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しりとりシリーズ
作者: 彩都 (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり
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*紹介文/目次*
暇なので書きました。
NEXT 『愛』です、どうぞ。
『愛』
『愛』、それは、傷付ける愛、痛みのある愛、壊す愛、無い物を愛す愛、正体不明に愛する愛、只の愛、無機質を愛す愛、言葉を愛す愛、見た目を愛す愛、体の一部分を愛す愛、ete……………。
いやはや、この世には色んな愛があるのだ。
だから、数え切れない愛、人類の数だけ愛がある訳だ。
だから何だ、と言う訳もなく、物語は進む。
「むぅ〜、めんどくさいなぁ………もう、知らんし……」
少年は項垂れていた。
ただただ、暇、の一文字。
「『女子の愛』何て課題、意味分からんし……」
少年は、手元の紙を見る、その紙には大々的な大きさの字、『愛』が書かれていた。
ただ、どうしようもなく、意味不明な先生の課題、もう授業受けたくないのだが………。
俄然、やる気は起きない。
意味も無く、『やる気スイッチ』を探すが、そもそも無い。
意味が無いと分かりながらも、『愛』という字を見つめ、思う。
うん?そういや、漢字には禾編やうかんむりやら、何やらあるよな?『愛』にもあるよなぁ?それを分解して、課題として出そう、うん何か面白いな、それは。
ハハハ、と一人で虚しく笑いながら、紙とペンを用意、『愛』と書く。
「空中分解して………ノ、ツ、心、久、………ん?何か足らんなぁ………?」
あぁ……?んん?………あっ、かんむりだ、かんむりが無いのだ。
「だぁあああああ!!!!やっちった!………」
ただ、考える、少しだが、冷静になる、だったら、ツ、ではなくリ、にすれば良い、真ん中を、ウ、の上に指せばいいのだ、俺って天才!?。
いや、そんな訳は無い、と読者がツッコんだのだろう………ツッコまなくてもいいのだが。
俄然やる気はないまま、考える、うーん……どうしたら………?
ラララン、ララン、と鼻歌を歌いながら、ノ、リ、ウ、心、久、を考えるが、何も出ない。
いや、何かに一つでも思い付かなければ………学校卒業出来ねぇ!!
笑顔で教師の顔面を殴る、と言う妄想をする、虚しくなるだけだ………。
だからと言って、投げ出すのもつまらない。
一応、考えれる分だけを考えよう、………おっ!良いの思い付いた!ウノリちゃんと心久(こころひさし)君の物語にすれば良いではないか!!!
カァー!!やっぱり俺天才!!この二人が合体して、『愛』となった!!何か感動物じゃね!!??
寝る間も惜しんで書いてやる!そう思いながら、紙に書く。
草臥れない様に紙芝居の様にした。
太陽が出る、時間はもう朝だ、少年は寝落ちしてしまった。
「太陽……?あっ!?もうこんな時間か!急がないと………」
トトッと体制がぐらつくも、建て直し、紙芝居が入った袋を手に、玄関を出た、戸締りをして、学校に行く為に出入り口に、走り出した。
太陽がてらてらと少年を苛める、少年はそんな事をお構い無しに出入り口付近の、自分の自転車に乗る、籠には紙芝居一式。
少年は走る、学校近くの道路へ、自転車で。
でかい御神木を見る事が出来る神社を通る、マイナスイオンが出ている様で涼しい……あれ?マイナスイオンは涼しかったけ?今はそんな事を考えている場合ではない、早く目的地に着かないと……。
とか、思いつつ……やっと道路に出る。
ルルルルン、ルルン、ルルルルルン、ルルン、頭の中で、回転するメロディ。
色々と音楽を聴く内に頭の中で、何時の間にか、音楽が流れてしまっている状態になってしまったのだ。
だから何だ?、と少年は聞き返す、音楽が好きなんだから、良いんだ、と言葉を紡ぐ。
愚弄するならすればいい、自分は放って置くだけなのだから。
爛々と輝く太陽が憎いな………そう思いながら、自転車は進む。
ムラムラとアスファルトから熱を感じる、早く行かなければ………。
馬力を上げたい所だが,そこ迄の力は無い、すると、学校の木が見える。
縷々と続く道に入り、近道をした。
垂れる汗なんて関係無しに、学校の敷地内に入る、駐輪場に自転車を置き、鍵を掛けて、教室に向かった。
タッタッタッタ……駆ける足音を関係無しに進み、教室に入った。
たらり、と汗が顎から落ちる、何とか間に合った様だ。
だぁ………疲れた………。
大量の汗を拭いながら、自分の席に座る。
累積した欠課のマイナスの点数はこの紙芝居で巻き返す。
スーハー、スーハー、と深呼吸をする、落ち着け、俺………。
歴史を感じる教室、この学校は築八十年とか何とか………。
考えても無駄だだだだだだ!?
