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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*5*

 『謳歌』

 もしも、もっと謳歌できたら、僕はどうなっていただろう……?
「う……ん……?もう朝か……?」
 顔を叩いて、目覚めさせる、僕はもう、二十歳を越えた、もう謳歌できないのか……もっと行動を早くにしておけば……
 バカだなぁ……自分って……そう思いながら、中学時代の自分を思い出した……

 ただ単純にバカやってた中学三年生……知り合いと夕方の夕日が綺麗な公園で喋った。
「ただ、仕事めんどいよな……働きたくねぇなぁ……」
 呆れた様に呟く僕の知り合い、僕はそれに対して、ツッコむ。
「無理言うな、結局は働かないといけないんだからさぁ……」
「アホ言うなっ!俺はニーーート!!つまり、働きたく無い!!と言う事!」
 ……と……とりあえず、言える事は有る……お前、アホだろ……?
「老衰して死んでやる!!これは俺の夢!!」
 めっちゃアホな死に方も有るが、まさかの老衰か……ニートで老衰って出来たっけ?
 計算していると、また知り合いが喋る、一体何が言いたい?
「いやー、老衰も良いけど、ハーレム死ってのも良いよな!?」
 ……何か言い始めたーーー!!?何言ってんのコイツ!?どうしたの!?最近期末テスト終わって、コイツなんか可笑しくなったし!ホントどうしたんだ!?
「だ……大丈夫か……?最近お前可笑しいぞ!?どうしたんだ!?」
「大丈夫だって……志望校落としただけだし……ハハハ……」
 ……ハハ……何だ……そんな事か……焦って損し……大問題!!
「いやいやいやいやいやいや!!!!!結構大問題だろ!?相当頭良い高校受けたのは知ってっけど……どう見ても、ヤバいぞ!!」
 存外暢気に感じたが、どうしてだ……?
「大丈夫だよ……もう、全部落ちた……親にどう顔を……?俺オワタ……」
 ……大変じゃねぇかぁぁぁぁぁ!!!!!お前どうする気なんだ!?高校落ちたら終わりじゃん!?どうすんだよ!?
 良く、余裕保てるな!?僕は保てんぞ!?コイツどうすんだろ……?高校、他の所に行くんかな……?
「中々仕事が見つかんねぇや……やっぱ、中卒は無理なんかなぁ?」
 あれぇ?お前、働きたくなかったんじゃ……?
「や、や、や、だから、働きたくねぇなぁって言ってんだろ?……」
「労力使いたくない、もう、お前黙れ」
 冷酷に言う、知り合いは怒る、おいおいと。
「というか、何で労力使うんだ……?俺と駄弁る位、労力使わねぇだろ?」
「労力は簡単に使うよ……お前みたいな、中卒の野郎に」
「ニコニコしてる内に逃げな?お前、ボコる?早く逃げろ……おい……?」
 イライラしているのが分かる、この知り合いはキレやすいのだ。
 大丈夫……どうせすぐに落ち着く……。
「苦しまない様に殺すから、さぁ、どうすんだ?」
 大丈夫ばない……?どうしよう……?いや、マジで!?
「デッド・オア・アライブ……生きるか死ぬか……高校落ちてイライラしてんだよ……これ以上イライラさせんな……」
「泣いて許して!?」
 手を合わせる、そして土下座する、さてどうなるか……?
「カッ……仕方無い……今日は許す……」
 スッと、安心が背筋を撫でる、助かったな……。
「なぁ……お前はどうすんの?」
 暢気に夕日を見ていた僕は我に変えさせられる、どうすんのって……。
「てか、普通に高校に行くだろ……そして大学に行く……そんな感じかな……」
「……成程な……良い高校と良い大学に行けよ……」
 よもや、そんな言い方されたので驚く。
「ククッ……どうしたんだよ……?お前らしくない……」
「いや、何か……、な……」
 何か不思議だった……不思議以外、何と言う?
「うーん……よし……俺もう帰るわ……この話は秘密な!」
「なっ!?おまっ!」
 続きが言いたかった、だが、そこで歩いていた知り合いは道路に出ていた。
 ただ、単純に……車に轢かれた……赤き、鮮血を出しながら……

 爛々と輝く太陽、そんな暑い時、僕は目覚める、一体なんだったんだ!?今の夢みたいな物は……?
 ハハハと、笑って、鏡を見る、そこには、髭の生えた僕が居た。
 ただ、単純に笑ってみせる……何かキモかった……いや、そんな事はどうでも良い、そういや今日はアイツが死んだ命日だったな……
 中々な夢だったが、何か言い忘れている、アイツに言う事が出来なかった……たった一言……。
 とりあえず、僕は言う……『なぁ、お前って、青春を謳歌してるか……?』僕は出来ていない……。
 いや、今から遅くは無い……僕は服を着替えて、外に出た……。

 ただ、今、その言葉を言い返されたら、僕はこう言うだろう…『今から、謳歌してやる、お前よりもな』……
 中々にカッコいい事言うじゃねぇか……と、僕はそう言いながら、自転車に乗る。
 縷々とした道を越え、あの時轢かれた公園に迄行く。
 ……苦しいだろうなぁ……僕は電信柱に一束の花を置いて、横断歩道手前に立つ。
 遂に僕も此処迄来たか……アイツはどう言うだろう、何で来たんだ!?とかかな?
 何だかんだで、今迄の事を思い出し、笑える人生だなぁと思う。
 ううーん……考えても仕方無い、僕は急スピードのトラックに向かって、肉体を差し出した、そして肉体は、トラックにぶち当たる、痛い、それだけしか思いつかない、そして、地面に当たり、痛みがフェードアウトしていく……あぁ……これでアイツの元に……
 ニコッ……と、僕は笑いながら、目の前が暗くなる……僕はこうして、アイツの元に行った……そして、アイツを見つけた、そして、僕は言った……『なぁ、お前って、青春を謳歌してるか?』、アイツは言った、『お前が此処に来る迄が謳歌してたよ』

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