コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 金色の絆
- 日時: 2011/02/27 23:50
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: Fn07flnU)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
初めまして(?)!
ルシフェルです。
はてさて……
何度目でしょうか?
消えてしまいました……
まぁ、仕方ないですよね〜
てなわけで、立て直します!
では
ようこそ、僕の世界へ________
〜CAST〜
○内ノ宮 苺 Utsunomiya Ichigo
○内ノ宮 実 Utsunomiya Minoru
○ 笹川 葵 Sasagawa Aoi
○ 笹川 純 Sasagawa Jyun
○ 五木 功輔 Itsuki Kousuke
○ 寿 由梨 Kotobuki Yuri
○ 天堂 鏡介 Tenndou Kyousuke
○ 中城 知念 Nakagusuku Tinenn
〜御客様〜
☆花香様 ☆明衣様 ☆蒼空様 ☆柚葉(歩癒)様 ☆魅音様 ☆Christ様
〜目次〜
〜プロローグ〜>>1
〜1〜>>2 〜10〜>>11 〜20〜>>21 〜30〜>>105
〜2〜>>3 〜11〜>>12 〜21〜>>22 〜31〜>>114
〜3〜>>4 〜12〜>>13 〜22〜>>23〜32〜>>120
〜4〜>>5 〜13〜>>14 〜23〜>>36
〜5〜>>6 〜14〜>>15 〜24〜>>40>>41
〜6〜>>7 〜15〜>>16 〜25〜>>49
〜7〜>>8 〜16〜>>17 〜26〜>>58
〜8〜>>9 〜17〜>>18 〜27〜>>72>>73>>74
〜9〜>>10 〜18〜>>19 〜28〜>>83
〜19〜>>20 〜29〜>>99
〜番外編〜第一弾>>65>>66
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
- Re: 金色の絆 ( No.13 )
- 日時: 2010/01/11 22:28
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
〜12〜
事件は放課後に起こった。
私は、授業を終えた後、先生に呼ばれたから、職員室まで行った。
実にはそのときに帰って良いって言ってしまったし…
だから、今、この状況を助けてくれる人は誰もいないってことになる。
「聞いてんの?」
いつも笹川純と一緒にいるやつだ。笹川純が転校してきたからずっと一緒にいる。
移動教室も、全て。まぁ、いじめが得意だって聞いたことあるし、たった今そんな状況に追い込
まれているわけなのですが…
「返事しろよっ!」
私は頬を叩かれた。少し痛かったけど、そんなに痛いものじゃない。
「なんで、こうなってんの?」
私はいつもと同じように聞いた。彼女たちはにやっと笑った。
「決まってんじゃん。あんたが由梨の相談無視したからだよっ!」
由梨…あぁ、寿さんね。寿さん…寿さんねぇ…もしかして…
「あの人、君たちには相談しなかったんだ?」
図星だったらしい。つまり彼女たちは寿さんに相談してもらえなかったうえに、笹川純…あるい
は寿さんに、私に無視されたとでも言ったのだろう。屈辱的だったに違いない。だって、相談
相手がいつも一緒にいる彼女ではなく、クラスになじめてない、私なのだから。そんな様々な鬱
憤を晴らすのにいじめる理由もきちんとある私が選ばれたってわけね。
「…そうよ…私たちじゃなくて…あんただったっ!!!」
いきなり大声を出した。その声は教室にこだました。私は満面の笑みで言った。無論それは馬
鹿にしたような笑いだけどね。
「何言ってんの?」
声のトーンが下がった。男の人みたいだ。まるで今まで出てこなかった人格がでできたみたい。
「そんなの、あんたたちがそんな性格してて、信頼してないからなんじゃないの?それを人のせ
いにするとはね。あんた等も相当馬鹿なんだね。その上、顔は悪いし、良いとこなしじゃん?そ
りゃ誰だっていやがるっつーの。」
彼女たちはかなり驚いていた。というか恐がっていた。まぁ、でもプライドが、ねぇ…
「…そうだとしても…!あんたは由梨を無視した!だから私はあんたのことをいじめる…!」
…なぜ宣言する?関係ないし。てか、なんで実たちがいなくなったとたんやりだすわけ?