誰かが、俺の頭をグリグリした。
「ただただ、お前の頭を攻撃する、コレが俺の攻撃の仕方、お前はどうだろう?」
後ろから声がする、チャラ男の知り合いだった、コイツも俺と同じ授業の人間だ。
「だよッ!?……何だお前か……」
「辛いねぇ……まさかまた徹夜かよ?徹夜は止めとけって何度も言ってるんに……」
苦虫を噛み砕いた様な顔で溜息を吐く、コレでも頼れる親友だ。
「だーかーらー、人の話は聞けっちゅうに………おい、聞いてんのか!?」
「カアカアうるせー!」
「せぇーのはお前だ!カアカア煩くないっての!」
「のヤロー!?」
「濾過したいわ!お前の性格!」
ククク………プププ………アハハ………周りの生徒が笑い出す、俺とコイツはまるで、笑えるコンビ、と思われているようだ。
だけれど、コイツとはコンビではない、只の知り合いだからだ……。
「だぁーもう、会話は終わりだ、終わり!」
理解するのが飽きたのか、自分の席に座る、俺も疲れたので、座った。
タン、タン、タン、と教師の靴の音がする、俺はドキドキした。
タン、と止まり、教室の戸を開けられた。
ただ、驚く、この授業の教師じゃない……?すると五、六人がゾロゾロと入り、その後にこの授業の先生が入ってきた。
「ただ、先生一人が聞くのも面白くないんで、他の先生を呼んで、一緒に聞く事にしました」
単純にその台詞に対し、『ハアァァァ!?』や『厭だあぁぁぁあ!』とかの阿鼻叫喚が教室内に響く。
「クク………まぁまぁ皆さん落ち着いて………」
低年齢に見える、四十代の先生が落ち着かせる、この先生は生徒から、人気なので、皆が黙った。
「ただし、条件があります………二人以上、皆さんの話で先生に手を上げさせた者が点数に関係なく、単位を上げましょう、そして、手を上げた先生が、一人以下の場合、単位は無しです」
す……凄い面倒だな………生徒全員が思った。
「ただただ、人がいるので、出席番号順に行くか………01、どうぞ」
ゾロロ、と暗い雰囲気を出しながら、立ち上がる、女子だった、女子の場合、男子とは逆、『男子の愛』だった。
立ち上がって、自分の名前を名乗ったのだ、そして噛み噛みになりながらも喋ったのだ。
「だ…『男子の愛』は……」
ハラハラしながら彼女は言う。
後ろに気を使いながら、自分の紙に書いた事を復唱する。
ルンルンと後ろの女子はまだか、まだか、と待つ。
「………つまり、男性は純情な人も入れば、野性的な男性も居ると言う訳です、終わり………です………」
「………………素晴らしい!!!男性の純情も居れば、性に性愛に性欲に従順な男性も居るという話ですね!!では、先生、挙手をどうぞ!!」
ゾロロロロ、と満場一致だ、彼女は喜んだ。
「だ……大丈夫だったですか……」
完全に01番の挙手から、拍手に変わるが、次の女子がいきなり立つ。
「つ−か、先生もう言っていいか!?『男子の』……」
ノリを弁えない02番の女子。
「し……仕方ない……02番、どぞ……」
ゾロゾロと周りが慌しくなった。
「たぁぁぁ………煩い煩い!!言うぞ……『男子の愛』って言うのは……」
歯向かったら、喧嘩になる!!それを理解した皆は、静かに聴いた。
「………対等!男と男のタイマンのルールはそんだけだ!勝つか負けるか……そして、男気に惚れて、舎弟に成る!!これが私の『男子の愛』です……」
「……素晴らしい!恋愛という概念を越えましたね……では、挙手をどうぞ……」
存外熱い話なのに、誰も手は上げない。
「居残り、つまり、単位は上げれませんでした……」
「たぁぁぁ………無理だったかぁ………」
あーあ………と項垂れる彼女。
状況はどうでもいいと見える03番のフードの少年が言う。
「う……あの……もう……言って……良いスか……?」
「可能だ、言って下さい」
威圧無く接する先生に頷いて、話す。
「……全てにおいて……女子とは……変態である……AVが存在する限り……」
リアルにコイツ何言ってんだ!?そう、皆は思った。
只、単純に意味が分からない、何が言いたいのだろう?
