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スマブラ セカンドストーリー 復活の亜空軍
作者: たくと七星  (総ページ数: 39ページ)
関連タグ: スマブラ オリジナル 他社キャラ 夢の共演 アドベンチャー 
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10~ 20~ 30~

*5*

ステージ4「荒廃した動物園」

この話の主人公、ヒュウ


 雲が流れていく大空。下では亜空軍の侵略が始まっているにも関わらず、思わず穏やかになってしまう青い空だった。そこを、流れるように羽ばたく天使がいた。
「ピット、行きます!見ていてください、パルテナ様!」
 そう、かつてマリオ達と亜空軍と戦った数少ないファイターの生き残り、ピットである。再び復活した亜空軍の討伐を命じられたのだ。気分は爽快、旅は順調、と思いきやピットの羽から光が消えた。
「げ、こんな時に・・・うわあーっ!」
 飛ぶ力を失くしたピットは真っ逆さまに落ちていった。そしてここ、荒廃した動物園で、
「やけに静かじゃねえか・・・」
 殺風景で錆びれた動物園を青黒い逆立つ髪に赤いトレーナーを着た少年が歩いていた。荒廃した動物園は恐ろしく静寂していて不気味さを漂わせていた。
 周囲を見渡しながら歩いていると、どこからか声が聞こえてきた。されどその声の主は見えず、だがそれはどんどん大きくなっていく。
「まさか・・・!」
 少年は上を見上げた。すると自分の方へ落ちてくる天使が見えた。ピットである。
「ちょっとそこどいてーっ!!」
「何だーっ?!」
 ピットは敢え無くその少年と激突した。ゴツーンと高い音が響いたのは言うまでもないことである。
「痛って〜」
「痛たた・・・」
 ピットと少年は頭を撫でて痛みを和らげようとした。そこで二人は目があった。
「え、天使?」
 少年はピットを目にして戸惑いを隠せなかった。自分の目の前に天使がいるのだから。彼からすれば天使は架空の存在と見ておかしくないからだ。どうすればいいか困ったが、ピットの方が声をかけてきた。
「あ〜、ごめんなさい、怪我はしてない?」
「いや、別にこれくらいどうってこともねえけどよ」
「良かった〜。もし大事になったらどうしようかと思って」
 ピットはホッと胸を撫で下ろして自己紹介をした。
「僕はパルテナ親衛隊隊長のピットだ」
「隊長?てことは、お偉いさんなのか?」
「その通り、隊長と言うんだから凄く偉いのさ、えっへん!」
 偉い人と言われてピットは鼻高々に胸を張った。まんざらでもない嬉しそうな顔をした。
「しっかし、俺くらいの年代に見えるのに隊長だとは、驚きだな」
「な、失敬な!目上の人は敬うものだぞ、そもそもパルテナ親衛隊と言うのはだな、ぺらぺらぺら」
「あ〜、解った解った、解ったよ」
 ピットの話がグダグダになると思った少年はその場で切り上げた。
「本当に解った?まあいいや。君の名前は?」
「俺か、俺はヒュウ。ヒオウギシティのポケモントレーナーさ」
「ポケモントレーナー?」
 ヒュウの言葉にピットは、かつて亜空軍の戦いでリュカと言う少年と一緒にいたあのポケモントレーナーを思い出していた。二人共いなくなってしまったが。とその時、地面が割れる音がした。
「な、何だ?!」
「何か、出てくる?」
 地響きで揺れる体を抑えていたヒュウ達に地面から三つ首の邪龍が現れた。
「何だ、この蛇みたいな奴?!」
「三つ首のヒュードラー?」
 ピットはその怪物に見覚えがあった。その敵は幾度とピットと戦ったことがある敵だからだ。
「誰が蛇じゃこのガキャーっ!!!」
 一つの首がヒュウに怒鳴った。
「ピット、まさかこんな所で会うとは」
