完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*6*

 『書』

 僕はしがない大学生……文学部の一部員である、僕は、小説を投稿したりして、小説家になる事を夢見ていた。
 ただ、小説家を目指して現在努力中の身である、僕は今、新作を投稿しようとしている所だが……
 俄然、やる気を出した……だが、……今はスランプ中なのである……投稿の締め切りは明日……半分書いたが、その先が書けないのだ。
「大丈夫かなぁ……これは大変だ……どうしよう……?」
 うーん、と悩む……僕はどうやって、スランプから脱却するか……未だに抜けない……
「いや、気分転換でもするか……」
 革靴を履き、外に出る、空気は美味い、大学は詰まって書いてしまう為、体が固まってしまう。
 うーん……と、体を伸ばし、気分転換、空を見る、神様にとっては、ちっぽけな事だろうが、僕には一大事なのだ……僕はこの小説で、優秀賞、もしくは何かしらの賞を取らなければならない、取れないと、僕はこの大学を強制退学、勿論、親の決めた事だが、僕は、三次選考迄は残るが、最終選考迄は、行かない……それが何年も起きた……僕は、未だに頑張っても、取れない事にもう、諦めていた……でも、努力は大事だから、毎日一万文字を書く様、心掛けている、だが、ここ一週間は百文字も書けていない……本当に困っている所だ……でも……書かない事には脱出で出来ない……でも、脱出する方法が僕には思い付かなかった、困った困った……とか思っていると、二年先輩の女性が来た、一応、色々な事や、執筆活動を手伝ってくれたりしている先輩だ。
「大丈夫かい?後輩よ?何か困ってるんかい?何でも言ってみ?どんなもんでも来い!但し、性的な事は駄目だぞ!」
 存外頼りなさそうな台詞だったが、僕にとっては藁にも縋る思いだったので、言ってみた……。
「……ただ単に、スランプになったって事か……なーに!少しは歩こうぜ?私は今、暇なんだ……駄弁る相手になってくれよ……さぁ、行こう!!」
 ……うぅっ……この先輩は頼りになるが、少し、暴走するから、あまり、会いたくない……会うのは、部活中が嬉しかったが……でも、確かに駄弁ってみて、スランプが治るって訳じゃないけど……この先輩の言う通り、駄弁ってみるか……暇だし……

 商店街に迄、僕らは足を運んだ、そこで、肉屋で、熱々コロッケを買ったりして、食べた……火傷しました……少し、下がヒリヒリしている……でも、美味しかった……何で、肉屋のコロッケはあんなに美味いんだろう……?結構な疑問であるが、今は考えていても、スランプ脱却の切っ掛けにはならない……そして、歩いている内に少し山を上った、まるで丘の様な山だった……そして、少し、ピクニックが出来そうな場所の、木で出来た椅子に先輩は座る、そしてニヤニヤする、何だろう……?
「うふふ……どうだ?綺麗だろう?ここは私のお気に入りの場所なんだ……肉体的にも精神的にも……ここの景色を見てたら、なーんか、ちっぽけに感じてきてさ……だから、後輩の君に見せたくて……どう?綺麗でしょう?」
 うーん……と渋々見る……ブワッ!!風が僕を迎え入れる、たった小さな広場だが、この町を思いっ切り、見る事が出来る、こんなに綺麗なのは初めてだ……オマケに、夕日が出ているので、とても綺麗に見える……これは……とても凄い……これは良い景色、教えてくれて、嬉しいです……そう思って先輩を見る、とても、色っぽく見えて、可愛いと思った、視線が先輩にバレる、僕は慌てて、顔を隠す、でも、もうバレているので、意味は無い、でも可愛かった、僕は先輩に惚れたらしい……マジかよ……?
「よ、よ、よ?あっれぇ〜?君ぃ〜?何で、私の顔を見て、自分の顔を赤くしてるの……?まさか、惚れたの?」
 ノー!!!そこ迄バレました!?もう駄目じゃん……そして、先輩は近付いてくる……顔が近い、数センチで、肌と肌が当たりそうだ……段々顔が赤くなる、いや、顔が赤くなるでしょ!?すると、先輩も顔を赤くした、何でだ?
「だっだって……私も君の事が……」
 ガンガンと、頭の中が、警報を鳴らす、……まさか、先輩は前から僕の事を……?それはそれは……両思い……?
「いっ……言うわ……君の事が好き!だから付き合って!」
 ……て……言った!言っちゃったよ!……僕も言わないと……
「とっとりあえず、僕で良いのなら……」
「ラッキー、じゃあ、今日から、カップルだね……嬉しい!」
 いきなり、先輩は僕の腕を抱きしめる、いたたたたたた!!!強いです!抱き締める力が強いです先輩!!
「いいじゃんいいじゃん!カップルなんだし!……どうよ……この景色見て、スランプは脱却出来たか?」
 完全にポケーとしていた、えーと……どうなんでしょう……?まだ分からない……僕はお手軽なサイズのパソコンに書いていたので、何時でも持ち歩き出来る様、持っていた、それを起動、そして、文を見る……何だこれ……書きたい物が見える……何だこんな感覚……書きたい……僕は本能のまま、書きまくる、先輩は独り言『やっぱり、私の惚れた後輩だわ』……とか言っていたが、僕はあまり、聞いていなかった、そして、残り少し迄書いた所で、僕は呼ばれる、今良い所なのに……
「にゃー、やっぱ、書くの早いねー……でも、周り見てみな?もう暗いよ、帰ろう?」
 うわっ!?もうこんな時間……パソコンもバッテリー少なくなっている……もう切り上げよう……、そう思いながら、帰宅した、その後も、寝る間を惜しんで書いた、景色を見ただけで、此処迄変わる物なのか……?まぁ、いいや……書き切れるし……そう思いながら、書き切った、とても楽しく書けた。

 ただ、書き終わって、それを投稿した……何とか間に合って、第一次選考を突破、第二次、第三次も突破、残りは最終選考だ、遂に来たかとドキドキしている……このステージは並々ならぬ、熟練者が居る、こんな駄文者の僕が立てるのは珍しい……そして、受賞発表の日、僕は急いで、本を買う、此処に受賞者が載っている……ドキドキ……先輩も見守っていた……そして僕は言う……
「うぅっ……先輩行きますよ……今年の受賞者は……大学二年……『夕日のあの空』作者……の僕です……」
「素晴らしい!」
 いきなり、抱き締められる、遂に僕は受賞した……遂にやったんだ……そして、僕は言う、先輩に……とある告白をした……
「大切な告白をします先輩……僕と結婚してくれ!」
 霊感がある部員の女子が言う、『成功確率高し……』と。
 とりあえず、先輩は……
「は……はい……」
 言った……先輩が言った……おまけに部室で告白したので、部活メンバーはヒューヒューとか言ってる、やっぱ、二人っきりが良かったかな……
 泣いていた、何もかも、嬉し泣きだった、こうして、僕は賞を受賞した……

5 < 6 > 7