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ざくざくアクターズZ!(完結)
作者: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: メイドウィン小説 ざくざくアクターズ ざくアクZシリーズ マジンガーZ メイドウィン小説入門用 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*40*

たくっちスノー
「自分、愛するかなちゃんの為ならなんだってやりますから」

かなちゃん
「そうですか。」

たくっちスノーの発言に、かなちゃんは苦笑いする

普通の男性ならよくある口説き文句で終わるのだが、たくっちスノーの場合本当になんでも出来るし、今の彼ならなんでもやりかねないのだ。

~回想~

もし..

男性
「ちょwなにあのデカいのwwwキモいんですけどwwww」

なんてギャル男の発言が聞こえてくるなら

たくっちスノー
「....カブト」

【clock up】

たくっちスノー
「は?かなちゃん様はむちむちボディーなんですが?死ね」ズダダダッズドドドド

【clock over】

男性
「あべばっ!!」

カブトの設定を使い、男をグチャグチャの肉片へと変える

たくっちスノー
「よし」

~回想終わり~


...なんて事が普通に起こりかねないのだ

これは決してオーバーな表現ではない、かつて二度も彼と死闘を繰り広げた彼女だからこそ、こういった部分を心配しているのだ。

かなちゃん
「あのー...アイスでも食べませんか?」

たくっちスノー
「ん、アイスですか?簡単な奴ならその場で作りますけど...」

かなちゃん
「...あ、あー!!私あのアイス食べたいなーって!!」

かなちゃんは慌ててアイス屋に指を指す。
危なかった、たくっちスノーはアイス程度なら簡単に簡単に作れるんだった、氷魔法のアイスなんて洒落た事もしてくるかもしれないが、今のかなちゃんはそれどころじゃなかったのだ。

たくっちスノー
「...ああ、なるほど、自分買ってきますんで待っててください。」

かなちゃん
「ええ...」

たくっちスノーはアイス屋へと駆け出していく、その姿を見て、かなちゃんは安堵した。

かなちゃん
「ふぅ...改めて感じると、とんでもないのに惚れられましたねぇ」

たくっちスノー
「お待たせ!」

かなちゃん
「はっや!!」

たくっちスノー
「よくよく考えればストップ・ザ・タイムとか『世界(ザ・ワールド)』とか時間停止系あるの忘れてました...あ!ちゃんとお代は置いてきたので心配しないでください、はい。」

たくっちスノーはニカッと笑いながら赤色のアイス棒をかなちゃんに差し出す

かなちゃんは知っているのだ。

たくっちスノーがニカッと笑っているときは、キャラ付けの為の作り笑い、つまり心からの笑顔ではないことを。

かなちゃん
「...あれ?このアイス棒、一本しかありませんけど?」

たくっちスノー
「時間止めて先に食べました!」

かなちゃん
「...まぁ、そういうことにしておきますね」

たくっちスノー
「はいー♪」


Sonic.exe
「あいつにこれといった動きなし」

野獣先輩
「戦い以外で設定を使ったの初めてじゃないっすか?」

Sonic.exe
「...そういえばそうか、もっと観察だ。」

野獣先輩
「オッスオッス!」

...
アイスを食べ終わり、公園で一息付くことになったが.....

かなちゃん
「あのーたくっちスノーさん?確かに私、自分の重さじゃベンチ潰れちゃうなーって冗談で言いましたけど...」

たくっちスノー
「あ、大丈夫です!自分の足、今プロレスの王者バッファローマンなんでちょっとしたことじゃ潰れません!」

どういうことかというと、かなちゃんが座れる場所が無かったため、たくっちスノーが椅子になっているのだ

かなちゃん
「変な性癖目覚められても困るんですけどね...」

たくっちスノー
「あ、心配ありません!自分女性同士の絡みが好きってこと以外はノーマルなんで!」

かなちゃん
「なにが心配ありませんですかぁ!?」

ヅッチー
「あ、かなちゃん何してるの?罰ゲーム?」

たくっちスノー
「罰ゲーム違う、自分かなちゃん様の椅子!」

プリシラ
「....はぁ、かなちゃん、私たちそろそろ昼食にしようと思ってるんですが、一緒にどうですか?」

かなちゃん
「構いませんよ、たくっちスノーさんはどうです?」

たくっちスノー
「ああ...メイドウィンは、朝昼晩の食事は決められたものを食べないといけないんだ、だから無理だ」

ヅッチー
「...そうなのか、大変な仕事なんだなメイドウィンって」

たくっちスノー
「まぁね」

プリシラ
「では、後で呼びにいきますね。」

たくっちスノー
「あいあいさー」

たくっちスノーはニカッと作り笑いをしながら、ベンチに座り渦を作り出す。

たくっちスノー
「...今日のメニューはドライカレーかぁ」

メイドウィンは決められたものしか食べられない....例えば、和食しか食べることを許されないメイドウィンや、たくっちスノーのようにインスタント食品ならなんでもいいと自由が効くメイドウィンもいた