「後ろからするのも気持ち………」
「ちょっ!もっもういいです………挙手をどうぞ……」
ゾロゾロと騒ぎ出す。
全ての生徒は俯き、先生達も挙手しない………。
「いやぁ、残念でした……単位は無しです………」
すぅぅ、と、先生の語尾も弱まった。
ただ、俺はもうすぐだった。
単純に04が立ち上がった。
「たっ大変です……すみません、抜けていいですか?」
彼女は焦っている様だ、先生が話を聞く。
「詳しくは知らないんですが、母方の祖母が危篤状態と……」
「とても大変ですね……ですが、抜けるとなると、この単位を捨てる、という事ですよ?」
よもや……こんなヤバい状況なのに……単位を取るか、家族を取るか、という決断をさせる気か………?。
完全に鬼だ……生徒はそう思う。
うぅっ……彼女は悩んでいた………。
「単位は………」
ハラハラした………こんなにハラハラした事は無かった。
「単位は……………捨てます………!!」
すると彼女は後ろの教室のドアから走り去った。
タッタッタッタッタッ………………音が聞こえなくなった所で先生は言った。
「たまにこんな事が起きます、さて正しいのはどちらですか?答は簡単です、『家族』を取りなさい、『家族』が一番です、何故なら、『家族』は私達を育てました、それに感謝しなければなりません、結局最後は『家族』を選択するのですから………」
爛々としていた教室の熱は段々下がってきた。
10~ 20~ 30~ 40~ 50~
*4*
『笑顔』
可愛いなぁ、可愛いなぁ、やっぱりお前の笑顔は可愛いなぁ、妻に笑われながらも、私は5歳の娘を抱き抱える。
瑠璃と名前が付いた私の娘は、天性の笑顔を持っているのではないか、と想う程、笑顔が可愛かった。
ただ、妻は笑うだけ、病室の一角で、皮が骨に付いた位に痩せこけて、妻は笑う。
うるうると、泣く娘も可愛かったが、妻の寿命は長く無かった。
ただ、死に近付くだけ、誰も死を止める事は出来ない、どれだけ、延命治療をしようとも、無駄だった。
太陽が照っている、外は夏だった、病院はクーラーが効いていた、私と、瑠璃は、妻の病室に居た。
ただ、虚しく、妻は命の花を散らせたのだ、妻は延命治療なんて、もういらない、瑠璃を抱いて死にたい……、と言って、瑠璃を抱いたまま、涙を流しながら、命の花を……私は悔しかった、アメリカや、他に良い、大きな病院に連れて行けばよかったのに、薄給な上、貯金も無かったから、この、街一番の病院に連れて行ったのだが……矢張り、妻は助からなかった……私は悔しかった、何も出来ない?出来たけどやらなかっただけ、そんな自問自答を繰り返しては憂鬱な気分に、成るだけだった。
ただ、もっと悲しかった事が一つ、娘の瑠璃が『笑わなくなった』と言う事だった。
単純に、笑わなくなったのも、私は悲しんだ理由の一つだが、私の持ち芸である、『ベンチョッボン』でも笑わなくなってしまったのだ、これは私の一大事だった。
ただ、笑わないのは、悲しい、なぁ、笑ってくれよ、なぁ?………………無言である。
瑠璃が笑わなくなったのは、何が原因か?私は悩みに悩む、だが、思いつかない。
いくら笑える話をしても、瑠璃は笑わない、私はそれが苦しかったのだ、可愛い娘の笑顔がもう、見れないとなると、私は生きる気力を無くしてしまった、ただの飛べない鳥の様になってしまっていた。
太陽が照っている、空が太陽をてらてらと主張している、私は家で、ぐったりしていた、やる事は無い、妻も居ない、娘の笑顔も無い……私は生きる価値があるのだろうか……?それは分からないが、空腹は免れない……私は仕方なく、ご飯を作る事に。
煮凝りの様に固まった、私の心を溶かすのは誰だろうと、思いながら、味噌汁にご飯をかけ、食す。
