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ステージ3「ジャングル」その二
この話の主人公、源義経
一行、源義経、自然王ナチュレ、電光のエレカ
呂布から退却した義経はジャングルの湿地に到着した。
「皆、大丈夫か?人っ子一人離れておらぬな」
「ああ、何とかな」
「この通りよ」
「レン」
命からがら撤退した義経一行は互いの無事を確認し合った。
「皆いるようじゃな。しかし、あの呂布と言うゴキブリ猿、恐ろしい強さじゃったな・・・」
ナチュレは呂布の強さを思い起こしていた。レントラーのみならず、義経やエレカをもたやすく退けてしまった、圧倒的な力。真正面から戦えばどうなるかは目に見えていた。
「呂布って奴、私のキックや光弾を受けても、全く歯が立たなかった・・・」
「ああ、奴は最強の武を求める武人だ。奴は強い」
ある異世界で義経は呂布と戦ったことがあった。そのため呂布の強さは骨に染み込んでいたほど感じていた。
「ふ〜む・・・」
ナチュレはしばらく考えると、何かをひらめいた。
「そうじゃ、これでいこうかの?」
「ん、なにかひらめいたのか」
義経が言うと、ナチュレは静かに頷いた。
「ふむ、知恵を使ってみようと思う。相手はあの呂布じゃ。戦わずして勝つ作戦を取ろう」
「戦わずして勝つ?」
「レン?」
エレカとレントラーは首をかしげたがナチュレはついて参れと、義経達をある場所へ案内した。そして、
「おう、あったあった」
草をかき分けて進んでいくと草だまりに、二つの卵が並んでいた。
「ナチュレ、これは?」
「見ての通り、タマゴじゃ」
「まさか、こんな変哲のない物が戦いの鍵を握っているのか?」
「ふっふ、ただのタマゴと見くびってはならぬぞ。重要なのはタマゴの中身じゃ。丁度、中の命が息吹をあげようとしておる。まあ、見ておれ」
そう言うと、ナチュレは呪文を唱えた。タマゴを魔法陣が包みそこから光が出てタマゴを包んだ。光によって温められたタマゴはグラグラと動き始めた。そして殻を突き破って新たな命が生まれた。
「キュ〜」
「クル〜」
イモムシのポケモン、クルミルとキャタピーが顔を覗かせた。
「こ、これがか・・・」
義経は呆気に取られた顔をした。作戦の一部というにはあまりにも頼りなさそうな感じがするのである。
「わ〜、可愛い」
一方、エレカは生まれたばかりの二匹を抱っこして高い高いをした。
「よし、これで準備は整った」
「え、もうすんだのか?!大丈夫なのか?!」
義経が心配になったが、ナチュレは見ておれ、と作戦を話しだした・・・。
一方、呂布は義経達を探してジャングルを歩いていた。邪魔な木々や枝を方天戟で切り倒していく。
「何だ?」
その時、呂布は何かの気配に気付いた。鋭い目をしてあたりを見渡すが敵の姿はない。しかし、その相手は、岩や草陰に隠れて隙を伺っていた。そして、その一匹が何かを飛ばした。
「ぬう!」
突然の不意打ちに呂布は背後に翻った。自分にくっついている物に目をやると、それは粘性の糸だった。草陰にキャタピーが隠れていたのがわかった。
「虫けらめ、くらえい!」
呂布は方天戟を振り下ろした。その衝撃でキャタピーが地面に叩きつけられた。しかしそこへクルミルが岩から呂布の背後に糸を飛ばした。呂布はクルミルに気付くが、そこへキャタピーが態勢を整えて糸を吐いた。糸は宙を舞って、呂布に降り注いでいく。
「おのれ、せこい手を使いおって!」
呂布は糸を振り払おうとするが、払えば払うほど糸が絡みつき、身動きが取れなくなっていった。
「どうじゃ、中々の作戦じゃろ?」
「なるほど、こういうことだったのか」
義経たちは、草木に隠れてクルミル達の戦いを見物していた。義経はこれを見てナチュレの考えを理解した。
「大男総身に知恵が回りかね、とは言うものじゃ。わらわ達はゆっくりと見物をしていればよい」
ナチュレはどこからか、湯呑を出してお茶を飲んだ。やがて呂布の体は糸まみれになり、崖に足を滑らせて、転がりながら落ちていった。クルミルとキャタピーは喜びの声を上げた。
「やったな」
ナチュレ達は呂布を撃退したのを見届けて、クルミル達に駆けて、その頭を撫でた。
「やるじゃない、貴方達はヒーローよ」
エレカはクルミルとキャタピーのおでこにキスをした。こうしてジャングルで暴れていた呂布を撃退した義経一行。しかし、冒険は始まったばかりである。亜空軍の侵略は続いているのだ・・・。