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雪の降る町 【完】
日時: 2012/02/12 21:08
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

初めましての人がほとんどだと思います
リオです♪
小説初挑戦&のろまで短気なので、更新は亀以上に遅いです…
気長に応援していただけるとありがたいです


登場人物
・濱里有咲 Hamazato Arisa
主人公。恵美奈の幼なじみで親友。
友達思いだか、ネガティブ思考になることが多い。
・平瀬恵美奈 Hirase Emina
有咲の幼なじみ。三歳の頃にこの町に引っ越してくる前
に、厳しい過去を経験してきた。
・高橋美咲 Takahasi Misaki
有咲と恵美奈の友達。拓海の元カノ。
友達思いで、周りの事を考えるのが上手い。
・渡辺拓海 Watanabe Takumi
美咲の元カレ。恵美奈への浮気が原因で別れる。
有咲や恵美奈とも友達。
無愛想だが、暖かい心を持っている。


お客様
ちくわ大明神様、みつ様、るいーじ様、恋歌様、スポンジ・ボブ様

Thank You!!


2011.2.12 修正完了

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Re: 雪の降る町 ( No.11 )
日時: 2012/02/10 21:50
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

一週間前…あの事件の前日。恵美奈はその日、学校を休んで病院に行った。
診察室で、医師からこう告げられた。

「これからは、やりたいと思う事を思う存分やりなさい。今まで一生懸命治療してきたけれど、もう命はながくないから」
その時だった。余命一年を告げられたのは……

やりたいと思う事を思う存分やれだ?そんなの…生きてなきゃできないじゃない。
嫌だ…嫌だよ。
もっと生きたい。生きていたい。じゃなきゃお母さんの期待にこたえられないじゃない。お母さんは、生きたくても生きられなかったのに…
あ…でも私、幸せになるために生きたいわけじゃないんだ…。

『恵美奈は、生きなさい。後悔ばかりしていてはいけません。やりたいと思う事を思う存分やりなさい。心から信頼できる友達をつくりなさい。そしていつか、恵美奈の事を心から愛してくれて、心から幸せにしてくれる人と結婚しなさい。お母さんは生きていて、幸せだった…』

ダメだ…このままじゃ、何もできない。あと一年生きられたって、何もできないじゃない。
あと一年あったって、あと一年しかないんだから、今と何も変わらない。
生きていたって、無駄なだけじゃない。
お母さんの期待にもこたえられない。
幸せにもなれない。
ただ、病院でさみしい日々を過ごすだけ……。

死ぬなら早く死んでしまいたい。
だって今まで、生きてきて幸せになれた事なんて、なかったじゃない。
恵美奈はもう、精神的にも肉体的にも、ボロボロだった。


そして次の日、あの事件が起こった。

Re: 雪の降る町 ( No.12 )
日時: 2012/02/10 22:16
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

私は恵美奈の話を涙を流しながら聞いた。
どうして今まで気づいてあげられなかったんだろう。恵美奈はずっと辛い思いをしてきたのに…
ここまで恵美奈を追い詰めても、気づかなかった。
最終的には
『生きていて幸せになれた事なんてなかった』
って思ってしまうまで。
苦しかったね。辛かったね…。

重い空気の中、私はゆっくりと口を開いた。
「…恵美奈、人生、嫌な事ばかりじゃないんだよ。」
そう、そうだよ恵美奈
「人生、嫌な事といい事が半分ずつなんだって。だから、恵美奈はこれから幸せになれるよ。これからは私がついてるから。私が恵美奈を幸せにするから…」
恵美奈はうつむいたまま黙っている。
「生きたくても生きられない人達がいっぱいいるんだよ…。でも恵美奈は今、生きてるじゃない。それってきっと、奇跡なんだよ」
慎重に言葉を選びながら言った。
でも恵美奈は、
「有咲、私、同情なんていらないから」
と冷たく言い放った。
「違う!同情してるんじゃないから!」
私がそう言ったら…気のせいかな、恵美奈にギロリと睨まれた気がした。
「あ…ゴメン」

これ以上ここにいたらまずいのかもしれない。
私は荷物をとり、ドアへ向かった。
ガラガラと音をたてて、ドアを開け、
「恵美奈に幸せになってほしいっていうのは、嘘じゃないから…」
それだけ言いのこして部屋をでた。

私が恵美奈を守りたい。恵美奈に幸せになってほしいだけなのに…

そう思いながら歩きはじめた私は、意外な人物とはちあわせた。

Re: 雪の降る町 ( No.13 )
日時: 2012/02/10 22:35
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