たくっちスノー
「....はぁ。」

思わず素でため息が出てしまうたくっちスノーに、ずっと隠れていたexeが、偶然を装って現れた。

Sonic.exe
「よう、デートは順調かな?」

たくっちスノー
「exe...お前の事だから自分の失恋を予想して大笑いしにでも来たんだろ?」

Sonic.exe
「俺をスカウトしただけあって、そういうことはよく分かってらっしゃる」

たくっちスノー
「お前はそういう奴だからな...」

同じ神でも、接し方が違う。
exeは、破壊と殺戮の神(マガイモノ)でそっけなく扱いながらも気が合う悪友のようなものだった。

Sonic.exe
「お前があそこまで惚れ込んでる姿を見るのは初めてだ。」

たくっちスノー
「そっか、ありがとう。」

Sonic.exe
「いや、こちらとしてもお前の能力を自分の事以外に使ってもらいたいと思ってたからな....ところで、結婚とか考えているか?」

たくっちスノー
「結婚?」

Sonic.exe
「...そう、結婚、愛の終着点(ラストシーン)だ、愛しているのならそういうことも視野に考えて...」

たくっちスノー
「...結婚はしないかな」

Sonic.exe
「WaT!?」

たくっちスノー
「あ、もちろん理由はあるんだよ、聞いてほしい。」

Sonic.exe
「ま、待て...ここだとマズい、場所を変えるぞ」

Sonic.exeに腕を引っ張られ、たくっちスノーは帝都から離れていく


その姿を、かなちゃんは見ていたが、付いていこうという気にはなれなかった...

~海~

海、帝都から遠く離れたところ、隠し事をするにはもってこいの場所だった。


Sonic.exe
「理由とやらを聞かせてみろ、無責任な事言い出したらお前の内蔵を食ってやるからな」

たくっちスノー
「あー、分かったよ...理由は沢山ある」

たくっちスノーは砂浜の砂をなぞり、メモりながら答えていく。


たくっちスノー
「...一つ!メイドウィンは指定された物以外の食事をオヤツ以外認めておらず、かなちゃん様の手料理は食べられない」

たくっちスノー
「...二つ!かなちゃん様はセクハラ持ちだ、男性より女性が好きだろう...一応ボディチェンジは出来るがそれはかなちゃん様の為にはならない。」

たくっちスノー
「三つ!自分は誰でも出来ることしか出来ない!家事も仕事もてんでダメだ、これはまだどうにかなるかもしれないが...」


たくっちスノー
「...と、まぁこんなもんだ、どうだ?」

たくっちスノーはexeの顔を見る、exeは納得しきれない顔をしていた...

たくっちスノー
「...しょうがないか、これはあまり言いたくなったんだけど、四つ目!」





『メイドウィンは作品に深く関わることを禁止している』


exeはそれを聞いてはっとする...これはメイドウィンが一番守らなくてはならないことだ。



たくっちスノー
「かなちゃん様はさ、いい女だよ。」

たくっちスノー
「触れると暖かいし、優しいし、セクハラはするけど加減はするし、面倒見はいいし、いざというとき頼もしいし...後、声が綺麗。」

Sonic.exe
「.....」

たくっちスノー
「どうかな?これでも理由考えた方なんだよ?」

たくっちスノーはニカッと作り笑いをする...しかし、その表情は今にも崩れそうだった、笑顔を作るのが必死だった。

たくっちスノー
「でもね、だけどね、どんなに自分がかなちゃん様が大好きでも、もしも仮にかなちゃん様が自分を愛していたとしても」


『ダメなんだ。』

『だって自分は、この世界(ざくざくアクターズ)のキャラクターじゃないから』

『自分は偽物(マガイモノ)、本来存在しない異形の怪物。』

『でも...結婚は出来なくても、デートの真似事ぐらいなら、黒影も許してくれるよな?』

Sonic.exeは....何も言えなかった。


彼らはマガイモノであり、全く別の世界の存在。

彼の恋は、『この世界の住民ではない』という単純な理由でいずれ打ち砕かれる。

たくっちスノーは夢を見ようとしている、

必死に普通の人間と同じ事をしようとしている。

だが、それは不可能、夢というのは、いずれ覚めてしまう物なのだから。

それはかつてexeが宗教で唱えていた、『物事はいずれ終わりを迎える』を表していた....

たくっちスノー
「...なぁ、exe、この事、かなちゃん様に伝えたら、逆にお前の内蔵を抜き取ってやるからな」

Sonic.exe
「...ああ、分かった。」

たくっちスノー
「...じゃ、自分かなちゃん様の所戻るから、そろそろ食べ終わる頃だろうし」

Sonic.exe
「...待ってくれ、お前が昨日食べていたインスタント食品、食わせてくれないか?」

たくっちスノー
「え?三平くんを?別に構わんけどさ...」

たくっちスノーはカップ焼きそばをSonic.exeに渡すと、ワープで帝都へ戻っていった。



exeは浜辺で一人、海を見ながらカップ焼きそばを食べた。


初めて食べた焼きそばは、何故かは分からないが、目の前の海水のようなしょっぱい味がした。

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