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花と太陽  遂に完結!!長らくお世話になりました。
作者: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM  (総ページ数: 33ページ)
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10~ 20~ 30~

*8*

Episode7


「ご飯、行く前に奏君と綾瀬君。ノート出して!」
 んーと言いノートを俺たちは渡す。
すると、桜太が笑顔で言う。
「手伝いますかー?」
「えっ、いいの?」
「大丈夫ですよ、男2人ですから。」
ありがとーとノートを渡す。
 なんで、俺も入ってんの……。まぁ、いいか。
「職員室の後は売店行きましょうね。」
だからか、手伝うって言ったの。まぁ、職員室と購買近いからな……。

 「あ、苺香ちゃん、高嶺さん。また、屋上で食べるんですか?」
高嶺を見ると目線を逸らされる。
 グサッ!!
痛い、マジで心が痛い。
「うん、そーそー。」
「いいですね。僕達なんか大体パンなんですよ。」
「えー、いいじゃんパン。あ!?ココア頼んでいいかなっ!!?待ってるね?」
と苺香が500円玉を差し出して屋上に向かう。
 !?待ってるって??
「ココアって色んなのがありますがどれでしょうか?」
俺が苺でいいんじゃねと言うとそれを買う。
 屋上への階段が高く感じる。
 ごくり……。
「桜太、行ってこい。」
「えっ!?一緒に行きましょう!ほら、高嶺へっ!」
俺を引きずって階段を上り始める。
 キィ……。
その瞬間、外を見つめていた高嶺のつややかな黒髪が風になびいた――。
「あ、桜太!おいでよ、一緒に食べよ~。」
 えっ!?一緒に食べるのか???
「ねぇ!ちゆ~メロンパン買ってきてくれたって」
「え、高嶺さんメロンパン好きなんですか?僕もです。」
「あたしも~みんな、好きだよね。」
 ってか、いつの間に買ってたのかよ。桜太、お前女子かよ……。
「泰陽君!一緒に座りましょうよ。」
え、嫌なんだけど……そう思って俺がためらっていると、
高嶺がこっちを見て悲しそうに目を伏せる。
 高嶺……、なんでそんな顔をするんだよ。
俺が、仕方がなく座ると苺香がまた言う。
「千雪が開かなくて困ってる。泰陽、よろしく。」
高嶺は、ぐぐぐ……と強張った顔で開けようとしていた。
「桜太。」
「はい、開けますね~。」
高嶺のココアを取ろうとすると苺香が言う。
「ちがうよ、泰陽に頼んだんだよ。」
俺は否定を出来なくなり、素早く開けて苺香に返す返す。
「……は、はい、千雪。なんか千雪の事意識してるみた~い。なぁんて、まさかね。」
「ん、そうですね。まぁ、泰陽君も男の子ですし……でも女子とかまだ興味なさそうですよねぇ。」
「……ず、ずっと剣道一筋だったからかな~?」
「僕もです。」
「兄弟……男だけとか!!」
「僕もです。性格なんじゃないですか?泰陽君は不器用だけど一つに集中したら、凄いんですけどね……。」
俺は苺香たちの会話を聞きながら考える。
 性格か……。そうかもしれない、ずっと剣道一筋で恋愛なんて興味なくて――。
でも、今は――好きな人がいる。
そう思い、高嶺を見ると幸せそうに目を伏せてココアとメロンパンを食べていた。
 キィ……。
「帰るぞ、桜太。」
「えっ!?待ってください!あ、じゃあ失礼しましたっ。どうしたんですか?」
 やばい、やばい……。
今、俺、高嶺や恋とかの事で頭いっぱいだ。
「……だ。集中しろ!!俺!!」
「へ??」
 集中、集中……。
集中だ、俺は勘違い野郎じゃねえ。
「面!!」
「「止め。白、青柳。」
「よっしゃー!初めて、綾瀬に勝った~!!!」
「うわ、珍しい~、どうした?綾瀬。」
 頭がふわふわする。
「青柳に負けたのが悔しいんじゃね?」
俺は、床を見つめ言う。
「くらくらする。」
「えっ、大丈夫か??」
俺が思わず、あの昼の時を思い出し目をつぶると言ってくる。
「え、痛いのか?」
「大丈夫だよ。」
 屋上から、見えた景色は剣道の部活がばっちり見えた。練習もあの見えるところでやってる。
――まさか、高嶺は……なわけねぇよ、俺なんかに高嶺が恋するわけない。
 俺は、一人ため息をついた。


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