「そこの小僧と一緒に丸呑みにしてやりますよ」
 残りの二つの首が涎を垂らして舌なめずりをした。ピットは新弓を剣に変えて羽に光を蓄えた。
「こいつは僕が倒す、君は急いで隠れて・・・」
「悪いが、俺も戦うぜ!」
 ヒュウはボールを手に取ってピットと並んだ。
「何を言ってるんだ、君にはまともに戦える武器がないじゃないか!」
 ピットは早く逃げるよう勧めてもヒュウは下がらない。三つ首のヒュードラー達は嘲笑った。
「ギャーハハハ!こいつは傑作だぜ、ただのちびガキが俺達と戦うだとよ!」
「見上げた度胸です。それに免じて腕を噛みちぎるだけにしましょうか?」
「丸呑みにされるか、それとも、頭を噛み潰してやろうか?」
「何言ってやがるんだ、黒焦げにすんだよ!」
「いや、ここは丸呑みにしてだなあ!」
「噛みちぎるだけでいいですよ・・・」
 いつの間にか三つ首達の喧嘩が始まった。しかし、
「やってみやがれ!」
 ヒュウの怒号が響いてヒュードラー達は静まり返った。ヒュウには小柄ながらも鋭い眼光に決して恐れない勇気と自分よりも遥かに巨大な相手にしても怯むどころか、睨み返す雄姿を見せた。その並々ならぬ迫力に、ヒュードラー達は思わず恐怖を感じた。
「俺には苦楽を共にした仲間がいる。その強さ、お前等に見せてやる。覚悟しろよ、俺は今から、怒るぜ!!!」
 ヒュウはボールを高く投げた。中から、キジのようなポケモン、ケンホロウが現れた。
「よし、ピット行くぜ!」
「よし、て何で君が僕を差し置いて!」
 ピットは突っ込みたかったが、ヒュウはケンホロウに乗ってヒュードラーに向かって行った。ピットはため息をついて、戦いに向かった。
「こんの命知らずが、焼き鳥にしてまるごと食ってやる!」
 ヒュードラー達がピット達に火炎弾を飛ばしてきた。ピットとケンホロウはこれを次々とかわしていき、パルテナアローとエアカッターで相殺した。そして、ピットの放ったパルテナアローがヒュードラーの首の一つに命中してこれを戦闘不能にした。
「やるな、けど俺も負けてはいないぜ!」
 ヒュウは負けじとケンホロウと共にヒュードラー目掛けて突進していった。
「な、何て無茶な!」
 危険を顧みないヒュウにピットは呆れたが、ヒュウはヒュードラーにスレスレまで接近したところでケンホロウに宙返りをさせた。
「ブレイブバードだ!」
 ヒュウの指示でケンホロウはブレイブバードをしてヒュードラーのもうひとつの首に大ダメージを与えた。
「ぎゃー、痛ってえええええ!」
「これはいけませんね、この分だと、仕方ありません。今日は勝ちを譲ってあげましょう・・・」
 劣勢になったヒュードラーは空を羽ばたいて逃げ去って行った。
「やったな!」
「ピース!」
 勝利した二人はピースサインをした。
「お前、結構やるな」
「そうだろ、ふふん、なんたって僕はパルテナ親衛隊だからな」
「そうか、それなら俺のサポート役にも最適だな」
「そうそうサポート役に、て、え?」
 ヒュウの言葉にピットは引っかかった。今、彼は何を言ったのか。
「はは、いやだなあ。僕の頭が変な電波を受信しちゃうなんて」
「電波じゃないぜ。実は俺、行方不明のパートナーを探していてな。お前と一緒なら安心して探せると思ったのさ。と言う訳で、俺のサポート、よろしくな!」
「ちょ、おい!何勝手に決めてるんだよ、ああもう・・・!」
 ピットが文句を言うのも聞かず、ヒュウはケンホロウと飛んでいってしまった。
「はあ、パルテナ様。とんでもない奴と出会っちゃいましたよ。先が思いやられるな・・・」
 ピットはそう呟いてヒュウの後を追いかけていった・・・。

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