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イナズマイレブン5 さすらいのヒーロー
作者: 南師しろお  (総ページ数: 44ページ)
関連タグ: イナズマイレブン 不動明王 パワプロクンポケット イナイレ しろお 
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10~ 20~ 30~ 40~

*2*

 しばらく歩くと、カレーショップ・カシミールと看板に書かれた店についた。
「あら、いらっしゃ……あら、カンタ、後ろの人は?」
 店に入ると、若い女性がカウンターの中にいた。
「母ちゃん! 今日は友達を連れてきたでやんす!」
「カンタ、いい加減そのやんすというのはやめなさい」
 カンタの母は呆れ顔を見せる。
「それより、オイラを助けてくれた不動おじちゃんでやんす! お礼にカレーをご馳走してほしいでやんす!」
「初めまして」
「あ、ああ初めまして。カンタの母です。どうぞどうぞ」
 言われるがままに席につき、カンタとカレーを食べた。
 ここしばらくまともなものを食べていなかったので、不動はものの五分でたいらげてしまった。
「ごちそうさまでした」
「ありがとうございます。助けていただいて」
「やめてくれよ。さすがに、見逃せなくてな」
「ですが、悪いのはカンタのようなんです。車に落書きしたのは事実みたいで」
「それはあいつら、『イリュージョン』のやり方が汚いからでやんす! 元プロの選手まで連れてきて……。おっちゃんもみたでやんしょ、この町の人通りの無い商店街を。あいつらのスーパーに客をとられてるんでやんす」
「県の条例違反ってやつか。たしか、大型店の出店規制の条例だっけか」
 カンタの母が口をはさむ。
「とにかく、役所を動かそうと商店街もがんばってるんですが、なかなかうまくいかなくて。やっぱり役所も買収されてるのかも」
「元プロっていうのは?」
 と不動がカンタの母にたずねた。
「ええ。……ここのサッカーチームはもともと強くて、それを自慢にしていたんです。全国でもちょっと名前が通ってたくらいで。でも、イリュージョンのチームに負け続けるうち、ひとり、またひとりと辞めていっちゃって。お客さんだけじゃなく、スポーツでも勝てないって雰囲気になっちゃって……。って、こんな話されても迷惑でしたよね。すみません」
「いや。カレーうまかったよ。じゃあな」
 不動が店を出ると、カンタが後をついてきていた。
「おじちゃん! もう行っちゃうでやんすか」
「ああ」
「そ、っか」
 とぼとぼと去っていくカンタを、不動は「おい」と呼び止めた。
「気が変わった。よかったら俺にチームの会長を紹介してくんねえか」
「おお! おじちゃんはやっぱ見込んだ通りの男でやんす! ついてくるでやんす!」
(俺もお節介なやつだな)
 不動はため息をついた。


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