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雪の降る町 【完】
日時: 2012/02/12 21:08
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

初めましての人がほとんどだと思います
リオです♪
小説初挑戦&のろまで短気なので、更新は亀以上に遅いです…
気長に応援していただけるとありがたいです


登場人物
・濱里有咲 Hamazato Arisa
主人公。恵美奈の幼なじみで親友。
友達思いだか、ネガティブ思考になることが多い。
・平瀬恵美奈 Hirase Emina
有咲の幼なじみ。三歳の頃にこの町に引っ越してくる前
に、厳しい過去を経験してきた。
・高橋美咲 Takahasi Misaki
有咲と恵美奈の友達。拓海の元カノ。
友達思いで、周りの事を考えるのが上手い。
・渡辺拓海 Watanabe Takumi
美咲の元カレ。恵美奈への浮気が原因で別れる。
有咲や恵美奈とも友達。
無愛想だが、暖かい心を持っている。


お客様
ちくわ大明神様、みつ様、るいーじ様、恋歌様、スポンジ・ボブ様

Thank You!!


2011.2.12 修正完了

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Re: 雪の降る町 ( No.21 )
日時: 2012/02/11 12:03
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

人影一つなく、静まりかえった田舎道。雪だけがしんしんと降っていた。
やっぱり気のせいだったのかな…疲れ過ぎて夢でも見てたのかも。もうこれ以上いろいろ考えるのはやめよう。本当に疲れた。
何もかも忘れて、楽になりたい。みんなみたいに、何も考えずに笑ってたい。

次の日からは、いつも通り、充実した毎日を送っていった。
朝、眠い目をこすって学校に行き、退屈な授業であくびをする。休み時間は大声ではしゃぎ回り、授業が終わると電車に揺られ、病院へ行く。時間がたつのも忘れて恵美奈とガールズトーク。気づいた時には外は真っ暗で、電車に揺られて家に帰る。鞄を置いてベッドに倒れこむと、宿題も忘れて目を閉じる。
そんな毎日が続いた。
楽しかった。こういうのを幸せっていうんだな、って本気で思った。

いつの間にか季節は流れ、今年もあの、雪の季節がやってきた。
あれから、もうすぐ、一年が経とうとする。
恵美奈がいなくなったら…私、どうなるのかな。
あぁ、もう、考えるのはやめよう。


そんなある日、事件が起こった。
あの日聞いた会話を、すっかり忘れた頃だった。
また、聞いてしまった。二人の会話を。家の前で。

Re: 雪の降る町 ( No.22 )
日時: 2012/02/11 12:01
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)


いつもの通り家に帰ると鞄をほうりなげ、ベッドに突っ伏した。それからしばらくして、うとうとしかけた頃。私は聞いてしまった。
「そういえば、あれからもうすぐ一年だね。余命は一年って事になってたけど、どうするの?」
「うーん…悩み中」
「でも、決めるなら早い方がいいよね」
「大丈夫、考える時間くらいいくらでもあるから」
私は飛び起きた。そして、こんどこそ逃がすまいと、いそいで窓を開けた。雪が、降っていた。
そこに、見えたのは。

紛れもなく、

美咲と、恵美奈だった。


私は言葉を失った。その場にぼーっとつっ立っている事しかできなかった。その間に、恵美奈は家に入ってしまった。
そこではっと我にかえった。
何…今の、どういう事?なんで恵美奈がいるの?余命は一年って事になってた…って、どういう事?


…あ、そうだ。全部わかった。

みんなで私を騙してるんだ。
みんなで私を笑ってるんだ。

言われてみれば説得力がある。
体は昔から弱かったはずなのに、恵美奈は毎日のように元気に学校に行っていた。拓海と美咲が別れた理由も。この前聞いた矛盾だらけの会話も。あまりにも不自然すぎる。
恵美奈は死なない。余命は一年なんかじゃない。すべて、演技だ…

…嫌だ。私一年間ずっと、騙され続けてたんじゃない。
それも、一番、仲が良かった、幼なじみに。
もう、誰も信じたくない…。

誰もいないしんとした部屋で、私は声をあげて泣き崩れた。

私はずっと、一人だったんだ。

Re: 雪の降る町 ( No.23 )
日時: 2012/02/11 12:06
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

それから何日が過ぎたのだろう。もう日付の感覚を失ってしまった。
ずっと家でぼーっとしていた。誰にも会いたくなかった。何も考えたくなかった。ほんの数日だったはずなのに、何ヶ月も過ぎたような気がした。

