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*22*
河岸が口を開く。
「それって瀬戸と押田と橘の三角関係っぽいよな」
やっぱり、そう思った。河岸も。
「瀬戸と押田が付き合っているのを知った橘は、あまりのショックで咄嗟に家出をしてしまったって感じだ」
そうだね、僕もそう思っていた、最初は。惣志郎が深く頷く。
「きっと愛華ちゃんもそう思ったはずだ。橘涼はあまりのショックで失踪した。だけど、その三角関係ではどうしてサッカー部全員が守り通そうとしているのか、答えに辿りつけないんじゃないかな」
全部お見通しだった。河岸も眉を顰め、唸る。
「きっと愛華ちゃんと河岸はこういう構図を思い浮かんだはずだ」
瀬戸美桜→押田俊←橘涼
「こういう三角関係、だよね? でもそうじゃない。本当は――」
押田俊→瀬戸美桜←橘涼
「こうだ」惣志郎は紙に三角関係の図を書く。
「おい、どういうことだ。これって、おい正気かよ」
河岸の言葉がそのまま私の言葉としても具現化されている。
「正気の正気。これが真実だよ」
「ちょっと待て、猫又。だって橘涼は――女だぞ?」
「そうだ。自分のことを僕といい、サッカー部に所属しているが、瀬戸美桜と同じマネージャーだ」
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