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花と太陽  遂に完結!!長らくお世話になりました。
作者: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM  (総ページ数: 33ページ)
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10~ 20~ 30~

*6*

Episod5

「千雪お昼食べよー」
うん、と言って教室を出ようとしたとき、
「僕もご一緒していいですか?」
この声は、奏桜太君だ。
綾瀬君の親友でもあり、苺香ちゃんの好きな人。
「べ、別にいいけど!って泰陽は?」
 ″泰陽たいよう〟
その名前を聞くだけでドキドキする。
「千雪、顔真っ赤だよ?」
「なんか上級生女子に屋上に来いって呼び出されたみたいですよ」
私達は顔を見合わせて苺香ちゃんは言う。
「……それって」

屋上。
「私、君みたいな男の子好きだなぁ。」
綺麗なショートカットの女の子が自信たっぷりに言う。
「美麗ちゃんみれいは学年で一番可愛い子なんだよ。そんな子が君を好きだって言っているんだよ」
後ろのお団子にした女の子が言うと、
「付き合う?どうする?」
  ごくり……
当の綾瀬君は一度黙って、
「あの、帰っていいですか?」

「「は?」」(綾瀬君以外)

「み、美麗ちゃんが付き合ってもいいよって言ってるんだよ?」
「ちょっと待って!ちょっと待って!!帰りたい理由は何っ?!」
 綾瀬君、どうしたんだろう。
「あの、付き合うとか何するか分からないんで」
恥ずかしそうに言い終えると下を向いて黙り込む。
「ピ、ピュア……!」
綺麗な女の子は顔を赤らめて力が抜けたようにしゃがりこむ。
一緒にいた女の子は動揺して何度も名前を呼ぶ。
「あぁ見えて恋愛偏差値すごく低いんですよね」
「嘘、見えないね千雪!」
綾瀬君があの女の子と付き合わなくて良かった、だなんてあの女の子は失恋したのに自分は酷いと思う。


「泰陽く~んっ一緒に帰ろ?」
お昼の時に綾瀬君に告白した女の子が綾瀬君に抱きつく。
 ズキっ
痛い胸のあたりが刺すようにズキズキと痛む。
「ちょっ先輩っ!抱きつかないでくださいっ!!」
頬を真っ赤に染め困ったように言う。
「先輩だなんて呼ばないでよっ!美麗って呼んで。でも恥ずかしがってる泰陽君も可愛い~」
きゃっきゃっ言いながら綾瀬君に抱きついてる。
「ああ、泰陽君が可哀想です。」
「こんな人がいっぱい居るのにやりすぎじゃない?あの先輩、ねぇ千雪?」
あれ?千雪?と苺香ちゃんの呼んでいる声が聞こえる。

体が勝手に動いた___


「……うわっ!」

  グイっ


___気づいたら、綾瀬君の腕を引っ張てた。___
 
「ちょっとあんた離しなさいよ。泰陽君が痛いでしょ、ていうかどこの誰よ」
女の子が睨み付ける。
「離さない」
自分の首を振ると顔を上げて言う。
「離さない」

凄い、この子。唇もほんのりピンク色でプルプル。しかもまつ毛も長くて目がぱっちり……無駄な肉もついてなく足も手も細いし色白。
 ま、眩しい……!何、このオーラ……!
「あんた、泰陽君とどういう関係よ」
女の子は黙ると困ったように目線を逸らして目をウルウルさせる。
「あれ、先輩だよね」
「あの人、高嶺さんの事虐めてるんだ。てか勝てるわけないだろ」
「あの奪い合いされてる男誰?」
周りの人達が騒ぎ立てる。なんか気まずいんだけど……。
すると高嶺って呼ばれてる女の子が口を開く。
「離して…お願い」
ヴっ…心が痛い。
そう思うとパッと手を離してしまった。
その瞬間。

泰陽君が走って逃げだす。
「あっ」
追いかけなきゃ…。
 グイっ
「待って、行かせない」
 しつこいなぁ、この子。
私の腕を掴んだ手を振り払い、私は泰陽君を追いかける。
 それより、泰陽君とあの女の子はどういう関係何だろう。 

「千雪、泰陽の事好きだよね?」
 私が綾瀬君を…好き?
そう繰り返すと心がポカポカした。
「……好き」
そういった瞬間、私は恥ずかしさのあまり首を振って言い直す
「こ、困ってたから」
ふーんとニヤニヤして苺香ちゃんは仕方がなそうに言う。
「今日は勘弁してやるか」

私が綾瀬君を好き?
そう自覚した瞬間目の前がきらきら輝いてるように見えた。
 ポカポカしてくすぐたったい。
初めて知ったこのときめき、また綾瀬君をのおかげだ。
これが恋なんだね、ありがとう。



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