コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

RPG!!
日時: 2012/11/11 11:32
名前: 柏木 幸人 (ID: yci5og17)

私は、
体が弱かった。
そのせいで
小さい頃から
遊ぶことも禁じられ、
部屋で読書していた。
だからだろう。
コミュニケーション能力が
皆無だ・・・

18になり、
やっと元気になった私は、
高校に行きたかった。
入院生活をしていた
私はもちろん、
三年生にはなれなかった・・・
顔も知らない一年生の
クラスに入れられて、
みんなから気を使われて、
肩身が狭かった。


けど
そんな私に、
私の人生を変えた
言葉をくれた人たちがいる。


「お前って、女だろ!」




ここから始まる、
私と、私たちの
ハチャメチャ学園物語。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8



Re: RPG!! ( No.31 )
日時: 2012/12/15 14:35
名前: 柏木 幸人 (ID: pK07DWyY)

【15時限目!】「優太の本心!」



優太のもとへ向かうため、
佐々川先生の車に乗り込んだ蓮哉。

「1つ、教えてもらえるか?」

「なに?」

「・・・優太は、もう耳が聞こえないのだな?」

「うん、僕がなんて言っても返事はなかったし」

「そうか・・・」

しばらく無言になり、蓮哉は車の窓を開けた。
夏の気持ちのいい風が髪を靡かせ、
心の雲さえも払っていくようだ。

【15時限目!】



優太のもとへ向かうため、
佐々川先生の車に乗り込んだ蓮哉。

「1つ、教えてもらえるか?」

「なに?」

「・・・優太は、もう耳が聞こえないのだな?」

「うん、僕がなんて言っても返事はなかったし」

「そうか・・・」

しばらく無言になり、蓮哉は車の窓を開けた。
夏の気持ちのいい風が髪を靡かせ、
心の雲さえも払っていくようだ。

(優太・・・)






「ごめんなさい、今日の面会の時間は・・・」

「俺は、ここから離れません」

「でもね、君。優太君の体のことを考えて・・・」

「優太とはもう、あと少ししかいられないんだ!
だから、少しの時間も惜しいんだよ!」

海音は医師にすがりついていた。
もう6時を過ぎ、優太の検診の時間になっていたが、
今の海音は焦りしかなく、聞く耳を持たない。

そんなやりとりを見ていた優太は、
医師に紙を手渡した。
それを見ると、仕方なく退出していく。

「ゆう・・・」

「体の心配なんて、いりません」

ピシャリ。
いきなりそう言われ、海音は黙る。
耳が聞こえない優太との会話は、できないからだ

「それに、死期がいつだろうとかまいません。
今日だろうと明日だろうと今だろうと…」

一呼吸置いて、海音に微笑む。

「人生の中で、一番楽しかったから。
悔いもありませんし、未練もありません。」

「で・・・でも、俺は・・・」

「死期のギリギリまで、精一杯生きて死ぬがよい」

「!!?」

声のする方を見ると、そこには、
さっき言い争っていた蓮哉と、佐々川先生が立っていた。

蓮哉はメモを取りだし、
乱雑になにかを書いて、優太に渡した。

(いったい、なんでしょうか・・・・・・)

見てみると、勇者参上!
と書きたかったであろう油社返信!の文字。

(あなたは本当に最高学年なんですか?
あほ立ばか高校なら、
間違いなく最高学年でしょうが(笑))

彼に口でツッコめないことが
歯痒い。

けれど、彼は笑った。

「見ろ!我のおかげで優太が笑ったぞ!」

「お、俺の時だって笑ってた!」

「きみたち、病院では静かに・・・」

みんなの会話は、聞こえないのに、
不思議と疎外感がない。
いつもと変わらない、あの生徒会室の中みたいだ。

そんな普段通りの光景を見て、
涙がこぼれた。

(やっぱり、私、本当は、まだ、みんなと一緒にいたい
花咲学園を、ちゃんと卒業したい、
獣医になりたいし、大人になりたい・・・)

「死に、たくないよぉ」

ぼろぼろ泣き出す私を見て、
みんながメモを取りだす。
見た感じ長文を書いているようには見えないが・・・
3人は顔を見合わせ、一斉に私の手にメモを乗せる。

「・・・!」

『優太の帰りを』

『我ら3人は』

『いつまでも待ってる』


ぶわっ
視界が水で満たされていく。

「我ら生徒会役員は、一心同体。
原子ではいられない、分子でしかいられないんだ!」

蓮哉が訳のわからないことを言いながら
優太に抱きつく。

「分子とか原子って、例えが微妙だな〜」

海音がブツブツ言いながら涙を流す。

「治るかもしれないからね。頑張れ神埼」

(ありがとう先生、・・・って病院で
辞職願を・・・)

その日は、
夜遅くまで病室にあたたかい笑いが
続きました。

Re: RPG!! ( No.32 )
日時: 2012/12/15 16:53
名前: 柏木 幸人 (ID: e2TPmAz7)

【16時限目!】「」



病室から見える景色は、とても綺麗。
建物も、人も車も、みんな私より小さい。

(でも、私は病院生活に慣れてしまっているから・・・)

沈んでいく心を、
なんとかしようと枕元に手を伸ばした。
そこにあるのは、昨日、3人と会話したメモ。
夜遅くまで談笑し、
気付けば束になってた。

(これだけが、今の私の支えです)

大切にメモを広げていくと、視界に
見慣れた白衣が映った。
そして、いつものようにメモが渡される。

(検診の時間、まだですよね・・・ん〜、なになに?)



