるヤジータなら勝てるだろう。たった一人で数々の組織を倒してきたセイシュンなら勝てるだろう。
だけど俺はネオンやイタルータと常に一緒で、一人でなんて勝てたことがない。サーベルの力がなければイタルータにも殺されていた。
そんな俺が……


「ライデン、大丈夫だよ。」

ふいにヤジータの声が投げかけられた。

「何があっても、俺はお前を信じる。お前はお前の戦いをするんだ。」

ヤジータの言葉に、セイシュンも僅かに微笑みながら頷く。

「……ありがとう」
「よし、行くぞ。」

3人で狭い空洞へと入っていく。



俺が通過したとき、入ってきた入り口は巨大な蔦で覆われた。













狭い道をくぐって辿り着いた大きな広間のような場所。
天井も床も真っ赤で、ところどころ草の緑が見える程度。

「……あら?貴方達が来たのね?」

そこに響いた声。

上空3メートル辺りに浮いているアヤは、俺達の目を覗きこむようにして見ている。

「ツバキを解放しろッ!!」
「あー、そっちの貴方はあのときの……残念だけど、ツバキちゃんを解放するためにばあるこどをしないといけないわよね?」

アヤがニッコリと笑う。

「ツバキの人格を閉じ込めているお前のヒートを、血と一緒に出しちまえばいいんだよな」
「そう!流石は学院首席様よね〜、頭いい!っと茶番はここまでにして……」


アヤの顔から急に笑みが消えた。


「貴方達って、まだ知らないのよね?世界樹が邪木になった理由。」
「理由って……そんなのお前の……!!」
「いいえ違うわ、確かに私は世界樹の中に宿っているヒートがなんらかの衝撃で逃げてしまわないように守ってるけど、そもそも私は世界樹から産み出されたの。私が最初な訳ないわ。」

「……それじゃあ……!」
「そう、元凶は別にいるってこと。いったい誰なのかしらねぇ……」

俺達は何も考えが出せないままいた。

「わからないのね。だったら教えてあげるわ、元凶のこと。その人は、闇のルーンを最初に産み出した人物、『ヒート』の魔力をそのまま受け継いでいる。まぁ魔力っていってもヒートなんだけどね。」

退屈したのか空中をふわふわ浮きながらアヤは話し出す。

「貴方達もこの話は知っているわよね?ヒートとルーンが激突して、ルーンの勝利で終わった争いのこと……あの後彼の魔力は誰の元へ行ったのかしら?」
「まさか……ルーンの中へ!?」
「そう!つまりルーンは制御していたけど、ヒートそのものを体内に宿したまま生きてたってわけ。すごいわよねぇ。で、その後ルーンは結婚して子供もできて、ルーンの血筋は今も絶えることなく続いているのよ。」

そして、とアヤは続ける。

「世界樹にはヒートのヒート、……あーちょっとややこしいわね……が宿ってるの。つまりはルーンの血筋を受け継いだ人物ってわけなのよ。」

俺にはわかってしまった。誰が元凶なのか。
昔両親に聞かされた話。そして自分のルーツ。
元凶は、全ての元凶は……
これまでたくさんの人を苦しませて悲しませて、たくさんの人を殺していった世界樹事件。

その、黒幕は……









「そうでしょ?ライデン・ルーン=ヴィエラヒルデ君?」




俺だったんだ。

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