でも、そんなことよりも、まずいいたいのは…
「…後悔はしないほうがいい。」
「はぁ?」
涙目の彼女たちが聞く。
「気づいたときにはもうだめだったってこと、あるんだよ。忘れないほうがいい。」
私は教室を出た。最後にまた叩かれた。そのときのはさっきのよりも痛くって、赤くはれた。
でも、明日からはもっと…そう考えると憂鬱だった。おそらく、実のいないところだから、授業に
支障は出ないだろうけど…。
実には、いえないなぁ…絶対心配しちゃうし…しょうがない、自分でどうにかするしかない。
実は関係ないんだから。
そう、一人で。
一人で。
あぁ、どうも一人って言葉が好きではないらしい。
自然と涙が出てきてしまった。廊下には誰もいなかったから、私は声を殺して泣いた。
泣く必要なんてないのに。なぜか…涙が出てくる。
「何で泣いてるの?」
昇降口。夕陽に照らされながらたってる少年がいた。
「…あ…」
なんで?なんでここにるの?帰ったんじゃないの?ねぇ、答えてよ…
笹川 葵。
- Re: 金色の絆 ( No.14 )
- 日時: 2010/01/11 22:30
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
〜13〜
「さ…さがわ…葵…?」
俺のこと、そんなにびっくりしたのか…?目を大きく見開いている。その目からぽろぽろ
と流れている涙。気にするなってほうが無理でしょ?
「で?どうしたの?何で泣いてるの?」
つい冷たく言ってしまう。もともとこういう性格だが、流石にこの期に及んでそれはないか
…と思ってしまう。そんな泣き方をしているのだ。内ノ宮 苺は。
「…な、んでも、な、い、もん…」
「……」
そういや、こいつ、クラスに馴染めてなかったな。
「あ、そ。別に良いけど。」
気になるけど、絶対に教えてくれないという変な自信がわいてきた。
「……」
彼女は無言で靴を替えた。そのまま、俺の横を過ぎていこうとした。
「…一人?」
いつも一緒の内ノ宮 実がいない。どうしたのか…と、きになって聞いてみたが、それ以
上に<一人>という言葉に過剰反応したことに疑問を持った。
「…み、実に、は、先に帰、っても、らいま、した。」
泣いてるからか、なぜか優しい印象を持った。
「ふーん。じゃ、一人ぽっちなんだ?」
彼女はビクッと肩を震わせて地面に座り込んだ。
「え…」
流石に俺も驚いた。まさかこんなことになるとは思わなかった。それでも声を殺して苦し
そうに泣いている彼女をおいていくわけにもいかない。
「…大、丈夫?」
いままで一度も女子に対して使ったことがないと思われる言葉を使う。やっぱり、少しぎ
こちなかったか…それでも彼女は少し俺の方をむいて小さく頷いた。
「……」
なにこれ?小動物?猫とか犬とか…なんだっけ?ほら、あのちっこいやつ…えーと…そ
うだ、ウサギだ…ウサギって小さかったけ?まぁ、いいや。とりあえず家へ…送る…のか?
「…えっと…立てる?」
また小さく頷いてゆっくりと立とうとした。…が、力が入らないらしくうまく立てていない。
かばんは持って…彼女はどうしよう?こんな状況初めてだしな…やっぱり、あの時ほっ
とけばよかった…そうすれば彼女は涙をこらえて一人で帰っただろうし…一人…?
