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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*3*

 『上』

 俺は飛行士。
 しがない飛行士、だが、俺には夢がある、それは『もっと上』に行く事だ。
 大体の人が言いたい事が分かってないのは分かる、つまリ、上空の上、宇宙に行く事だ。
 大体の人が無理だ、とか、人生の無駄なんてほざいてる内は良い、いかに自分の人生を楽しむかが、勝負なんだからさ。
 さて、この俺は、どうして宇宙飛行士になろうか考えていた。
 ただ単純になるのは、難しいので、最近発表された、制度を使う、それは、特別宇宙飛行士試験という。
 うむ、これなら俺でも出来そうだ、と考えた。
 ただ、大丈夫だろうか、29歳なんだが、特宙士(特別宇宙飛行士試験を略してこう呼ぶ)は30歳ギリギリなのだ、だから大丈夫だろうか……?
 かと言って、、特別宇宙飛行士試験の事を説明してなかった……
 ただ単純に説明すると……
1.宇宙飛行士が居ないので、天性の素質を持った人間を探す事。
2.一般人での、宇宙体験をさせて、報告させる事。
と言う事らしい。
 未だに、政府がどういう考えか、分からないが、俺はそれにチャレンジする事に。
 新妻の嫁を説得、(一応子は生まれている)何とか、説得に成功した。
 ただ、大きな問題点が……俺は合格されるかって事だ、俺は元気が有るが、体力においてはクズ同然だ、どうしろと。
 ともあれ、やると決めたら、やり通す、俺は、投稿用の封筒と書類を手に入れ、封筒に入れて、投函した。
 単純に待つ事、一ヶ月は掛かるだろう、なんせ、応募者が多いから。
 楽して、宇宙飛行士なんてなれないのだ。
 だから、今仕事している、職場でウキウキしながら働く。
 苦しいけども、宇宙飛行士になったら、少しは楽になる、と思いながら働いた。
 ただ単に、有名になりたいが為に……そして、二ヶ月が経った。
 ただ苦しい生活はゴメンだ……そう思いながら、ポストを見ると、特宙士の封筒が!!
 俄然合格したという錯覚に陥りながらも、封筒の中身を見た。
 た……たまげた……第一次試験は合格だった。
 たぁ!!やったぁ!!これを妻に見せると、大喜びしていた、良かった!夢を諦めなくて!。
 手紙みたいなサイズに第二次試験が書かれてあったので、会社を休み、その場所へ。
 
 へぇ〜大きいなぁ……そう思いながら、東京ドームとほぼ同じに大きい場所に俺はいた、そして、参加者が集まった。
 担当者がいるようだ……俺と数人の男女達は一つの部屋に入った。
 多分、一人一部屋だろう……この部屋は狭い、とにかく狭かった。
 ただ疲れたな……説明が長かったり、これも試験の一つかと思い、耐えたが。
 我慢出来ずに今日は寝た、本格的に明日から試験開始だそうだ。
 
 だぁー!疲れた……狭い空間って言うのは、疲れるんだな……ドラえもんすげぇ……そう思いながら、俺は作業をした。
 単純に簡単だと思ったが、これが難しかった、言いたいのも山々だが、こういうのは秘密をバラしてはいけないらしいので、書かない。
 今迄色んな事があった、苦しい事、上司に怒られたり…………でも、今の作業が大変だった、発狂しそうだった。
 単純作業を繰り返すってこんなに苦しかったっけ?
 計算もまともに出来ないまま、時は過ぎ、一週間、何とか、この部屋から開放された。
 ただ単に今は楽しかったな、と思った。

 太陽が照っている、そんな暑い日、俺の家にポストに一通の封筒が。
 頑張った、そんな記憶が蘇る。
 ルールばっか気にしてた一週間だった、と思い出した、そんな事を思い出しながら、俺は封筒の中身を見た。
 ただ単にまた、驚きだった、合格している、特宙士は、三次迄だったので、これに合格すれば、俺は念願の宇宙飛行士に……。
 新妻に合格を言うと、とても喜んでいた。
 ただ、産児はめんどくさい事に、面接なのだ。
 大丈夫よ、と背中を押す新妻。
 まぁ、そうだよな……そう思いながら、俺は、三次会場に行った、まぁ、選ばれたのが少なくて五名位だった。
 ただ、まさかの俺がトップバッターだった。
 ただ、恐怖、何故なら、元現役宇宙飛行士が面接官だから。
 ラッキー、ココで宇宙に目指す事を言えば……でも、そんな事は浅はかだったのだ。
「大丈夫かな、この質問は……『君にとって、宇宙飛行士とは?』」
 ハァッ!?そんなん言われても……俺は言葉に詰まる。
 ルールを無視してた俺……俺はそう思いながら、言葉を繋げた。
「……た……ただの夢なんです……ただ単に、上を目指したいという、小さな夢が……子達に宇宙飛行士の夢を植え付けさせたいんです……小さな夢、でも、子達にとっては、大きな夢にさせたいんです……宇宙飛行士って言う夢を……私は見せたいのです……!!」
 全て言い切った、後は、合格か不合格かを待つだけだった。

 ただ単に、俺は目指した、過去の栄光や、英雄譚なんて、どうでもいい、ただ単に俺は、上を目指しただけ−−

 結果発表の日になった。
 ただ、合格して欲しかった、ただ、単に……
 ニコッと俺は笑った、何故だか分からないけど……発表がされた、俺は急いで、見に行った。
 ただ単に俺は笑った、俺の名前は無かった……もう終わりだ……そう思って、下に俯いた。
 ただ、神はちゃんと見ろって言っていたかもしれない……宇宙飛行士補欠に俺の名前があった、これは、宇宙で、宇宙飛行士にアクシデントが起きた時に、代わりにその補欠が活動を続けるという物だ。
 だが、これはただの補欠……ちゃんと、筋トレや、宇宙に行く為の特訓とかをしないといけない……
 今から始まるのは俺の宇宙飛行士への物語……まだ、夢は始まったばかりだ。

 大丈夫、行けるよ、そう妻に言われながら俺は宇宙服を着た。
 太陽がてらてらと輝く、息子が、『パパ、頑張ってね!!』と声援を掛けた。
 太陽がギラギラと輝く、俺は『分かったよ』と一言だけ言う。
 後ろは振り向かない……俺は前に進むだけだ、そう思いながら、宇宙船に乗った。
 太陽を直に見たい(サングラスで)、地球を直に見てみたい……そう思いながら、宇宙船は飛び立った。
 太陽が綺麗だ……そう思いながら、俺は目を閉じる、これは宇宙を目指した男の物語……

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