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*20*
次の日、不動は権田に聞いて山口商店を訪ねた。米や酒を扱っている店のようだ。
制服の少女が出てくるかと思いきや、出てきたのは小柄だが筋肉質な、頭の真ん中がハゲているオヤジだった。
(誰なんだ、このおっさん)
しばらくの間オヤジと不動は無言で見合っていたが、やがてオヤジが、
「こいつか? きのうお前が言ってた男は」
「うん。ダメかなあ」
オヤジの後ろからひょっこりと出てきたのは制服の少女だった。が、今日は制服ではなく歳相応な洋服だった。
「見た目はまぁまぁだな。目つきが気にいらねえが」
パンパンと、オヤジは不動の全身を手でたたきまくる。
「うん、身体もしっかりしてる」
「よ、よお、なんで俺ここに呼ばれたんだ?」
「あれ、言わなかったっけ」
「じゃあさっそくコイツに行ってもらうか。仕事が溜まってんだ」
「行くってどこにだ?」
「だから、仕事だよ!」オヤジの声が大きすぎて、少女が何か言っているが不動の耳に入らない。
「お前仕事に来たんだろ?」
「仕事? それで、どんな仕事なんだ?」
「配達だよ配達! 今日お前は俺に代わってうちの店の『米』の配達をするんだよ」
「米の配達?」
「おうよ。いやな、この前腰やっちまってよお。重い物運べないわ、痛いわで、どうにもこうにも困ってたところなんだよ。さっそく行って来い!」
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