(手術・・・いつものことですね)

読み終わり、医師に頭を下げたが、
帰っていく気配はない。

きょとんとしていると、医師は
メモの注意を指さした。
そこには・・・

『手術成功率 20%』

「に、にじゅ・・・う?」

愕然とした。

(今までのだって、60以上はあったのに・・・)

来週までに考えてほしいと書かれており、
優太は不安ながらも

『わかりました』

とメモを返した。
ようやく医師が出ていくと、溜め息がでた。

「失敗したら、死期が早まるだけですよ
なんにも心配ありませ・・・」

『帰りを待ってる』

ふと、昨日のメモを思い出す。

「・・・頑張って、生きなきゃ 」




一方の生徒会。

「議案書作りとかだるい〜」

「そう?僕は楽しい」

「佐々川先生が作ってるの、辞職願ごみ
束だろ〜」

「大宮、人の宝物をごみ扱いしない」

「なんだよ〜ごみじゃん、なぁ会長」

「そうであるぞ、己の宝物を侮辱されるのは
不快である」

と、机で自称マスターソードを磨く蓮哉。

(すげぇ、あんな真剣な会長、見たことないや)

「・・・じゃない、ん、やっぱり
ツッコみがほしいな〜」

「そのうち優太が帰ってくるよ、大宮」

「あぁ!当たり前だ!」

「うむ。そうだ、神埼の誕生日が
近いのではないか?」

「そうだそうだ!確か、来週の月曜だ!」

「誕生日パーチーをひらこうではないか!」

「そのつもりだぜ!俺なんか、もう
プレゼント買ってあるし〜」

「なんだと!勇者の一歩前へ出るなど・・・許せん!」

「はいは〜い、並び替えしたんだよ〜だ!」

「勇者は一番前が鉄則ではないか!」

2人のあほらしい会話を聞きながら、
佐々川先生は

(また病院でやるつもりなのかな…やめてほしい)

昨夜、あまりの騒ぎっぷりに
夜中、たくさんの看護師やら医師やらに
説教まで食らった佐々川先生であった。

だが、優太の退院に目処がたたないため、
病院で静かに、静かに(大事なことなので二度言う)
やるしかない。

生徒会は優太の誕生日のために動き出した。

Re: RPG!! ( No.33 )
日時: 2012/12/15 19:24
名前: 柏木 幸人 (ID: f/YDIc1r)





170参照、ありがとうございます!!

なぜこんな中途半端で
言うのか・・・それは

そろそろラストだからです!
パチパチ(*´∇`*)

参照、200まで行けるかわかりませんが、
最後まであたたかく見守ってくださいませ_(..)_


よろしければ、投票やコメントもお願いします(^-^)v

Re: RPG!! ( No.34 )
日時: 2012/12/16 08:24
名前: 柏木 幸人 (ID: f/YDIc1r)

【17時限目!】「脱走!」



3人は優太の誕生日プレゼントを買うべく、
平然と学園をサボッた。

「優太のため」

「ああ、優太のためであるな」

「俺も優太のため」

学園祭以来、校長は精神科に行っていて
帰ってきていない。
カタツムリがよほど効いたらしい。
おかげでスムーズに学園を離れられた。

「そういえば、海音、お主はもう買ったのでは?」

「お前ら2人だけは危険だろ〜!」

「大宮、そんな心配はいらない」

「まあ、佐々川先生が言うなら・・・」

「僕は李と付き合ったりするつもりはないよ」

「・・・・・・う〜!優太カムバーック!」

老人ホームにつれていきたい気持ちを抑え、
デパートへと向かった。




お昼過ぎ、
優太の携帯にメールが届いた。

『来週の月曜、みんなで誕生日がパーチーするからね!』

(・・・私の誕生日、知っててくれたんですか・・・)

『ありがと・・・』

そう返信しようとしたとき、
間違えて違うボタンを押してしまった。

(いけないいけない(・・;))

文字を削除しようとするが・・・

(あ、あれ?)

何度もひらがなを入力してしまう。
なぜなら・・・

優太の目には、ひらがながいくつもブレて
たくさんあるように見えていたからだ。
それに、視界だって狭くなって・・・

「ついに、きてしまいましたか」

今日は金曜。
手術については、来週まで。

(このままでは、誕生日に間に合わない)