つい小学生の俺と重ねてしまう。やっぱり手を貸すしかない。
「肩…は身長的に無理だし…腕につかまってくれる?」
彼女は一瞬迷っていたが、一人で帰れないことに気が付いたのか、そっとシャツにつか
まった。ほんとうにウサギみたいだ。
俺はゆっくりと歩き出した。
それについていくように彼女もゆっくりと歩き出した。
ずっと下を向いていて、何も話さなかったけど、彼女に何かあったんだな、と感じた。
彼女と俺は少し似ているのかもしれない。
「…内ノ宮…苺…」
二人が帰っていくところをじっと見ていた少女が一人。
「…許さない…!」
- Re: 金色の絆 ( No.15 )
- 日時: 2010/01/11 22:31
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
〜14〜
「あ、もしもし? 実君? 」
笹川から電話がかかってきたのは、六時過ぎぐらいだった。ちょうど、苺が帰ってこなくて心配し
ていたところだった。
「……笹川、葵? 」
「そうそう!よく分かったね」
分からないわけがない。『実君』と呼ぶのは知り合いの中で少ないからね。
「……で? 何の用? 」
笹川が黙っているので、僕のほうから聞いた。
「……苺ちゃん……まだ帰ってきてないでしょ? 」
まさか……
「……お前、まさかっ……! 」
「やだなぁ。別に誘拐はしてないよ。ただ……君の家が分かんなかっただけ」
「……は? 」
何を言っているんだ? 僕の家がわかんなかった? なぜ知る必要がある? 理由は……いや、
それ以前に……
「苺は、お前のところにいるんだな? 」
「……うん、まぁね。何なら声聞く? 」
「あぁ」
冗談だったら……許さない……
「わかったよ。そんなに怒んないで? 俺にも理由はあるんだからさ。……今かわるよ」
奥のほうで、「実君だよー、声聞かせろってさー」という声が聞こえた。それからしばらくして小さ
な声が聞こえた。
「……実? 」
「っ苺!! 大丈夫なのかっ? 何にもされてないかっ? 」
「だ、大丈夫だよ。別になんでもないから! さ、笹川君にかわるねっ! 」
苺は早口に言って、笹川にかわった。
「どう? 苺ちゃんでしょ? 」
「あぁ、そうらしいな」
「それでね、電話した理由なんだけど……苺ちゃんを迎えに来てくれない? 」
「僕は君の家を知らない」
「教える。だから、早く来てあげて? 早くしないと、純が帰ってくる」
純が帰ってくる……? それは別に普通だろ? でも……悪い予感がする……
「……分かった。すぐ行く。場所を教えろ」
「あぁ……はやく、来いよ」
そういって笹川は住所を言った。意外と近くだった。僕は、走った。足が鉛みたいに重くて、早
く行かなくちゃって、思っているのに、体は思い通りに動かなくて。なんて、間抜けなんだろう?
大切な子に何かが起こっているような気がするのに、僕は何もできない。何も、出来ない……
隣にいることだけでも……って思っていたのに。それが僕の使命なのに……それすらも、出来
ないんだ……もっと早く……彼女の元へ……
僕は、涙をこらえながら走った。僕の役目を果たすために。
別に、まだ『あのこと』を気にしているわけじゃない。でも、僕の使命。それなら分かる。守るんだ。
彼女を。僕は走り続ける。
大切な子…苺の元へ___
- Re: 金色の絆 ( No.16 )
- 日時: 2010/01/11 22:31
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
〜15〜
「じゃね、純!」
「じゃーね〜」
そういって友達とは別れた。あの作戦はうまくいったらしい。
『内ノ宮 苺の立場がどこだか私たちで教えてあげましょ? 調子乗ってんじゃないわよ』
略して U.W.Cの会だ。由梨は私の大切な友人。その子を傷つけるのは許せない。
「……明日はどうやって可愛がってあげようかしら?」
そういって私は笑った。きっと、とても醜いのだろう。そんなことは分かってる。
でも、それが私なんだ。だから変わらなくても、今と同じありのままの自分でいようと思うのだ。
みんな、そういうではないか。本でも、先生でも。自分に素直になりなさいってね。
私は、明日彼女に行うコトを考えながらくすくすと笑っていた。
幸い、周りに人はいなかったので、誰にも見られることはなかった。
あと数百メートルで家だ、というところで誰かがぶつかってきた。少年だった。
ちょうどそこは曲がり角で、死角だったし、私も自分の世界に入ってたから、気が付かなかった
のだ。私はすぐに謝ろうと思ったが、声が出なかった。
「……あ、ごめん。ぶつかったね。わざとじゃないんだ」
先に少年のほうが謝った。
「あ、いえ、あの、えっと、あの……」
自分のタイプの男性を見ると緊張してうまくしゃべれない癖、まだ直ってなかったんだっ!
