コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐
- 日時: 2012/12/06 21:45
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
あなたに ふれたくて たまらないの
夏風に揺れて軽い音をたてる黒い髪とか
細くて長いきれいな指とか
形が整っていて たまに端がつりあがる唇とか
ふれたくて たまらない
抱きしめてほしい
大好きなの
大好きなの
私があなたを好きになったことは 罪ですか?
・。*目次*。・
自己紹介(?) >>2
登場人物 >>26
【オリキャラ募集について】 >>37 >>74
《う〜る空様より》*有吉 友架 >>39
《優蘭様より》 *篠田 壱知 >>49
《花えがお様より》*花風 侑 >>50
《果奈様より》 *葛城 由海 >>76
第一話*別れ >>8 >>14 >>15 >>17
第二話*孤独×自立 >>18 >>21 >>27 >>28
第三話*さよなら >>29 >>34
第四話*出会い >>35 >>36 >>44
第五話*学校 >>47 >>60
第六話*ライバルは突然に >>75 >>78 >>80 >>83 >>88 >>104 >>105 >>108 >>111 >>115
第七話*君に >>124 >>127 >>130 >>137 >>146 >>150 >>156 >>157 >>160 >>161
第八話*愛する人へ >>162 >>167
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- Re: 向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐ ( No.157 )
- 日時: 2012/11/17 19:08
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
第七話Ⅷ*君に
キイーッ……キイーッ……
古くさびたような金属音が鳴る。
子供用のブランコは侑には小さすぎた。
それでも、自分をなだめるように上体を揺らすのを止めることができなかった。
ゆっくりと目を閉じ、壱知の姿を描く。
日々暴行に悩む侑を壱ちは励まし続けた。
何度もその笑顔に救われた。
壱知のおかげで生きてこれた、と言っても過言ではなかった。
「いっちゃん……」
そのまま、夢を見た。
壱知の笑顔。温かい家庭。ありふれた日常が、侑とは程遠かった。
……しかし。
いきなり漂ってきた煙草のにおい。
気が付くと壱知は、酒にまみれ、煙草を手にしていた。
「……あぁっ……」
思わず両手で目をふさぐ。
と、同時に今まで見ていたものを夢だと認識した。
よかった、と胸をなでおろしたのもつかの間、煙草のにおいは現実の世界をも占領していた。
「君、風邪ひいちゃうよ?」
周りには成人していそうな3人の男が居た。
そのうちの一人が、例の悪臭を放つものを持っている。
「そうだなー、お兄さんたち今まで君を見ていたからなー。お礼もらわなきゃ」
そう言って、体格のいい男が侑の肩に手を回し、顔を寄せる。
気持ち悪かった。
「……持ってません」
「じゃあ、強制連行か、連れ呼ぶかだな。君、連れは?」
煙草を持った男が聞いた。
「連れ……」
「男だよ」
ふと壱知の顔が浮かんだ。
と同時に、一瞬ゆがんだ思いをかき消した。
いっちゃんを巻き込むのだけは、絶対————。
「いません」
「そうかー、じゃあいっぱい着信入っている心配性の『いっちゃん』にかけようかな」
奇妙な笑い声のする方を見ると、キャップを深くかぶった男が侑の携帯を見ていた。
「返してっ……!」
力ずくで奪い取る。
男は、侑を探して何度も電話しているいっちゃんに目をつけた。
キャップの男を睨みつけると、ふいに口を手で塞がれた。
酒臭い顔が侑に近づく。
「……おい、もっと柔らかにいこうよ」
震える侑から携帯を奪い取り、男は着信音を鳴らし、侑の耳に押し当てた。
コールは2回もしないうちに鳴りやむ。
「……おい、侑か!? 今どこに居るんだ! 俺、今駅に居————」
「いっちゃん」
壱知の息遣いが止んだ。
侑の声の震えに気が付いたのか、静かに繰り返す。
「どこだ」
「……公園っ……」
それだけで電話は切れた。
- Re: 向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐ ( No.158 )
- 日時: 2012/11/09 22:30
- 名前: 修羅 (ID: 2bESk3K2)
みお。キタ—————————!
