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花と太陽  遂に完結!!長らくお世話になりました。
作者: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM  (総ページ数: 33ページ)
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10~ 20~ 30~

*23*

strawberryflower2、【運命&好きって言わせる宣言。】


『やっぱり、好きな子にはカッコいい自分を見せたいですよね~。で、悠翔君は何をするの?』
――――確かこの双葉 悠翔というのは今、話題沸騰中のアイドルらしい。
好きな子……アイドルはどんな事をするのだろう?
『まずは格好から俺は変えます。ただ、変えるのではなくてイメチェンというのをします。進学シーズンという事で眼鏡をコンタクトに変えたり髪の毛をショートに変えたりまぁそんなことをします。』
なるほど。
やってみたら彼女はどんな顔をするのだろう?
「――――ちょっと桜太~!!テレビ見てる暇があったら木春の幼稚園、迎えに行ってきてよっ!!」
テレビと美容室のチラシにくいついていると姉の怒号が聞こえる。
木春というのは僕の姪っ子だ。
姉が結婚して春休み期間に僕が入っている中、姪っ子の世話に最近、僕をコキ使っている。
いい加減にしてほしいところだ。
「え、嫌で……。」
「――――あ??」
「は、はい!!勿論、僕は木春ちゃんを喜んでお迎えに行ってきます……!!」
姉の怒りの眼光に負け、僕は大急ぎで迎えに行く準備をし幼稚園に向かう。
またコキ使われてるし……。
――――――なんか良いことないかなぁ。
苺香ちゃんに会えたらなぁ、なんて会えないか。
芸能界に入る準備で大忙しなのに……。
「はぁあああぁ……。」
ため息を吐くと木春ちゃんが袖を引っ張ってくる。
「おじたん!!おじたん!!」
―――おじたんかぁ、僕まだ18なんだけどなぁ。
「ん?どうしたの、木春ちゃん」
「こは、見つけっちゃった!!」
と言い木春ちゃんは可愛らしい短い腕をブンブン振り回しながら前を指さす。
「あの子達、しゅごく綺麗っ可愛い!!!」
しゅごく綺麗、可愛い?あの子達って……?
前を向くと女の子が3人立っていた。
小さなモダンな雰囲気を漂わせるカフェを出て、片手にはケーキを持っている。
一人は艶やかな長い黒髪が特徴の凄く綺麗な女の子とふんわりとした肩ぐらいの栗色の髪の毛を緩く結ったきの強そうな女の子。

―――それと、、、髪の毛を高く二つに結ったツインテールの髪型とくりくりの二重おめめが印象深い僕の好きな女の子。

い、苺香ちゃんだっ!!
本当に会えてしまった、――――――会えたところでどうするべきだろうか、知らないふりをする?
2週間前には本人のいる場所で調子に乗って伝えてしまった、告白というものをしてしまった……。
ああぁぁああ、2週間前の僕!!馬鹿か、今あんなことをしていなければ一緒にお茶をしたり、喋っていたのに失敗した。
「おじたん!!なんで、黙っているの??こは、あの子達と喋りたいよぅ……。」
そんな無茶、可哀想だけど断るか……。


「――――――あれ?奏君、奇遇だね……!」


控えめな声が響き、僕は冷や汗をかきながら振り向く。
あぁあああ!!!終わった……。
きっと、モタモタしてこの場所を離れなかったから気づかれたんだ。
木春ちゃんもいるし本当に僕、馬鹿。
「あ、やっぱり奏君だったよ!!」
眩しい笑みを放つ高嶺さんにほらね、という顔の桜庭先輩……。
後ろには――――――真っ赤な顔して俯く苺香ちゃん。
「苺香?何、赤面して俯いてんのよ。それだと好きだって顔に書いてあるもんよ?」
「ス……ッ!!!?○×△××??!!」
桜庭先輩の口から出た『スキ』という言葉を聞いた瞬間、苺香ちゃんは動揺する。
「あんた、本当にどうしたの??」
「―――――美麗さん、美麗さん!!奏君に会えたから嬉しいんじゃありませんか?」
その言葉を聞いたことにより、桜庭先輩が悪い笑みを浮かべる。
「えっと。木春ちゃんだっけ?」
「こはね、こはって言うの!!」
自信満々にピースをしながら言う木春ちゃん。
「お姉ちゃん達と遊びに行かない?」
「家まで送ったあげるよ?――奏君、私達。遊んできていい?」
僕は突然、は、はいっと答えてしまう。

――――それがどんなことを意味するのかも知らずに。


***

 今、とても気まずい。
何故なら、苺香ちゃんと二人きりになってしまったから。
沈黙が痛い。
「――――――苺香ちゃん。」
僕が彼女の名前を呼ぶとビクッと肩を揺らす。
調子に乗らないで僕の事が好きで両想い、という事が確証してから伝えるべきだった。
今回の僕は失敗したなぁ。
こんな状況で知られているんだったら奥手に出てみようか。
あえて強気に出るんじゃなく。

「……卒業式に言った言葉、僕の事が嫌いになりましたか??」

泣きそうな声で涙を目に溜めてみると苺香ちゃんは予想通りに声を上げ戸惑った。
素直で表情が豊か、愛らしい顔立ち。
彼女はお人好し過ぎて僕は心が痛むときがある。
「そ、そんなことないっ!!――――――むしろ好きになった、怖かったの嘘なんじゃないかって。」
やっぱり、肯定してくれる。
ほら。
チクチク痛む。苺香ちゃんを見ていると心がとても痛くなる。
「僕、宣言します。」
「……え?」
「僕の事を、苺香ちゃんに好きだよって言わせる、という宣言です。」
「好きに……?」
「覚悟しといてくださいね?――では。」

言ってしまった、あぁあああ!!
また、やってしまった。
超絶可愛い彼女にやられてしまった。
なんだよ、あの顔。
「……可愛すぎだよ、もうっ!!」
あれは―――脈アリの顔???


『そ、そんなことないっ!!』


―――解らない、本当にどっちかにしてよ。

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