そこにいたのは、私が気になっていた人だった。
爽やかで、運動神経も良くて、私とはとうてい釣り合わない人。
その人…渡辺拓海に彼女ができて、私はあっさりその恋を諦めたつもりだった。
でも、
「あっ…」
と自然にもれた声は、私がどれだけ未練がましい女であるかをはっきりと示している。
拓海の彼女、高橋美咲は、恵美奈と仲が良く、それがきっかけで私と恵美奈と三人で買い物に繰り出す事も多くあった。
そしていつも日か拓海は、もう立派な男友達と呼べる存在になっていた。

「美咲?」
一番に視線の先に見えたのは拓海だったけれど、あえて美咲の名前を呼んだ。
「…有咲」
「美咲も恵美奈のお見舞い?」
「うん、有咲は行ったの?」
「行ったよ」
「もっといてあげないの?」
…いてあげたいよ。いてあげたいけど、神様はそうさせてはくれなかった。
「…追い出されちゃった」
「もしかして…全部聞いたの?」
優しい声で私にそう問いかけた。拓海が美咲を選んだ理由も、少なからずわかる気がする。
「うん、そしたら…ね」
目を伏せて答えた。
どうして?どうして美咲は知ってるの?どうして恵美奈は美咲には話したの?私そんなに信頼されてないの?
「有咲、もう一回行ってあげたら?」
私は静かに首をふった。
「ううん…いいの。」
私は恵美奈の事を何も知らなかった。全部私が悪い。だからこれ以上恵美奈を傷つけたくない…。

「恵美奈はきっと、有咲の事待ってるよ?」
美咲が言った。
でも私はうつむいたまま静かに首を横にふった。
下を向いたまま、美咲と拓海に別れを告げるとそのまま歩きだした。

「待って有咲…!」
後ろから呼び止められた。だけど私は、
「今は一人にしてほしいんだと思うよ」
とだけ言い残すと、振り返る事もせず、歩きだした。

Re: 雪の降る町 ( No.14 )
日時: 2012/02/11 09:01
名前: リオ (ID: IRDFwr.p)

歩いて、歩いて、歩いた。気づけば昔二人でよく遊んだ『きりん公園』の前にきていた。なぜこんな名前かって、すべり台にきりんが描いてあるから。

公園のベンチに座って、今日の出来事を思い返してみる。

恵美奈が背負っていた、過酷な過去。
幼い頃に母親をなくし、その悲しみと悔しさで発病。
部屋を出た時に偶然出会った拓海と美咲。
美咲は恵美奈のすべてを知っていた。

今さらながら、自分の無力さが嫌になる。私は何もできなかった。
恵美奈を守っていくつもりだった。守ってきたつもりだった。
でも、何もできていなかった。

だから、恵美奈は美咲を選んだ。無力な私じゃなく、親切な美咲を。
あ…そうか。私は恵美奈の親友なんかじゃなかった。ただの幼なじみだった。私は自分の事で精一杯だったんだ。
言われてみればそうだ。いつだって自分が一番だった。恵美奈の心情を気にしている余裕はなかった。
結局自分が一番大事で、恵美奈は“幼なじみ”という名の“おまけ”でしかなかった。

今からでも大丈夫かな?今からでも恵美奈の親友になれる?

私は重い腰を起こして、家路についた。
ケータイを開くと、一件の新着メールが来ていた。差出人は、美咲。

“有咲へ
私達はあのあと、恵美奈の部屋に入りました。
恵美奈は有咲に言ってしまった事を後悔していました。
恵美奈に話してやって。有咲は恵美奈を守ってやりたいんでしょう?
美咲”

すぐさま私は新規メールを書く。

“恵美奈へ
今日はごめんなさい。私はバカでした。口では守るとか言っておきながら、結局自分が一番大事だった。少しずつでいい。恵美奈に信頼してもらえるように頑張るから。今までの事は反省します。あと一年、恵美奈が幸せになれるように努力します。どうか、幸せになってください。 有咲”

もう一つ。美咲と…拓海にも。

“今日はいろいろ迷惑かけてすいません。私はバカでした。親友だなんて、かっこだけだった。でも、もう大丈夫です。今までの事は反省します。恵美奈が幸せになれるように努力します。暖かく見守ってくれるとありがたいです。あと一年、恵美奈が幸せになれるように、協力してくれませんか? 有咲”
送信を終えるとパタリと携帯を閉じた。
これから先、何が起こるかは、誰にもわからない。

残り時間、あと、一年。

Re: 雪の降る町 ( No.15 )
日時: 2012/01/10 16:03
名前: ちくわ大明神 (ID: mG18gZ2U)


コメントありがとうございました、ちくわ大明神です!!

せ、切ないですね・・・;;

あと一年の命だとしても有咲ちゃんと恵美奈ちゃんが親友になれることを願ってます!!面白いです!


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