完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

花と太陽  遂に完結!!長らくお世話になりました。
作者: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM  (総ページ数: 33ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~

*24*

strawberryflower3、 【隣の部屋、愛の告白。】



 『……あぁ、苺香?お母さんです―――――で、新しいマンションにはついたの?』
「うん、勿論だよ。荷物が届いたんだけど、多すぎて大変なの!」

4月、桜が咲き乱れるこの季節―――――私は大学一年生になって芸能界に入る。
新しく住み始める住居は東京の街、スカイツリーがバッチリ見えて桜の木がある眺め住み心地が最高な部屋。
 サァ―――――。
桜の花びらが舞い上がった時にお母さんの呆れたような声が聞こえる。
『可愛い子には旅をさせよ、って言うけどやっぱり心配ねぇ……。千雪ちゃんもいないし、、、あ。でも大丈夫か!!』
「え、なんで??」
私が訪いかけると信じられないことを言い出した。
『聞いていないの??苺香の隣の部屋の持ち主、奏君だもの。』
「……は?え、うん!??――――今、何て言った??」
『ママ!!――――あぁ、ごめんね。翔、今行くからね。……じゃあ行ったからね、新生活ファイト!!』
 ブツ―――ッ。
「まっ!!ちょ、え、お母さんっ?!」
切られてしまった……。というか桜太が隣って何?


 『―――僕はずっと前から苺香ちゃんの事が好きなんですよ?』


「……私もだよ、だなんて言えないよ。バカ、、。」

 
***

 コンビニ、ネットカフェ、カプセルホテル、立ち並ぶ大きなビル。
なるほど。これが、東京か……。
僕は辺りをキョロキョロしながらうっとりする。
新生活がウキウキ、だなんて僕は思わない。
多分一週間前だったらそんなこと思っていたはずだ。
でも……。
 

 およそ一週間前――――。

「よいしょっ!!―――お願いします。」
僕は荷物をまとめて引越センターに乗っける。
ふぅ……。
終わった、終わった。
これで身一つだけか、けっこう早く終わったなぁ。
苺香ちゃん。――大丈夫かな。
荷物多くなりそうだし優柔不断のせいで大変になる、と思う。
手伝いに行こうか……でも。
「~~!!!もう、行こうっ!」

 ピンポーンッ!!
「は~いっ!!―――――あら、桜太君。久しぶりね!」
苺香ちゃんのお母さんは愛らしく微笑む。
 やっぱり、苺香ちゃんに似ているな……ってそうじゃなくてっ!!!
僕は真剣に向き直り、言った。
「苺香ちゃん、引っ越しの準備終わりましたか?……心配になってしまってすみません。」
「そんなことないわよ!!良かった、丁度、東京にあの子一人だと不安で仕方がなかったのよ!!」
は?
苺香ちゃんのお母さんは満足そうに僕を見つめる。
「苺香の隣の部屋、開いているんだけど……隣に住んで苺香の事、支えてくれない?」
隣の部屋に住むって……?
僕が頭を抱えていると苺香ちゃんのお母さんはどこかに電話をかけ始める。
?……ま、さ、か。
「――――――あの、どこにかけているんですか??」
キョトンとした顔になってからニコッと笑う。
「勿論、桜太君のご両親。――良いですって、苺香の事よろしくね。」
ええええええええええええ!!?
父さん、母さん。OKしちゃったの??

――――――――っていうことで現在に至っているのか。
「どうゆう事なの?」
マンションに渋々入ると苺香ちゃんがいて説明することに。
「頼まれたんです、苺香ちゃんのお母さんに。」
簡単にまとめて説明すると、苺香ちゃんは頭を抱える。
「やっぱり、お母さんか!!!」
要らないよっと迷惑そうな眼で僕の事を見る。
 ズキズキ……。
胸が針で刺されたように痛くなった。


「――――そんなに僕が一緒のマンションに住むことが嫌なんですか?」


弱々しい声を出してしまったせいか、苺香ちゃんは息を呑む声が聞こえた。
「あっ……。困らせてしまってすみません。」
無理やり笑顔を作って苺香ちゃんに謝ると僕は立ち去ろうとしたら呼び止められた。
「待ってっ!!」
「い、ち、、、かちゃん?」
真っ赤な顔をして今にも泣きそうな眼で見てくる苺香ちゃんは近づいてくる。
「―――恥ずかしかったの、ただ。卒業式に言ったことも嬉しくて夢みたいで。」
「え。」
「ずっと好きだったの。初めて会ったあの時から。なのに、言い出せなかった。『好き』だって。いつも以上に頑張って私に緊張したり照れたりする桜太が新鮮で―――構ってくれるのが嬉しかったの。」

嘘だ、嘘だよ。苺香ちゃんが僕の事―――――――!!

「ごめん、こんな私、嫌、、、だよね?」
泣きそうな弱々しい声を薄紅色の小さな口から出す。
僕は嬉しさから泣き出しそうになった。

そんなことないよ。

十分だ、これ以上の幸せってあるのかな。

嬉しくて仕方ないよ――――――。

気持ちをちゃんと伝えたい。


体が勝手に動いた。___


「……え。」
苺香ちゃんの可愛らしい声が響く。

  グイっ


___気づいたら、僕の腕の中に苺香ちゃんがすっぽりとうまっていた。___
 
「……桜太、すごいドキドキしてる。」
「苺香ちゃんこそ。――――この通り、どんな苺香ちゃんだってボクは大好きなんです。これ以上好きにならせないでくださいよ。」

この温もりを、ときめきを、愛おしさを離したくない。
初めて会った時から君の事が好きだった。
一目惚れだった。


僕達は桜の花びらに惹き合わされた、うららかな春の日に優しい太陽と花と一緒に。

23 < 24 > 25