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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*8*

  ライデンside

館内に俺達が駆け回る足音が響く。
どこまでいっても同じ景色ばかりだ。

「学院生徒はいったい何処に……?」

イタルータがぼやく。
もうかなりの距離を走っているが、未だに生徒どころか、内部の人間すら見つからない。

「……はぁっ……はぁっ……すみません私疲れました、止まってくれませんか……?」

ツバキの声で全員はその場で止まる。
必死だったからかもしれないが疲れに気付いてなかった。
ネオンだけはクレイモアで二の腕補強しているが、俺含む3人は手を膝について荒く息をしていた。

「ふぅ……見つかんねーな、人」
「一度ここの地図とかを探してみた方がいいかもしれないね。俺達が入ってきたのは入り口とは全く別の扉なんだから」


かさかさかさ、と音がした。


「……なんだ?」

甲高い声のネオンが、信じられないくらい低い声で辺りを見回す。

……俺達が走ってきた元の道から、またもや大量の食人植物が現れた。

「ここは私に任せて、みんなは休んでてねー!」

……ネオンは普段通りの能天気な声で、クレイモアを振り回しながら駆けていった。
ネオンを見送りながら、俺は食人植物の異変に気付いた。

身体が、血のように赤かったのだ。
食人植物は、通常身体が緑色をしている。退治した場合も死体は黒ずむだけ。赤いものなんて見たことがなかった。

しかしネオンは軽々と赤い食人植物を吹き飛ばしていく。
大したことがないのか……と思ったが、

「きゃっ!」

ツバキの悲鳴がとび、ようやく自分達のおかれている状況が把握できた。
目的方向からも、赤い食人植物の群れは襲ってきたのだ。

完全に挟まれた状態となった。

「ツバキ!ライデン!早く武器を!」
「は、はいっ!」

イタルータの指示で我にかえる。

俺はサーベルに雷を宿して、食人植物に斬りかかる。
しかし、自分の思い通りには進まなかった。

「なんだこいつ……!?腕が硬い!」

腕の部分が緑のものとは違い硬化されていたのだ。
形状も弱点も変わっていなかったが、身体の性能が違っていたのだ。

「腕の硬化が邪魔で矢が通りません!」
「なら脚か頭部を狙え!」

イタルータも銃を乱射するが、そこまでのダメージは与えられていないような気がする。

「くっ……!まずい!」

相手の素早く硬い腕で繰り出された攻撃を、俺の実力ではさばくことができなかった。

「ぐぁっ!」

俺はサーベルを盾にして攻撃の直撃を避けたが、力で押され近くの大型機械に激突した。
背中と頭部に鈍い痛みが広がり、ガシャンと音がなった。
サーベルは俺の手の届かない場所へ落ちた。

「ライデン!?」
「……くそっ」

体勢の立て直しに時間がかかったせいで、食人植物の次の攻撃が避けられない状態だった。

「ライデン!早く避けろ!」

イタルータの声が聞こえたが、サーベルがないため防御もできない。
腕を動かして、攻撃を避けようとした。




ーザンッ

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