完結小説図書館
作者: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 58ページ)
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*34*
~王国図書館~
「うんああああああああ!!!!!」
ハグレ王国にたくっちスノーの叫び声が響き渡る
【『好き』と『嫌い』を取り戻せ】
そうローズマリーに言われて早くも3日が建った。
たくっちスノーはリアルワールドから持ってきた高校のレポートのおかげで無事に嫌いの感情が芽生えつつあったのだ
たくっちスノー
「うああああ!!分かんねぇ!!数学とかマジわかんねぇ!!英語はマジ読めねぇ!!」
ヅッチー
「ちょっとうるさいんだけどー」
この状況を良く思っていなかったのは、同じくハグレ王国に留学、つまり勉強しに滞在しているヅッチーだった。
たくっちスノーが感情を学ぶのは構わないことだが、それで叫ばれているのではうるさくてたまったものじゃない、ヅッチーはそう考えていた。
たくっちスノー
「分かんねぇ!!国語総合も!家庭基礎も!科学と人間生活も!体育も!世界史Aも!レポートの答えは大体教科書に載ってるのに!!コミュニケーション英語と数学Aの答えが教科書に載ってねえええええ!」
ヅッチー
(計算問題の答えが教科書にのってるわけないだろ... )
たくっちスノー
「大体よぉ!?方程式とかいつ使うんだよ!?英語は昔駅で外国人に話しかけられたから必要だけど、計算なんて割り算までが出来りゃ特に必要としねーだろうがよぉ!!」
たくっちスノーの声がどんどん涙声に、より荒くなっていく、それをヅッチーはうっとおしいなーって顔をしながらじっと見ていた。
ヅッチー
「そんなに嫌ならやらなきゃいいのに」
たくっちスノー
「そういうわけにはいかないんだよ!高校生にはな!必修科目っていって必ずやらなくちゃいけない単位があるんだ!この数学と英語はそれに含まれてんだよ!あああああああ!!!絶対卒業出来ねぇえええええ!!」ダンダンダン
たくっちスノーの動きは段々エスカレートし、やがて壁に頭を打ち付けるほどになった
たくっちスノー
「誰だあああああ!?数学なんて誰が作りやがった!?出てこい!ぶっ殺してやる!数学を作った奴も!数学を学校の教科に入れやがったやつも皆裁いてやる!リアルワールドから数学を消してやるぅぅぅぅぅ!!」
ヅッチー
(うわー、前のめんどくさいあいつに戻っちまった)
自慢ではないのだが、彼は勉強をしたことがなかった。
否、彼は前にも言ったが感想を書けない、つまり自分で深く考えることの出来ない人間。
勉強をやろうと思っても、何をすれば良いのか分からなかったのだ
そんなわけで、基本教科書を見て写すだけでやりきってきたたくっちスノーが、ここにきて壁にハマったというわけだ...ということをヅッチーに話したら呆れられてしまった
ヅッチー
「やっぱローズマリーの言った通り、自分自身の考えが浅いからこんなことになるんだよ」
たくっちスノー
「浅い...か、そういえばこの高校も絶対ここ行きたいって思った訳じゃなかったな、たまたま目に映ったのがその高校のパンフレットってだけで....」
ヅッチー
「ほら見ろ!そういう所がお前の治すべきところってローズマリーから言われてるだろ?」
たくっちスノー
「....はぁ」
まさか王さまとはいえ自分よりずっと年下の子供に論されるとは思わなかった...たくっちスノーはそう考えていた
たくっちスノー
「流石に悩みすぎた、頭冷やしてくる」
たくっちスノーは重い足取りで図書館を後にする...
ヅッチー
「ちょっ、おーい!これ片付けていけって!」
今のたくっちスノーにはヅッチーの声すら届いてなかった
『このままでは自分もロストメイドウィンのようになる』
その事で頭が一杯だったのだ
.....
公園でたくっちスノーは一人、ふらふらとアテもなく歩いていた
たくっちスノー
「はぁ...ダメだダメだ、考えても全然答えが出てこねぇ、後で捨てるか。」
『たくっちスノーさん』
聞き覚えのある声が遠くからする
とても大きいシルエット、見覚えのある鈍器、間違いない....
たくっちスノー
「かなちゃん...様...」
かなづち大明神(だいみょうしん)
通称、『かなちゃん』
身長は高い方と自負するたくっちスノー(170㎝ほど)より遥かに大きい体格と、妖精特有の金色の髪を持つ妖精の神。
かなちゃん
「その調子だと、心の勉強は順調みたいですね」
たくっちスノー
「まぁ、はい、それ以外の勉強はダメダメっすけど...はは」
かなちゃん
「....ふふっ」
たくっちスノーは普段見せない態度を取りながら、ゆっくりとベンチに座り、かなちゃんと話す。
何を隠そう、彼は彼女に恋心を抱いているのだ。
...最初、出会ったときには単なるキャラ付けの設定に過ぎなかった、どうして彼女が好きになったのか、どこを気に入ったのか分からなかった。
それはたくっちスノーにも、かなちゃんにも分かっていた。
たくっちスノーは決めた。
『かなちゃん様の素敵なところを絶対に見つけて、本気で好きになってやる』と
かなちゃん
「そうそう、もうすぐ昼食の時間ですのでお早めに拠点に戻ってくださいね。」
たくっちスノー
「あ、いえ、自分一人で食べますんで....」
かなちゃん
「そうですか、では。」
かなちゃんは重い足音を立てながら公園から去っていく、すれ違うように、別の人がたくっちスノーに会いに来た...ミルラだ。
ミルラ
「あの、たくっちスノーさん、お昼...」
たくっちスノー
「さっき聞いた」
ミルラ
「あっ、そうですか....」
たくっちスノー
「あっ、ちょっと待って」
しょんぼりした顔をして去っていくミルラを、思わずたくっちスノーは引き留めた
たくっちスノー
「ミルラ氏...ね、君はさ、自分同様リアルワールドに分身を残している存在だ、ルイージ氏やルルミー氏もそうだけどさ」
ミルラ
「は、はぁ...」
たくっちスノー
「君ってさ、リアルでボーイフレンドとかいたことある?」
ミルラ
「え?」
突然の質問にミルラは固まる、過激な反応をさせないようにたくっちスノーが追及する
たくっちスノー
「あんま気にしないで、ちょっと気になっただけさ、それにほら、自分ってリアルワールドじゃいわゆる陰キャだし、一度女をからかってみたかったのさ」
ミルラ
「は、はぁ...どうですかね。」
たくっちスノー
「つまり秘密って訳ね」
ミルラ
「たくっちスノーさんは好きな人っているんですか?」
たくっちスノー
「女を異性的に好きになったことは一度もない」
ミルラ
「え?」
たくっちスノー
「小学生の頃はからかってくる女は居たし、好みのキャラクターも居たけどさ、ほら自分って好き嫌いが無いじゃない?なーにを好きになったのか分かんないから『俺の嫁』的な奴は一人もいない」
ミルラ
「へぇ...よく分かんないです」
たくっちスノー
「だろうね、リアルワールドの事を君が知ってるはずもないか。」
たくっちスノー
「でも自分は今、何かを好きになろうと必死に努力してるんだ。」
たくっちスノーはベンチから立ち上がり、女性の顔付きでニカッと笑った
たくっちスノー
「だってさ、二次創作作家なら本当に好きだと思った作品を書いてナンボなんだよ?」