部屋で鳴り響く着信音。着信がありすぎて、聞き飽きてしまった。相手は見なくてもわかってる。恵美奈だ。どうして最近来てくれないの、とでも言いたいのだろう。
もう携帯には触れない。恵美奈からの着信があるたびに、怒りと悔しさで、どうしようもなくなるから。きっと、取り乱してしまう。
私はさみしい人間だ。ずっと一人だった。そして、これからもきっと一人なんだ。誰にも支えられず、誰も信じずに、一人さみしく生きていく。

そう思っていた頃。インターホンが鳴った。
こんな時に誰だよと重い腰をあげて向かった玄関にいたのは。

「…拓海」
今私が、一番会いたくなかった人物。
好きだったから。たとえ拓海は美咲を想っていようと、恵美奈を想っていようと、変わらず好きだったから。その分、裏切られた悲しみは大きい。
あれだけ優しかったのに。あれだけ暖かい心を持っていたのに。恵美奈のたくらみにのってしまうような人だったんだ。そんな最低な男だったんだ。
そう思って、どれだけ涙を流したことか。

「なんでここにいるの?」
半ばキレ気味で尋ねる。
「だって有咲、学校にも来ないし、電話にも出てくれないから…」
怖気付いたように言う拓海。
「誰のせいだと思ってるの!?」
それだけ言うと強制的に家から出し、バタンと音をたててドアを閉めた。
今は誰にも会いたくなかった。誰とも話したくなかったのに。

何もわかってない。
私の心に負った傷の深さも。自分のしている事の重みも。
人間として最低だよ。


私はもう、誰も信じない。
私はもう、誰にも支えてもらえない。
私はもう、誰かにすがりついて生きていく事もできない。
私はもう、

一人で生きていく事しか、できない。


でも、そんな私を闇から救いだしてくれたのは、私に一番深い傷を負わせた人だった…

Re: 雪の降る町 ( No.24 )
日時: 2012/02/11 15:12
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

学校にも行かず、何も考えずにだらだらと過ごしたつまらない毎日。
ふと携帯が目に付き、久しぶりに開いてみた。
そこにならんだ名前は、恵美奈ではなく。

____拓海だった。

拓海からの数多くの着信。メールの受信ボックスにもずらりとならんだ拓海の名前。一つ一つ読んでみる。
“今日学校来なかっただろ。風邪でもひいたのか?”
“恵美奈がさみしがってるよ”
“有咲、返信くれよ”
“…美咲と恵美奈から聞いた。全部気づいたんだな”
“悪かった。本当に悪かった”
“恵美奈はお前をいじめようとしたんじゃねーよ。ちゃんとした理由があんだよ。恵美奈は理由もなしに人を騙すような事はしねーよ”
“俺の話を聞いてほしい”
“今日お前のところ行くから”
“いいかげん立ち直れよ”
“人の話もちゃんと聞け。自分の事ばっかり考えるな。確かに俺らは人として最低な事をしたけど、お前をいじめるためじゃねーんだよ”
“ちゃんと謝るから。恵美奈にもわかってもらうから。俺の話も聞いてくれ”

などなど。でも、最後には
“連絡待ってるから。来るまで待ってるから。”
というメールで途絶えていた。

嬉しかった。なぜだろう、裏切られたはずなのに、嬉しい。嬉しくて涙が出てくる。
…私、まだ拓海の事、好きなんだな…。
傷つけられても、裏切られても、人を信じずにはいられない。懲りない。いつまでも、永遠に…。
いつまでみんなを責めるんだろう。拓海も、好きでこんな事やってるんじゃないはずなのに…。
私、また自分の事しか考えてない…。

私は携帯をいじり、拓海に電話をかけた。
………不在。あ、そうか、今は授業中だ。
でも。
私の携帯は光った。
「はい」
落ち着いて言った。
「…有咲っ!?」
「…拓海」
私が言ったら拓海はすまなそうにこう言った。
「悪かった。本当に悪かった」
拓海…たしかそれ、メールでも言ってたよね。
「こっちこそゴメン。私、自分の事しか考えてなくて…」
「お前はなんにも悪くねーよ。わりぃのは全部俺らだから。本当にゴメンな…」
「ううん、もういいの。ちゃんと理由があるんでしょ…」
拓海は優しいね。ホントに、心が温かい…。優しすぎて、涙が出そう。
「…有咲、今から会えるか?」

今から公園で話をする事になり、いそいでしたくをする。
…あ、やばい。寝癖ハンパないし、最近お風呂にも入ってない。
…立ち直るのが遅すぎた。
それから一時間ほどかけて準備をし、約束の公園へ向かった。



そこで私は、衝撃の事実を知ることになる…。

Re: 雪の降る町 ( No.25 )
日時: 2012/01/27 18:12
名前: るいーじ (ID: V4RVuUEP)

私の小説にコメントありがとうございます*


衝撃の事実……なんだろうω
めっちゃ面白いです☆!


また来させてもらいますね´∀`*
お互い頑張りましょー!!


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