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イナズマイレブン5 さすらいのヒーロー
作者: 南師しろお  (総ページ数: 44ページ)
関連タグ: イナズマイレブン 不動明王 パワプロクンポケット イナイレ しろお 
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「よー不動。遊びにきたぞ」
 河原のテントの外にジモンがいた。
「ジモンか。暇ならランニングでも行くか? そういや前から気になってたんだが、お前はどこにテント張ってんだ?」
「俺は今パチンコ屋に住み込みで働いてるぜ。寝泊りもそこなんだ」
「お前住む場所があンのかよ。俺と同じ野宿だと思ってたんだがな……!」
「おーいおっちゃん、遊びにきたでやんすーってジモンのおっちゃんも一緒でやんすか」
 カンタがサッカーボールを持って遊びにやってきた。ジモンが首をひねって、
「おい坊や。俺はお兄さんだ」
「え? おじさんじゃないの?」
「礼儀のなってないガキだな。いいか、俺はこうみえても超林寺拳法のホープだったんだ。けっこうな腕だったんだぜ」
「でも、本当に凄い人は自分で自分を凄いって言わないって母ちゃんが言ってたでやんす!」
「いいだろう。そこまで言うならみせてやろう。俺の力を。はあっ!」
 ジモンが川に入って拳を水面にたたきつけた。すると、向こう岸まで川が真っ二つに割れた。
「す、すげーでやんす! 川が割れたでやんす!」
「どうだ。見直しただろう。だがこの技をできるようになるには20年は必要だぜ」
 そこで、不動が何かを思い出し、あ、と短い音を発して手をたたいた。
「そういや今日は配達の仕事があるんだったぜ。わりいな2人とも」
 
 不動は仕事のまえに、監督に呼び出されていたので集会所の喫茶店に向かった。まだ午前だったが、監督とボスのさちがいた。不動が席に着くと、さっそく米田が話し始めた。
「実はここ数週間の間に、商店街の経営が苦しい店全てに土地売らないか? と言ってきてる不動産屋があるらしい。名前は全部違うみてえだがな」
 不動はつまらなそうに答える。
「変な話だな。たぶんイリュージョンの差し金だろうが、どこから商店街の経営情報を盗んできてるんだろうな」
「イリュージョンがスパイでも送り込んでるんじゃないかしら」
 とさちが指摘した。
「それは無いと思いたいな」米田は首を振る。
 不動は身を乗り出し言った。
「だが、これでイリュージョンのやつらの狙いが、商店街の土地にある可能性が高くなったんじゃねえか?」
「そうかもな。けっきょくこの土地奪う狙いもよくわからねえがな……」
 米田もさちも黙りこくってしまった。不動は立ち上がり、上着を羽織る。
「まだ他のやつらは来てないみたいだが、仕事があるんで失礼すんぜ」
 米田は驚いて、「おめーさん仕事ができたのかい」と言った。
「ああ。時間がねえからその話はまたな監督」
 不動は店を出、商店街を通って山口商店に向かった。
 途中、京子に会ったが、不動が急いでいるのをみて手の平を見せるだけに終わった。
 山口商店での仕事を終えると、すでに日は沈んでいた。
「おう、お疲れさん」と山口が不動の肩をたたき、
「そうだお前、夜飯食ってけよ」と言った。
 不動は、別にいらねえっすよと断ったが、制服姿であらわれた貴子が「食べてよ明王さん!」と言うので、不動はご馳走になることにした。
「ついでに風呂にでも入ってさっぱりしたらどうだ。汗かいて気持ちわりいだろう」
「いや、そこまで気使わなくていいっての」

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