うわ、最悪。早く謝んなきゃ……!
焦れば焦るほど言葉が出てこない。
「あの、す、すみませんでした! ちょ、ちょっとぼーーーっとしてて、あの……」
私は一生懸命に説明した。少年は少し笑っていった。
「あぁ、良いよ。別に。僕のほうも悪かったしね」
ストライクっっっっっっっっ!!!!!!!! やばいやばいっ! 超好み!
「あれ……?」
少年は急に思い出したように言った。
「君、同じ学校なんだね。僕のこと知ってるかな?」
「あ、えと……昨日転校してきたばっかりで……」
「あ、そうなんだ。ぼくはね……」
「かいちょぉぉぉぉぉぉう!! 天堂会長!!」
「あーぁ。もう見つかったか……それじゃあね。えっと……」
「さ、笹川です!! 笹川純!」
「それじゃあ、笹川さん。またね」
「は、はいっ!!」
少年……そういえばさっき『天堂』とよばれてたっけ……天堂君はさっさと行ってしまった。
その後を小柄な少年が一生懸命に追いかけている。
もう、天堂君が見えなくなったころ、私は無意識のうちに声に出していた。
「天、堂君……また、会えるかな……」
どうやら私は天堂君に恋してしまったらしい。
こんなふわふわした気持ちで家へ向かった。
「え……?」
私は家の10メートルぐらい手前でとまった。玄関のところに誰かいる。
私はゆっくりと近づいていった。
「苺っ! 大丈夫か?」
「安心しなよ。実君。俺は何もしてない」
「……苺、本当に大丈夫か?」
「うん……平気、だよ?」
「そうか……」
家まであと5メートルという地点まで来ると、声まで聞こえる。
あそこにいるのは、内ノ宮 苺、内ノ宮 実だ。
何故?
何故ここにいる?
しばらくすると2人は帰っていった。こっちに向かってきたときはどうしようかと思ったが、
物陰に隠れて見つからなかった。
「……葵」
「あぁ、純。遅かったね」
心のはいっていない声で言う。私の心はさっきとは逆に冷めていた。
「ねぇ。なんであの二人が家の近くにいたの?」
「……別に話す義理はない」
「……」
葵はいつもそう。私と葵は兄妹なのに何も言わない。
でもどうしようもないんだ。葵は親との記憶がある。私にはない。
そのことがきっと、大きな溝を作ってしまったんだ。
でも、いまさらどうする気もない。
どうしようもないんだ。
そう考えながら、私は自分の部屋に入った。
- Re: 金色の絆 ( No.17 )
- 日時: 2010/01/11 22:33
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
〜16〜
それからも、いじめは続いた。
私が初めて叩かれた日、いじめが始まった日から一週間たった日の放課後、事件が起きた。
「……?」
朝、私が登校し、下駄箱をあけると中に一枚の手紙が入っていた。
勿論、いつも私の周りには『見張り』がいる。
実と一緒にいるときは何もしてこない。きっと恐れているんだ。
もし、あの人に伝わったら……って。
それは好きな人かもしれないし、友人かもしれない。
私にとってはどうでも良いが、少なくとも実のいない所だけでやってくれるのはありがたい。
実には余計な心配をかけたくないのだ。
「……誰からだろう……?」
私は小声でつぶやいた。実がこちらをチラッと見たが、何も言わなかった。
もしかしたら、知ってるのかもしれない。私がいじめられていることを。
すべて知っていて、外から見守ってくれているのかもしれない。
私が全てを話すまで待っていてくれてるのかな。
ううん、待っててくれてるんだ。
でもね? 実。私は、もう人を信じられなくなっちゃってるよ? それでも待っててくれる?
