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ざくざくアクターズZ!(完結)
作者: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: メイドウィン小説 ざくざくアクターズ ざくアクZシリーズ マジンガーZ メイドウィン小説入門用 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*27*

鴉村を後にして...道端でハグレ王国の驚きの声が響き渡る

全員
「全部演技だったぁ!?」

たくっちスノー
「...うん、はい、そうなんです。」

そしてヒーローショーが終わった後、楽屋でぐるぐる巻きにされ引きずられたたくっちスノーが観念して答えた。

デーリッチ
「え、じゃあまさかマガイモノライダー無决も...」

たくっちスノー
「確かに使ったのは初めてだけど、あれでも手加減してたんだからな?」

Sonic.exe
「俺に対してのアレは?」

たくっちスノー
「お前は全力出さんと勝てへんし....」

たくっちスノーはめんどくさそうな口ぶりで答え続ける、しかしその態度がローズマリーの逆鱗に触れた

ローズマリー
「貴方は全く変わってない!...前に私達と戦った頃から....ずっと!」

たくっちスノー
「何言ってるんだ!!メイドウィンはキャラクターを殺せないんだから結果的に大丈夫だろ!」

ローズマリー
「殺さなければ良いとでも思っているのか!?」

Sonic.exe
「...T、黒影(メイ)もそうなんだが、お前は他人に関しての興味が薄すぎる」

ローズマリーの怒りを遮り、Sonic.exeがポツリと語り始めた。

デーリッチ
「どういうことでちか?」

Sonic.exe
「前にメイとこいつに出会ったお前達なら、奴等に『好き』と『嫌い』の感情が無いことは知ってるだろう」

メイドウィンに欠けた感情...『好き嫌い』

たくっちスノーはこれまで、何かを本気で好きになったことも何かを嫌いになったこともないのだ。

ローズマリー
「そういえば、運動祭でそんな事を言っていたような...」

たくっちスノー
「まぁ、そうだな...まだリアルワールドで人間だった頃、自分は感想文を書くのが苦手だった、まぁ今でも感想書くの苦手だからコメントとか残せてないんだけど」

Sonic.exe
「感想文、例に何か挙げてみろ」

たくっちスノー
「そうだな...とある野球の弱い大学が、一人の監督によって建て直された...的なビデオを授業で見せられたことがあったな」

Sonic.exe
「よくある王道ネタだな、それで何行か書けるだろ?」

デーリッチ
「そうでちね、選手達がどういう風に成長していって、どう思ったか~とか」

ミアラージュ
「このトレーニングはこうだと思った~とか」

ベル
「この監督は僕から見てこうだと思った~とかですね」

たくっちスノー
「...結構出てくるもんだね」

ハグレ王国の子供達の意見を、たくっちスノーは感心しながらメモる

ローズマリー
「いや、今さらメモってもしょうがないでしょ」

Sonic.exe
「...それで?お前は何て書いたんだ?」

たくっちスノー
「『すごかった』」

ベル
「え?」

たくっちスノー
「『すごかった』」

ベル
「...もしかして、それだけですか!?」

たくっちスノー
「そのすごかったの五文字も、何も書かないよりはマシだろうと思って書いただけ、別に何もすげーと思っていない」

ヘルラージュ
「嘘でしょう?流石に何か...」

たくっちスノー
「だって自分、誰かの武勇伝とかすげぇ話とか聞いても全然共感できないし、興味ないし、何が面白いのかさっぱり分からないし....」

Sonic.exe
「...だから言っただろう?こいつは他人に対する興味が薄すぎると」

ローズマリー
「なるほど、彼はいい人になったわけでもなければ、最初から悪人だったわけでもなかった」



ローズマリー
「この人は自分の意思がない中途半端な人間だ」

たくっちスノー
「えっ?」

たくっちスノーはその言葉を聞いて深く絶望する、『自分は何も変わってなかった』『自分は善人にも悪人にもなりきれてない、いなくてもいい人間』

ベル
「あの...たくっちスノーさん?どうして、いい人になろうと?」

深く落ち込むたくっちスノーに、ベルは疑問を投げ掛ける、するとたくっちスノーは細々と答える

たくっちスノー
「ある日...二年後の自分がやってきた」

ローズマリー
「二年後の...たくっちスノー?」

たくっちスノー
「別の世界線から来た未来の自分、名を『ロストメイドウィン・ザ・ダストヒューマン』と名乗った」

ヘルラージュ
「意訳するとゴミ人間って...」

たくっちスノー
「奴は言った、こんな生活を続けていると別の世界線の自分が死ぬと」

ミアラージュ
「どういうこと?」

たくっちスノー
「自分はリアルワールドに分身を残してある、メタ的に言うと小説を書くための分身...だがこいつには生活力がない、もしこのまま大人になれば小説を書くところか、生きていけなくなると奴は言った。」

Sonic.exe
「....タイムリミットはどれくらいだ?」

たくっちスノー
「...たぶん、リアルワールド西暦で2019年、分身が高校を卒業できるかで決まる、ロストメイドウィンは、2019年に卒業出来ず自殺した未来の自分自身なんだ」

デーリッチ
「...そっちの事情は分かったけど...どうする?ローズマリー?」

たくっちスノーから全てを聞いたデーリッチは、ローズマリーに問いかける

ローズマリー
「デーリッチ、君はどうしたい?彼をこのままハグレ王国に滞在させるか、それとも追い出すか。」

Sonic.exe
「もしTを追放するのであれば、俺もその場を去るとしよう」

デーリッチ
「んー...やっぱりこのままで良いでち、まだアテが無さそうだし」

たくっちスノー
「...あんがと」

ローズマリー
「ただし!」

デーリッチとたくっちスノーが言い終える前に、ローズマリーが言葉を挟んだ

ローズマリー
「貴方はここで学んでもらいます、何かを好きになること、そして何かを嫌いになることを」

たくっちスノー
「....ああ、やってみる」

Sonic.exe
「言っておくが俺も田所も手伝わないからな?時には自分で考えて一人でやってみろ」

たくっちスノー
「自分で考える...これも自分に対する課題かな」

ベル
「....あっ!ハグレ王国が見えてきましたよ!」

デーリッチ
「たまには徒歩で帰るも悪くないものでちねぇ」


こうして、なんでも屋マガイモノの初めての仕事は終わった。


そしてたくっちスノーの、感情を取り戻す宿題が、始まろうとしていた.....

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