涼しい、冷たいご飯に冷えた味噌汁は良く合うなぁ、と思いながら、仕事の準備をする、こんな暑い日に仕事なんてしたくないのだが、社会人なので、文句は言えない、とてもめんどくさいなぁ、と思っていた時に、瑠璃が帰ってきた、私は仕事に行くから、適当に食いなさい、と言い、千円を渡す、瑠璃は、分かった……と、涙が出そうな声がした気がしたが、私には関係無いと思い、家を出た。
その時、ちゃんと顔を見ればよかったと思ったがもう、遅かった。
太陽が沈む、もう、夜だ、私は仕事から帰ってきたばっかだった、もう、疲れたな……他の仕事したいな……何てほざいていた、そして、家の近く迄、歩いた、すると、ウーウー、カンカンと、消防車の音が鳴る。
瑠璃は煩いと思ってるだろなー、とか思っていた、だが、そんなことは関係無しに、打ち砕かれる。
瑠璃と私の家、その他、近隣が火事だったのだ、私は急いで、走った、瑠璃は!?瑠璃は!?消防隊員に言っても、分からない、の一点張り、私は急いで、消防隊員を退け、自宅に入った。
ただ、探す、瑠璃ー!!瑠璃ー!!と叫ぶが、返事は無い、まさか……と厭な予感が走る、私は全ての部屋を見回った、すると、布団に蹲っている何かを発見!!私はそれをひっくり返す、そこには、瑠璃が何時も抱き締めている、くまのぬいぐるみだった。
ただ単に、ドキドキして見たのに、こんなオチは無いだろ……そう思いながら、くまのぬいぐるみを抱き締め、家を出た。
ただ、頑張って見たのが、全て水の泡だ……と言わんばかりに項垂れる……ハァ、何て駄目な父親なんだろう、そう思って、出ると、一人の女の子が喚いていた、父がどうとか……まぁ、私と同じ、人探しか……と思っていると、お父さん!!と大きな声が聞こえた、まさか……そのまさかだった、瑠璃は、買い物袋を持ってただ呆然と立ち尽くしていた。
ただ、探していた人が、案外簡単に見つかると……呆れてしまった……私の努力も水の泡か……でも、生きてて良かった、瑠璃も失ってしまえば、私は自殺するしかない……妻に会わせる顔も無い……そう思うと、目から、水が……少し塩辛い、涙が流れた、瑠璃が生きてて良かった……私はまた、生きる活力を取り戻したのだから。
ラッキー、妻の形見のカメラを見つけた私は喜ぶ、これは、妻の大切な物、失ってはならない、遺産だ。
だけれども、死んでから、もう、八年か……私は感慨深いな……と思いながら、空を見た、妻の命日と同じ様な、太陽が照っている夏の終わり頃だった、瑠璃はもう中学生だ、結構立派に育ちました、私が料理を作らなくても、レシピ本さえ、渡したら、プロ顔負けの美味さです、もう……カメラの中身は見せていいかな?私はそう思いながら、目を閉じた。
太陽はもう、沈んでいる、瑠璃は、二十歳になり、結婚する事に、私は何とか、妻の遺言を守り、二十歳になったら、このカメラの映像を見せる、と言う掟に従い、瑠璃に見せた。
ただ、充電しないと見れない、古いタイプ、私は頑張って、コードを繋いだ、画面がテレビに移った、死ぬ前の、母の姿に唖然となる、瑠璃は、あまり母の記憶が無いのだ。
だが、唖然とした顔のまま、瑠璃は聞いた、母の病気や、母が生きられない事を……気が付くと、瑠璃は泣いていた、大粒の涙を、大量に。
ニコニコと母は笑いながら、『成人おめでとう』と言って、ビデオは切れた。
ただ、瑠璃は泣いていた、私も泣いていた、此処迄育ってくれて有難う……感動しかない……すると、瑠璃は笑った。
太陽の様に明るい笑顔を……かれこれ、何年笑っている所を見た事は無かったろう……その笑顔は……死んだ妻に良く似ていた……。
太陽が、照っている、外は暑い、夏のある、明るい二時頃……私と瑠璃は、瑠璃の夫に、写真を撮って貰った。
太陽の様に明るい、笑顔の瑠璃を写真に収めて……
NEXT 『謳歌』