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*9*
日曜に、また不動が商店街をうろついていると、今度は京香に出会った。
「あら、風来坊さん。こんなところでどうしたの?」
「あー京香だっけか。ま、たまにはゆっくり町を見て回るのも悪くねえと思ってな」
「へーイナセねぇ。風流ねえ。カッコイイねえ!」
「おめーの店はどうしてんだ?」
「あたしは副業が儲かってるから。こうしてブラブラできるの。あ、どうせだからあたしが商店街を案内してあげるよ。それに町のことでまだ知らないところも多いでしょ?」
「たしかにな。じゃあ、お願いするぜ」
2人で町をうろつくことになった。
次の日の昼ごろ、不動が奈津姫のカレー屋に寄ると、大変な盛況で奈津姫は忙しそうにしていた。
「大変そうだな。ひとりでやってんのか」
「ええ。時々京香が手伝いに来てくれるけど、それでもなかなか大変です」
「そうかい。ごちそうさん」
自主的な練習をしにサッカー場に向かうと、権田が周りを走っていた。不動も準備をする。
「おや、不動か」
「監督か。こんなとこでタバコふかしてていいのかよ」
「まー気にスンナ」
米田監督も元々は選手だったが、歳で引退している。
「ああ、そういや俺たちビクトリーズは駅前の店を集会所にしてっから、こんどお前も来いよ。つってもほとんどサッカー中継見たりしてるだけだがな」
商店街の名前はブギウギ商店街という。チーム名は、ビクトリーズである。
「ああそいだ。21日に狂犬ドッグスと試合があるから、寝坊すんなよ」
不動は了解と短く返事し、ランニングに向かった。
「よお権田。試合のこと聞いたぜ」
「お前の実力は知っているが、油断はするなよ」
「へいへい」
「不動、お前が鍵になるだろう。しっかり頼むぞ。イリュージョンのチームには負けられないが、当然他の試合でも負けるわけにはいかない。これ以上商店街に傷をつけられないからな」
「俺に任せとけ。勝たせてやるからよ」