話を聞いてくれる? こんなに心が冷たくさめてしまった私でも、実、あなたは
待っててくれる?
それにね、実。きっと、私は罪を犯したんだ。その罪は一体何なんだろう。
それは分からないけど、また人を傷つけてしまったんだ。
人と関わらない様にしたのに、駄目だった。
だから、私はこうやって罰を受けてるんだ。
ねぇ、罪を犯した、こんな私でも、あなたは待っててくれる?
許してくれる?
「苺? 行くよ? どうかした?」
「う、うん」
「……本当に、どうしたの? 泣きそうな顔してるよ」
「……なんでもないの。本当に。大丈夫」
「そう。耐えられなくなったら言ってね。僕は苺の味方だよ」
あぁ、やっぱり分かってたんだね。実、私、弱虫になったみたい。
すぐに泣いちゃうよ……
「おはよう、実君、苺ちゃん」
「……笹川」
「何? 実君」
「……っ」
「どうしたの?」
「……何でも、ない。お早う」
「う、うん、お早う……」
笹川君は、実が『お早う』といったことにとても驚いていた。
私も驚いた。実がクラスの人たちに挨拶したのをここ数年は見ていなかった。
でも、それ以上に、実が笹川君に対して、少し苦々しい表情をしたことが気になった。
きっと、あの日のことだ。
笹川君に泣いてるところを見られた日。
実にはあの日のことを話してない。
勿論おおよそわかっているのだろうが、それを笹川君まで知っているのか、とか、気になるとこ
ろは多いはずだ。でも、実は聞けないんだ。
私が実に話してないから。
実にあんな顔させたのも私だ。私は大罪を犯してしまったのだ。
実にまであんな顔をさせて。
私は一体、何をしてしまったのだろう。
どこで間違えたんだろう。
ごめん、ごめんね、実。
私が実を傷つけて、苦しめた。
神様、私はどうすればいいんですか? 私は何をすれば許されますか?
「……苺ちゃん」
笹川君の声で我に返った。
「涙」
「あ……」
私は目にたくさんの涙を溜めていた。俯いていたから笹川君以外にはばれてないと思う。
「……まだ実君に言ってないの?」
私は袖で涙を拭いながら頷いた。
「そう。泣きたくなったら俺の家おいで。純は6時前に帰ってこないから」
私は驚いて顔を上げた。もうその時には笹川君は実の所で一緒に話してた。
「……どんだけ足速いのさ……」
私は少し笑いながらつぶやいた。また目が涙でいっぱいになった。
優しくされるのは、慣れてないよ。
優しくされると、甘えちゃうから……だから、優しくしないで?
そうじゃないと、本当に頼ってしまうから。
「あ」
そういえば靴箱に入っていた手紙。結局誰からだろう?
すっかり忘れていた。封筒には名前が書いてなかったので、ゆっくりと封を切った。
「……え?」
私は危うく手紙を落とすところだった。
なんで? 何でこの人から手紙が来たの?
私は固まってしばらく動けなかった。
「苺、行くよ」
「う、うん」
苺はゆっくりと歩き出した。
実に悟られないように、できるだけいつも通りでいることを心がけた。
でも、きっと気が付いてる。実だけじゃない。笹川君も。
それでも、私はなぜあの人から手紙が来たのかを一生懸命考えていた。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
この掲示板は過去ログ化されています。