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憑きもん!~こんな日常疲れます~【更新停止】
作者: むう  (総ページ数: 78ページ)
関連タグ: コメディ ラブコメ 妖怪幽霊 学園 未完結作品 現代ファンタジー 
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*8*

 〈コマリside〉

 家に帰ると、知らない人が私の部屋でポテチを食べていた。
 おかげで、散らかった自室はさらに汚部屋に……。

「あ、お邪魔してまーす」

 期間限定・ポテトチップス明太子味の袋をビリビリッとやぶきながら、不法侵入者はふわふわと浮いている。
 セーラー服の上に白いパーカーを羽織っている。
 その身体はうっすらと透けており、まわりには白い靄のようなものが発生していた。

「え、誰?」
「ももねでーす。この味まじやばー。ぱなーい」

 なにこの人。めちゃくちゃハイテンションなんですけど。
 え、人って言っていいのかな? ゆ、幽霊?
 でも、霊感がない自分にも見えてるってことは、やっぱり人間? どういうこと?

 難しいことを考えるのは苦手。
 面食らってしまった私に、同じくお菓子を食べていたトキ兄が説明してくれる。

「こいつ、浮遊霊の桃根こいと。おまえの逆憑のオーラに惹かれて、この家を特定したらしい」
「と、特定って。ストーカーじゃん!」

 目に見えないから余計にこわいよ!
 陽じゃなくて陰属性の方でしたか。失礼しました……ってなるかい!
 置かれた状況について行けなくて、心の中のツッコミコマリとボケコマリが漫才を始めちゃったよ。

「ちなみに、恋愛の神様らしい」
「へっ?ど、どういうこと?」
「よーするに、二つのソウル持ってんだと。ウルトラソウルッ! ってやつよ」

 ロ●ンスの神様……? そ、それにウルトラソウルって。
 たとえがマイナー過ぎるよトキ兄。元ネタしってる私ですら、一瞬動揺しちゃったし。

「言い方ひどいですよぉ」
と、こいとは唇を尖らす。

「特定したのはリア友だって説明したじゃん~」
「リア友?」
「あ、幽霊友達でーす」

 ノリが軽すぎる。あなたほんとに神様? 
 ここまで明朗快活な幽霊は初めて見るよ。
 近寄ってくるのは、血相の悪いどんよりとした悪霊ばっかりだったし(悪い霊は霊気が強いから、たまに目に視えたりする)。


「コマリさん、悪霊に狙われてて困ってるんですよね? コマリが困る! あは、マジ卍~」
「……そう、だけども……」

 最悪だ。一番いじられたくなかったのに。体質が判明してから、この名前が正に『名は体を表す』でさ。個人的に、コンプレックスになっちゃったんだよね。
 こいとちゃんのテンションに乗れず、わたしは小さな声で返事をした。

「うちならその悪霊、倒せるよ」
「はあ? お前が?」
 トキ兄が肩眉を上げる。
 家に上がらせたはいいものの、まだ彼女のことを信用しきってはいないみたい。確かに第一印象がアレじゃ判断はむずかしいよね。


「なにその反応。塩対応かなしいなあ。んじゃあ見せたげるよ、うちのチカラ」
 こいとちゃんは自信満々に宣言すると、くるりと体制を整え床に降り立つ。

 そして、右手を頭上に突き出す。指先から、薄紅色の光の球が現れた。
 それは徐々に大きくなっていく。静電気も鳴ってるし。


「な、なになになになに!? かめ●め波?」
「必殺★恋魂球(ラブコンボール)ですっ! あ、打たないから安心して~。指パッチンで出し入れ可能。便利っしょ? 敵に打つと数メートルぶっ飛ばせて、こっちの運気はUPしまあす」

 わかりやすく説明してくれてありがとう。そしてごめん。
 必殺技の名前のインパクトが強すぎて、内容が全然頭に入ってこないです(泣)!
 ラブコンボールて。
 

 

 

 

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