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*16*
総合体育大会。略して総体が行われ始めはや二週間。
もうほとんどの運動部は結果がわかってきた。
バレー部は、なんとか予選を勝ち進んだものの、最後の決勝で敗退。悲願の県大会出場は果たすことが出来なかった。
柔道部は県大会に駒を進ませ、なかなか順調だ。
その他、バドミントンや、テニスはいつも通り予選敗退。まあ、顧問の先生も新任で、元々強くないから当り前の結果と考えていいだろう。
残るは野球部の甲子園だけとなったが――これはもう、応援するしか私達に道はない。黒い土の上で白球を追いかける、野球男児達に、我が天宮の命運をかけるほかないのだ。
県大会に行く事になった部活動を、自分のデスクで書き出してみる。
・柔道部
・陸上競技部女子→走り幅跳び
陸上競技部男子→棒高跳び
・空手部
・剣道部
天宮は武道に力を入れている学校だということをここで再認識する。
「何をしているんですか? 来部書記長」
横から紗綾香ちゃんが顔をのぞかせる。どうやら、お茶を淹れてくれたらしい。
「今年、県大会に進んだ部活動を書き出してみようと思ってね」
「それで、何かわかりましたか?」
紗綾香ちゃんが惣志郎のデスクにも置く。今、生徒会室にいるのは、惣志郎と紗綾香ちゃんと私の三人だけだ。
「いーや、ただ暇つぶしに書き出してみただけ」
紗綾香ちゃんはそうですか、と言って私の目の前のデスクに腰を下ろした。
私の隣には惣志郎、惣志郎の前には副会長、そしてこの部屋を見渡せる中央の位置にあるデスクが会長ということになる。
隣の部屋には給湯室があり、ちょっとしたお菓子も保存できる。
惣志郎はといえば、ペンを走らせて電卓を叩き、真面目に仕事をしているかと思えば、時たま、目を虚ろにさせ、空中のどこかを眺める、そんな一連の流れみたいなものが出来あがっていた。
そろそろその腐抜けた顔に喝を入れないとなあ、と思っていた矢先、勢いよく生徒会室の扉が開かれた。
「若井武の案件が一段落したぞー処罰が決まった」
会長がドタドタと入って来るや否や、デスクにどかっと腰を下ろしパソコンをすぐさま立ち上げる。
その後、対象的に副会長がゆっくりやってくると静かにデスクに座り、パソコンを立ち上げる。
「どうなるんですか!? 若井武!」