もう久しぶりっ。
全然姿見ないからどうしたのかと…。
ンジャ、バイビx-☆
byりんご
- Re: 向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐ ( No.159 )
- 日時: 2012/11/09 22:32
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
みおサンも多忙ですわ←
てか物語暗くなっちゃった…!
ぜったい次から明るくする^^!
お互いがんばろーい!
- Re: 向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐ ( No.160 )
- 日時: 2012/11/15 21:02
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
第七話Ⅸ*君に
「……あのとき、私が……いっちゃんを、呼ばなかったら……」
侑は落ちる涙を拭うこともせず、言葉を紡ぐ。
壱知は口を緩めた。
「侑」
美湖がそっと呼びかける。
「ごめんね、ダメだよね、こんな姿、絶対いっちゃんは嫌いだよ。私は……いっちゃんみたいに、ずっと……笑ってるんだから」
ようやく涙を拭うと、涙はキラキラ輝いた。
綺麗な顔で、侑は美湖に向いた。
「いっちゃん、言いたいことがあるの。あのね、私————」
「侑っ」
咄嗟に叫んだ壱知の声を伝える。
美湖も緊張して、手が震えていた。
そのまま、壱知は侑に走り寄った。
「……いっちゃ……ん?」
侑は目を丸くする。
感じるはずがない、壱知の体を侑は受け止めていた。
そこに形は存在していないが、侑は壱知を感じていた。
抱きしめられた状態で、侑は身を硬直させていた。
「それ以上は、俺が言う。必ず、侑の目の前で」
声も聞こえるようだった。
侑は一瞬顔を歪めたが、思いを振り切って、頷いた。
「……うんっ!」
壱知も安心したのか、笑顔に戻りそっと侑から離れた。
- Re: 向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐ ( No.161 )
- 日時: 2012/11/17 19:47
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
第七話Ⅹ*君に
「ただいまー」
「こんな時間まで何してたんだよ,お前」
「へぇー,もしかして,心配してくれてる? へへっ,そっかー」
美湖が笑うと,京は目を細めた。
しかし,返答することはせず,その場に腰を下ろす。
「へへっ」
美湖が侑と壱知の幸せそうな姿を見てきたとも知らず,一見奇妙な美湖の様子に京はため息をつく。
「今日,きょんちテンション低いね? 何かあった?」
「美湖が高いんだよ」
やっと,少しながら笑顔を見せてくれた。
京につられ,美湖も笑顔になる。
「あのね,きょんち……」
「何」
ふと目が合う。
美湖の胸の奥が高鳴る。
あ,やっぱり,私,きょんちが好きだ。
愛しくて,愛しくて,どうしようもない。
一緒にいるだけで心が満たされて,幸せで。
侑と壱知をみて,思った。
「好きだよ————」
「……っ」
京が目を見開く。
全てが愛おしい。
「————ってきょんちに言える私は,幸せ者だね」
幸せ。
好きな人に好きと言える。
それだけで,幸せ。
京は額に手を当て,俯き,深呼吸を繰り返していた。
「美湖,その笑顔は季節外れ」
「え?」
ふっと顔を上げた京の顔は赤く染まっていた。
美湖は目を丸くして,京を見つめる。
京が,また言葉に詰まった。
ひと時の沈黙を隔てて,声にならない息をだし,京は壁に寄り掛かる。
両手の甲で目を隠し,声を漏らした。
「くそ,もう無理。美湖……好きだよ」
部屋は満ち足りた空気に包まれる。
冬もすでに始まっている,この季節。
もうすぐ年が明ける世の中で,美湖は田舎のとある部屋で,向日葵の笑顔を愛しい人に向けた。
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