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ステージ10「クラウディパーク」その三
この話の主人公、自然王ナチュレ
一行、自然王ナチュレ、カイリュー、関索、井伊直虎、ワルビアル、タブンネ、甲斐姫、リザードン、エアームド、オニドリル
次に関索達は強風の吹く雲海を歩いていた。激しく吹く逆さ風にナチュレ達は思うように進めずにいた。
「うーぬ、凄い風じゃのう、前を早く進めぬ」
「くー、中々歩けないのがじれったいわ」
ナチュレと甲斐姫は片目を閉じて歯を食いしばり、何とか前に進んでいた。
「うう、寒い・・・」
強風の寒さに直虎は眠そうになった。
「痛た、ひよこさん、ありがとうございます・・・」
しかし、ひよこがつついて起こしてくれたので何とか歩けた。
「しかし、この強風なのにリザードン達は問題なく飛んでいるな」
関索は空を飛んでいるリザードン、カイリュー、エアームド、オニドリルを見た。四匹は翼を使って苦もなく進んでいた。すると、リザードンは先にある何かを発見した。リザードンはフレアドライブで直進して奥へ向かった。
「ちょっと、リザードン?!」
「飛んでいっちゃいましたね・・・」
「いや、また戻ってきたぞ」
関索が指を指すとリザードンが早く戻ってきた。そして手にはある物を持っていた。
「タブンネ?」
タブンネが見ると、それはどこにもありそうなミカンだった。しかし顔がついている。
「これって・・・」
「ミカンじゃな・・・」
「わあ、可愛いですね」
甲斐姫が言うと、ナチュレは文字通りミカンだと答えた。直虎はミカンが可愛く見えて指でつついてみた。
「もお、リザードン。どこへ行っちゃったと思ったらただのミカンを取ってきたの・・・?」
甲斐姫はため息を吐いてガックシとした。
「どうした、そんな不満そうな顔をして」
「だってこんなミカンが何の役に立つのよ」
「まあ、持っていこう。何かの役には立つかもしれぬ」
「このミカンが、ですか?」
「でも、何の?」
直虎と関索が言うと、ナチュレは、まあ見ておれと素知らぬふりをして歩いて行った。
しばらく歩いていくと、ある物が目に見えた。
「うん、あれは?」
「あの形、かがみもちですか?
甲斐姫達が目にしたのは、先ほど手にしたミカンと同じ顔のついたかがみもちだった。
「あれ、貴方達が持ってるのはミカリンですか?」
「わ、もちが喋った?!」
「ほう、意志を持ってるもちとはな」
甲斐姫と直虎、関索は驚いたが、ナチュレとポケモン達は冷静にしていた。
「あの、ミカリンって?」
「貴方が手にしてるミカンです。私の友達なんですよ」
「そうだったの、このミカンが?」
甲斐姫が言うとかがみもちのかがみもっちんは静かに頷いた。
「じゃあ返してやらなきゃ、ほら」
甲斐姫は直虎からミカリンを取ってかがみもっちんに乗せた。
「はう〜、私が乗せたかったのに〜」
直虎は目を潤ませてしょんぼりした。関索がよしよしと頭を撫でて宥めてあげた。
「ミカリンを連れてきてくれてありがとうございます」
「いやあ、いいのよお礼なんて。あたしもこのミカンがただのミカンじゃないって思っていたから」
甲斐姫の台詞にナチュレ達はなんて虫のいいと思いつつも怒らせたら面倒なので黙っておくことにした。
「お礼に皆さんをポカポカにしてあげますね」
かがみもっちんとミカリンは陽の光を呼んでナチュレ達に当てた。寒くなっていた一行の体は暖かくなって元気になってきた。
「何だか、力が湧いてきたな」
「ドーン!」
「タブンネ!」
リザードン、タブンネ等ポケモン達は小踊りして喜んだ。
「どうもありがとうございます」
直虎は礼の言葉を言った。
「いえいえ、そう言えば、何だか怪しい人達がここを通っていきましたよ」
「何、それはどこへ行った?」
「確か、アドさんの所へ行ったかな?」
かがみもっちんの話を聞いた一行はアドがいる道のりを走って進んで行った・・・。
続く・・・。