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イナズマイレブン5 さすらいのヒーロー
作者: 南師しろお  (総ページ数: 44ページ)
関連タグ: イナズマイレブン 不動明王 パワプロクンポケット イナイレ しろお 
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第二話 風来坊の実力



 商店街をふらついていると、喫茶店の看板に「先着三名様まで新作コーヒーが無料」と書いてあり、空腹だった不動はふらりと入った。レンガ風の壁に机もアンティークなものだったが、雰囲気とは逆に出迎えてくれたのはメイド服を着た店員だった。
「いらっしゃいませご主人様! ただいま新作コーヒーが無料になっております」
 ハートマークが語尾に見えるような甘い声で店員は言った。
 席に座り、不動はコーヒーを頼む。
「かしこまりました! 他のご注文はどうなさいますか」
「え」不動は思わず間抜けな声を出した。「いや、コーヒーだけで良いぜ」
「はい? まさかコーヒーだけ無料で飲んで帰る気ですか?」
 笑顔だった女性店員の顔が怒りの形相に変わる。その迫力に押され、「ば、バナナパフェで」と不動は頼んでしまった。
 が、財布の中をのぞくと50円ほど足りなかった。手が止まり、不動の額に汗が流れる。
(や、やっべえ〜。どうすっか金がねえぞ!? 食い逃げしかないか?! いやそんなことしたらチームに迷惑がかかるだろ。ど、どうする、正直に言って皿洗いでも掃除でもなんでもやりますとか言うしかねえか!?)
「お待たせしました〜ごゆっくりどうぞ〜」
「あ」
「どうなされましたか?」
「い、いや、なんでもねえよ」 
「ビアンカさん、このバナナ男のお金は私が払うから」
「あ、京香さん。知り合いだったんですか! てっきり食い逃げかと」
「だ、誰がバナナだ! あと食い逃げじゃねえ!」
 裏返った声で不動が怒鳴った相手は京香だった。
「どうせお金ないんでしょ。いいよ」

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