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憑きもん!~こんな日常疲れます~【更新停止】
作者: むう  (総ページ数: 78ページ)
関連タグ: コメディ ラブコメ 妖怪幽霊 学園 未完結作品 現代ファンタジー 
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*5*

 テスト勉強の休憩時間に書いてます。
 テスト大嫌い! うわん。
 今回はミネ・ダークネス主役なのでお楽しみに。
 毎日投稿できなくてごめんなさい。
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 【第2話:誰だお前】
 〈美祢side)

 机の上に置かれたパソコンにケーブルをつなぎ、横にはペットボトルのコーラをセット。眠くなったとき用にブランケットを椅子の背もたれにかけて準備完了。
 時常美祢流・ネットワーク環境の完成だ。
 
 俺の父親の知り合いである月森さんちの娘・コマリと暮らすことになって早一週間。
 生まれながらの悪運体質によりことごとく人生を棒に振っている彼女を危険から遠ざけるべく、今俺はこうしてコマリを監視している。
 
「いやこれ一歩間違えればストーカーだろ……」

 考えたら終わりということはすでに理解済みだ。
 なにも知らない奴からしたら、電話を繋いでまで女の子と話したい痛い人間だと思われるのに違いない。

そもそもこの同居生活は、俺へのダメージがデカい。
 コマリが引っ越して一週間になるが、家のあちらこちらから変な音が聞こえたり、電化製品が次々と壊れたりと、逆憑きの影響をモロに受けている。

 明らかにお互いの得失が嚙み合っていないのだが、コマリの父は俺の父さんの大学時代からの友達。「無理です。俺の負担がでかすぎるんで」と言えたら良かったのだが、幼少期に遊びにつれて行ってもらったこともあり、彼のお願いに嫌と言うことが出来なかった。

 あー! 頼みごとを断れない自分の性格が憎い!

「えーっと。とりあえず強い霊力は今んとこないな」
 俺は小さい時から霊感があり、霊の気配を感じることができる。この能力は写真や動画など画面越しでも使える便利能力だ。

 スマホの画面を再確認する。
 コマリは授業中だというのにノートも取らず、堂々と配られたプリントで紙飛行機を作っていた。
 幸い先生は、列の間を歩かず一時間教卓前で位置固定するタイプなので、気づかれてはいないようだけど。

「アイツ…自ら災いの種をまいてやがる。逆憑きなのを怠ける理由にするとは。だから44点取るんじゃねーの?」

 カップ麺を無許可で食うわ、失言は多いわ授業はさぼるわ。
 少しはましな行動を取れないのかコイツは!

「おいコマリ。霊じゃないけど悪い気配を感じる。古典の石橋先生は怒ると怖いぞ」

 コマリの通っている中学は公立なので、俺も昔はそこに通っていた。現在コマリのクラス担任兼古典教師の石橋先生は、俺が中1だったときの学年主任の先生だ。

 ああ、あの時怖かったなあ……。
 あの先生の目の前で「必殺★ウルトラダークネススマッシュ!」と右手を突き出した思い出、今でも忘れられないぜ……。はは。

『えっマジッ? バレてる??』
「なぜバレてないと思ったんだ。一番後ろの席は意外と見えてるもんだよ。ほらほら、石橋先生が眉をしかめたぞ。早く教科書出せ」

 いつもふんわり笑顔の優しい石橋先生は、ムッとした唇を嚙んでいる。スマホ越しでもわかる不機嫌そのものの態度。
 
 ガサガサッ。
 コマリが慌てて通学カバンをまさぐったのと、石橋先生がパンパンと手をたたいたのがほぼ同時だった。

『つーきーもーりーさぁん?」
 ひどく間のびした声は、暗く重い。
『教科書140ページ開いてって言ったよね。そんなんだと、ゴールデンウイーク明けのテスト赤点になっちゃうけど大丈夫なの?』
『……うう』

 コマリは苦虫を嚙み潰したような顔になって、視線を宙にさまよわせる。
『トキ兄めえ』
『月森さん? 教科書開いてね?』

 俺の専門はお化け関連なので、これに関しては完全にお前のせいだ。
 バーカ。ざまあみろ、バーカバーカ。
 パートナーに反して、俺の心は有頂天。
 毎度毎度俺を困らせている罰だ、とっとと報いを受けろ! 

「ふふ、ふふふふふ」
「あのー」
「あはははははは、その間抜け面! あはははははは」
「あの!!!」

 と。
 パソコンに向かってニヤニヤしていた俺を、とある声が我に返らせた。甘ったるくてちょっと滑舌の回っていない幼い声。

「ぎゃああああああっっ!? だ、だ、誰ッ!? え、なに!?」
 俺は後ろを振り替え……(いいや、椅子がローラー付きだったので正しくは椅子が回転しただけだが)、背後にいたその人物の姿を視界にとどめる。

「え、えっとお。こ、こんちゃですっ」
 声の主―茶色の髪を低い位置で二つ結びにした少女は、宙に浮きながら右手を振る。

「あ、あれ、あの、えっと。うち、月森コマリって子に用があって訪ねたんですけど、お留守ですか、ね」



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