優太は決心し、
点滴の針を引っこ抜くと、ふらふらする体で
病院を走った。
行き先は決まってる。




「ふ〜、たくさん買えたの」

「半ば自分用の物だろ〜」

「ぎくり」

「・・・自分用のだったんだ、その辞職願で包んだ
花束は」

3人は賑やかに学園へと戻ってきた。
いつものように生徒会室に入り、
くつろごうと思っていたが。

「みなさん、おかえりなさい」

「ゆ、優太!!」

「お主、なぜここに!」

優太はメモを広げた。

「病院の先生が、もう退院してもいいっ、て?
本当なのか?!」

「はやく、誕生日パーチーやりたいです(*´∇`*)」

「お〜そうであるか!よし、計画変更!
誕生日パーチーは生徒会室でやるぞ!」


その場で、佐々川先生だけが静かだった。
さっききたメールの返信に困っていたからだ。

『病院:優太君がいないんです。知りませんか?』

教師として、すぐさまほうこくしてやるのが
先決であると、わかっている。
けれど・・・

(生徒の幸せな笑顔を守るのも、また教師の役割なり)

『病院Re:わかりません。こちらも探してみます』

「さぁて、やるかな!」

「あ、ちょ先生!なんでクラッカー改造してんだ!
クラッカーから辞職願とか〜(・ε・` )まったく」

Re: RPG!! ( No.35 )
日時: 2012/12/16 13:20
名前: 柏木 幸人 (ID: f/YDIc1r)

【18時限目!】「最高の誕生日パーチー!」



体はふらふら、視力も失いつつある。
とうに耳は聞こえない。
手術をすれば、死期までしっかり生きられる。
あと3ヶ月も生きられる。

けれど・・・

体の全てを失って、みんなといれても嬉しくない。
手術したって、それはその場しのぎでしかないんだから。

ぽーっとしている私に、海音が大きな袋を差し出してきた。

『優太、お誕生日、おめでとー!
動物好きなんでしょ?俺、一番かわいーの
買ってきたんだぜ!』

ついていた手紙を読んで、包みを開いてみる。
中にはなんと、とてもふわふわした犬のぬいぐるみが
入っていた。

(そうだ、私、犬が大好きで獣医になりかったんだ・・・)

犬のぬいぐるみを、そっと撫でた。

そして、
『ポーション』
っ、きったない字で書かれた、
緑色の水の中に、マリモが入っているビンが目の前に
つき出された。

(れ、蓮哉さんにしてはまともなプレゼントです!)

優太は驚きを隠せなかった。(笑)
けれど、ポーションの文字を見たとき、
とても暖かい感じがした。

ポーションとは、ゲームにおける回復薬。
あえてフェニックスの尾や秘薬を選らばなかったのも、
優太は死なず、このまま元気になれ、
という気持ちが伝わってくるからだろう。

『気に入ったか?』

メモが差し出された。
そのメモに、

『全然!あ〜海音さんの犬のぬいぐるみのほうが
百倍嬉しいです〜』

と書くと、落ち込んだ。

『冗談です(笑)』

と書くと、復活した。

(相変わらず単純ですね)

そして、最後。

『神埼、立ってほしい
無理はしなくていいけど』

ふらつく体に鞭を打ち、笑顔で立ってみせた。

(でも、なんでしょうか・・・・)

佐々川先生は、よく見ると、スーツを着ていた。
いつもなら、ジャージしか着ないくせに。

そんな佐々川先生が、ピッチリスーツを着て、
優太の前に立った。
あとの2人もそれに習う。
ゴソゴソとスーツの中を探り、引っ張り出されたのは・・・

(あれって、卒業式とかにもらう、筒ですよね)

佐々川先生が取り出したのは、
卒業式に、卒業証書を入れるための、黒い筒。
さらに、蓮哉が紙を取り出す。

(これは、まさか・・・)

「卒業証書授与!」

先生が
今までにないくらい大声で叫んだ。
無論、私にはわからない。
けど、雰囲気、空気、顔。
それらのおかげで、何をいってるか少しだけわかる気がする。

「神埼優太!
あなたは立派に成長し、生徒会役員として
指名を果たしたことを・・・
精一杯生きたことを、我々は認めます!!
よって、神埼優太の卒業を、ここに宣言する!
生徒会顧問、佐々川奏人」

「生徒会長、李蓮哉!」

「生徒会副会長、大宮海音!」

卒業証書を受けとる両手が震えた。

「・・・ありがとう、ございます!」

泣きながら卒業証書を受けとった優太に、
海音と蓮哉が無言で抱きつく。

そのとき、一瞬だけ、
ほんとに一瞬だけ聴覚が戻ってきたかのように・・・


「優太、大好き」

「我も同感だ」

「僕も」

3人の声が、確かに聞こえた。








「私も、この生徒会のみんなが、大好きです」








言いたいことは数えきれないほどある。
まだみんなといたい気持ちもある。
諦めきれない夢もある。

だけど、だけど・・・

このみんなへの溢れる想いは、
私が生まれかわった時、
またみんなに伝えよう。

それは、神埼優太の姿じゃないかもしれない。

でも、きっと気付いてくれるよね?
私の姿や声や仕草が違っても・・・
この生徒会メンバーなら。


さぁ。
もう行こう。

あ、1つ、いい忘れてましたが・・・
生徒会のテーマ、あれ、間違いですよね。
だって、
パッと見たとき、あなたたち3人は、
私の中で、ゴージャスに輝いていましたよ?

なぁんて、ね。




Page:1 2 3 4 5 6 7 8



この掲示板は過去ログ化されています。