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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*2*

 『言う』
 
 ん?此処は何処だ?
 大の字に寝ていた自分は不思議がる。
 ルンルンと女性は洗濯物を畳んでいる、男性は椅子に座りながら、競馬を見ていた。
 ただただ、不思議だった。
 太陽が眩しい場所に居る自分に、何か違和感を感じるのだ。
 だからと言って、違和感が違和感で無いとも言える、感覚に苛まれる、意味が分からない。
 いや、立ったら行動するしかない、そう思い立ち上がろうとするが立ち上がれない、足の筋肉がまだ立てる位迄、成長してないのか………。
 可能性は十分に消えた……。
 立つ事が出来ないのは苦しい……さて、どうした物か……。
 完全に道は絶たれてしまったのだろうか?否、何か違うだろう、自分は考える。
 ルール無用なこの世界、果たして、この違和感を拭う方法はあるのだろうか………?
 辛うじて体は動かす事が出来る、ただ、立てないだけ。
 結果、何も出来なくないか………?
 辛うじて、考える事は出来る、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ………………考えろ?何を考えるんだ?
 大体、今は何も出来ないし、放って置いても良いのではないか?
 考えるな、感じろ、という言葉がある様に、目を瞑り、匂いと音で感じようとする、だが、競馬の音が煩くてたまらない。
 イライラする、全く誰なんだ、あの男は………?
 ハハハ、と笑う男に女性は溜息を吐く。
 苦しそうな顔をしている、男性は女性に近付き、話を聞く。
 苦しそうな女性に隣の部屋に移動させ、男性は一人黙々と、洗濯物を畳む。
 むむっ!?案外優しいではないか……見直そう……。
 裏返しになったTシャツ等を表にしたりする、そして、全てを畳み終える、その後、競馬を見た。
 単純にどうしたら良いのだ……?何も出来ない……。
 いや、そういえばあの女性はどうなったのだろう……あの隣の場所は何があるのだろう………?
 うぅ、見には行きたいのだが、生憎四角い箱の中に居るので出れない。
 いや、見れる事は見れるが、鉄格子の様に隙間が見えるだけだ。
 だから、見たくても見れない。
 いや、抜け出せば?という意見もあるだろうが、まず、立てないから出来ない。
 いやはや、全く手も足も出ない状況だ……。
 だからと言って、何もしない訳ではない、………でもやる事は無い。
 いやー、何すりゃ分からないな………。
 何だとッ!?突然男性が自分に近付いた。
 ただ、近付いただけで、台所に近付いただけだった、何だ………焦ったではないか………。
 完全にこちらは見て無かった。
 卵一つに、玉葱少々、醤油にみりんに砂糖を少々、丼ご飯に卵を溶いて、小さいフライパンに玉葱炒め、醤油やみりん、砂糖を入れて、水で薄めたりして、卵を入れて、数分、そして出来たのは肉無し丼………卵丼だ……。
  ダクダクとつゆを掛け、七味を少々塗し、食べる、ハフハフとしながらも、食べていた。
 た……食べたい!!
 今はお腹が空いてしまっている、何か食べたいな……
 何か食べ物は無いだろうか……いや、今はまだ耐えるべきだ……。
 大丈夫だ……そう思っていると、女性が現れた。
 ただの希望を信じて言葉を発した。
「ママぁ……」
 すると男性は丼を落とした。
「今……ママを呼んだ……?」
 ダッダッダッ!と男性は近付いた。
 単純に女性は泣いていた、何でだ……?。
 抱き抱えられた自分は鏡が見えたので、見た。
 単純に自分は理解した、何だ……自分は赤ちゃんだったのか……道理で立てない訳だ……。
 抱きかかえられたその日、その家庭は赤飯になったという………

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