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*12*
ステージ7「夜の林」その二
この話の主人公、関索
一行、関索、井伊直虎
「ううん・・・」
関索は目を覚ました。
「は、私は、確かあの光線を受けて・・・」
目を覚ました彼は思い出していた。あの時、プリムが放ったダークキャノンのレーザーで自分はフィギュアにされたはず、フィギュアになってしまったファイターは誰かにプレートを触れられるまでは動けないはず、しかし、それを考える必要はなかった。
「!」
関索は何かの気配に気付いて振り返った。そこには鋭い爪にサングラス模様の中にあるつぶらな瞳、赤紫のボディの、いかくポケモンのワルビアルの姿があった。
「こいつは、まさか!」
関索は身構えた。あの時の森で現れたポケモンがまた襲いかかってきたのか、だがよく見ると、森の時のように影虫をまとっていないことに関索は気付いた。しかもよく見ると、敵意のない目をしている。自分がこうして体を動かせて近くにこのポケモンがいたことで関索はようやく気付いた。
「貴殿が、助けてくれたのか?」
関索が尋ねると、ワルビアルは強く頷いた。自分の偽物が迷惑を起こしたことに責任を感じてなのかは解らないが、頼もしい仲間が出来たことには変わらなかった。
「そうだ、直虎殿は無事だろうか?」
関索は直虎のことを思い出した。自分がいない間に亜空軍の攻撃を受けていたとしたら・・・。
「頼む、力を貸してくれ!」
「ワルル」
関索の頼みを聞いたワルビアルは素直に受け入れた。急いで、直虎の下へと走って行く。
「きゃあ!」
その頃、井伊直虎はプリム達との戦いに苦戦を強いられていた。プリムのパンチを喰らい、尻餅をついてしまった。
「く、まだまだ・・」
直虎は気力を振り絞ってプリム達に向かって行った。
「やあっ、はあっ!」
接近して蹴りで二体のプリムを倒して、ソードプリムの剣擊を白羽取りして足払いをした。しかしブーメランプリムがブーメランを飛ばして直虎を攻撃した。
「きゃあああっ!」
直虎は攻撃を喰らって、地面に転がった。何とか体を起こそうとするが、プリム達がじわじわと迫ってきた。
「ああ・・・来ないで、助けて・・・関索様・・・!」
直虎は恐怖に怯えて迫り来る亜空軍に泣き出してしまった。ソードプリムが剣を振り下ろした。その時、
「直虎殿!」
関索の声が聞こえてきた。そして両節棍から衝撃波を飛ばしてソードプリムを倒した。
「関索様、来てくれたのですね!」
駆けつけた関索に直虎は嬉し涙を流した。
「貴方に心配をかけてしまった。だがもう大丈夫だ!」
関索は直虎に手を差し出した。彼女はその手をしっかり握って立ち上がった。そして、ワルビアルも到着した。
「ひい、あのポケモン?!」
「心配ない、彼は見方だ」
関索が言うとワルビアルはプリム達に向かって行った。じならしをしてプリム達を怯ませた所で、関索達に攻撃を促した。
「心得た!」
関索は両節棍を手にしてプリム達に接近して無双乱舞、強烈回転脚をしてこれを一掃した。最後にワルビアルが突進してビッグプリムを掴みジャイアントスイングで投げ飛ばして、プリムの軍団を一掃した。
「ワルル」
「やったか・・・」
関索達は直虎に振り向いた。直虎は目に涙を浮かべて申し訳なさそうな顔をしていた。
「関索様!」
直虎は関索の胸に飛び込んだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・。私・・、私、強くなると決めたのに・・・」
「いや、私も貴方に謝らないといけない。私が気を取られたばかりに、貴方を危険に晒してしまった。本当にすまない・・・」
「すみません、関索様は悪くないんです。でも、助けに来てくれて、嬉しいです・・・」
「直虎殿・・・」
「関索様、すみません、薄々思っていたのですが、私、関索様が好きです・・・」
直虎は頬を赤くして今まで思っていた好意を関索に伝えた。
「奇遇だ、私もそう思っていた。これからは、君、と呼んでもいいかい?」
関索も彼女の思いを受け入れて、直虎を精一杯抱きしめた。ワルビアルが目を隠して恥ずかしそうに見ていた。
「か、関索様、見ています・・・」
「いいじゃないか、よく見せてあげようよ」
関索は直虎に口づけをかわした。直虎は恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせたが、嬉しさも一杯だった。
「直虎」
「はい?」
「君は私が守る、これから先、どんなことがあっても」
「はい、私のためにすみません、でも嬉しいです」
関索の言葉に直虎は愛らしい笑顔で応えた。旅はまだ続く。