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花と太陽  遂に完結!!長らくお世話になりました。
作者: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM  (総ページ数: 33ページ)
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Episode13【嘘だと分かってしまったら。】

 『…んがぁ~。』
 ピピピ――――。
子猫の鳴き声と一緒に規則正しい音が部屋に響き渡る。
「……おはよ。チャロ、ご飯の用意するから待ってて。」
愛猫に起こされた私はフラフラとベットを出て着替える支度をする。
「学校……か。」
クローゼットにかけられた制服を見て思い出す。
学校と言えば通うのが苦痛でしかなかった。
――しかし今はどうだろう。学校を思い浮かべれば大好きな友達やクラスメイトが思い浮かんで自然と心が温かくなる。
けど。
今は、皆に会えない、もしかしたら一生、会えなくなるかもしれない。
だってこんなにも汚くなってしまった。ずるくて臆病で酷くて家族をバラバラにした原因の人物だったのを知ってしまった。
人に会うのが怖くなった、とも言えるだろう全ての人が自分を責め立てているようで怖い。
……本当はそんな事していないって言ってないって解っているはずなのに何故かそう感じてしまう。
こんな自分が嫌だ、怖い。
昨日、着させてもらった夜空のような深海のような色のドレスを見る。
『んがぁ~?』
私の事を心配しているように、励ましているようにチャロはすり寄ってくる。
そんなチャロの優しさが撫でるように、いや、矢のように重く突き刺さる。
心配されて励まされているのに涙が頬を伝ってくる。
「――――これから、どう、しよっか?二人で遠くに逃げちゃっおっか??」
私は止まらない涙を拭いながらチャロを撫でる。
「ねぇ、チャロ?貴方はどんな時も私の味方でいてくれるの?学校に行きたくないんだ、逃げてもいいかな。」
『んが。』
勿論、大丈夫だよと返事するように抱きついてくる。
いつだって、チャロは味方だった。中学の時も小学校の時も。
傷付いて泣き叫ぶ時もいつだって傍にいてくれた、励ましてくれた。
それに勇気づけられて学校に通っていた。
――いつもと同じような立ち直れる事だったらよかった、むしろこんなこと起こらなければよかった。あの時、お母さんに会いに行かなければ電話を掛けようと思わなかったら――――。
本当に後悔ばかりだ。
あの時は良かれと思ってやっていたのに。
今では自分を苦しめて後悔している。
矛盾してる。ずるい。
―――――――――――夢だったらよかったのに。嘘だと分かってしまったらこんなにも救われるのに。
現実は甘くない、思い通りにいかない。苦いんだ、酷いんだ。

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