コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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RPG!!
日時: 2012/11/11 11:32
名前: 柏木 幸人 (ID: yci5og17)

私は、
体が弱かった。
そのせいで
小さい頃から
遊ぶことも禁じられ、
部屋で読書していた。
だからだろう。
コミュニケーション能力が
皆無だ・・・

18になり、
やっと元気になった私は、
高校に行きたかった。
入院生活をしていた
私はもちろん、
三年生にはなれなかった・・・
顔も知らない一年生の
クラスに入れられて、
みんなから気を使われて、
肩身が狭かった。


けど
そんな私に、
私の人生を変えた
言葉をくれた人たちがいる。


「お前って、女だろ!」




ここから始まる、
私と、私たちの
ハチャメチャ学園物語。

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Re: RPG!! ( No.26 )
日時: 2012/11/25 17:20
名前: 柏木 幸人 (ID: /ldXoLEc)

7月5日
あと2日で、いよいよ花咲学園文化祭です。
七夕の日に文化祭なんて、
少し早いような気がしますが、素敵ですね。

生徒会からの出し物の準備も、
ちゃんと終わりそうです。

私も手伝いたい・・・
けれど、私は病院にいました。
文化祭準備のために、最近は病院を
おサボりしていたのが悪いんですが。

でも、今日はいつもと雰囲気が違います。
お母さんは個室へ案内されましたが、
私は寝ているように言われました。

お母さんは個室から帰ってくると、
やたらと元気でした。
何度も、

「あなたの病気はもう治るのよ!」

と、私に言っているような、
自分に暗示をかけているように繰り返しました。

もう病院には3ヶ月後にくるだけでいいと
言われました。
でも、なんだか喜べません。

Re: RPG!! ( No.27 )
日時: 2012/11/25 17:58
名前: 柏木 幸人 (ID: /ldXoLEc)

【11時限目!】「勇者ゴッコ!」


生徒会出し物、勇者ゴッコのルール。
「村」や「ダンジョン」エリアがあります。
「村」である展示エリアには、それぞれスタンプが
置かれています。
スタンプラリーとほぼ同じですが、
スタンプを貯めて「ダンジョン」廊下などを歩くと、
戦闘になる確率が上がります。
戦闘とは、我々生徒会役員がモンスター役を
つとめます。
モンスターは勇者(スタンプラリー参加者)の貯めた
スタンプを奪いにいきます。
どこに出没するかは分かりません。
見事スタンプを全て集めたら、「魔王の城」である
校長室へ向かってください。
校長室のどこかには宝が隠してあります。
ちなみに、ゲームオーバーの人でも、
1からスタンプを集め直すことにより
再度参加が可能になります。
では、勇者のみなさん、頑張ってください。

生徒会一同




「いよいよだな〜、頑張ろうぜ、優太」

「はい!たくさんスタンプを奪いますよ〜」

「我は勇者の一族だ。魔物などできぬ」

「今さら言わないで下さいよ・・・」

「僕だけ全身タイツ」

「・・・すいません、衣装が足りなくて」

とにかく、いよいよ文化祭!
4人はじゃんけんし、それぞれの場所につく。
私がスタンプを奪えるかわかりませんが。

そして10分後、勇者ゴッコがスタート!
参加者は予想より多く、
スタンプ用紙はすぐに売り切れとなった。

「よーし!やってやんぜ、あの蓮哉に一泡・・・」

「ふんっ、お主はまだ我の背丈を妬んでおるのか」

「蓮哉!貴様、クラスに俺様の身長をバラしたろ!」

「なんのことやら」

「てめ、許さね・・・・・・ぇ」

蓮哉のクラスメイトである彼は、
蓮哉に殴りかかろうと後ろに振り向いた。

そこにいたのは・・・

「なんでお前が勇者のコスプレしちゃってんの!?」

「しっ!あまり大きな声を出すでない!
神埼たちに気付かれてしまうであろう!!」

「お前のほうが100倍うるせぇよ。
ん、そうか」

「ニヤニヤするな、老けがおがさらに老けておる」

「黙れ!おい蓮哉」

「なんだ?大人しくスタンプをわたすか?」

「そんなわけないだろ。お前、大声で
生徒会メンバーを呼ばれたくなければ、俺を見逃せ」

「な、んだと!」

「くっくっく、モンスター役のお前が、
みんなに内緒で勇者のコスプレしてるとこ、
知られたくないだろ?(。-∀-)」

蓮哉は考えた。
しばらく動けなかった。

「我は、ぐっ・・・・・・ま、いいや」

「!?」

「我は勇者の一族だからな!
この苦しみを乗り越えるのも、
経験と考えなければな!」

「く、くそー!」

モンスター蓮哉、
スタンプ用紙1枚ゲット!



一方海音は、

「あ、海音だ〜!」

「ね〜やよいちゃん、スタンプ用紙、ほしいな★」

「あげる!お姉さん何枚でもあげちゃう!!」

この手で20枚をゲット。



一方佐々川先生

「生徒は先生の言うことを聞くことが大切。
よこせ」

「うっ・・・はい・・・」

優等生ばかりを狙った
先生の権限を悪用した大人の悪い例で
50枚をゲット。

「ちょろいちょろい」



一方私。

「があぁっ食べちゃうぞ〜」

律儀にマニュアル通りの台詞。

Re: RPG!! ( No.28 )
日時: 2012/11/25 20:45
名前: 柏木 幸人 (ID: /ldXoLEc)

【12時限目!】「魔王の城の激闘!」



「いや〜、だいぶスタンプ用紙奪ったな!」

「我は5枚ほど集めたぞ、大宮、
貴様の負けはわかっていることなのだ」

その言葉に、海音と佐々川先生は笑顔で
服を脱ぎ始めた。
私は突然のセクハラに何も言えなかった。
だが、数秒後、ドサササッ。
2人から大量のスタンプ用紙が落ちてきた。

「すごいじゃないですか!」

『正当な方法で集めたよ(・・;)』

聞いてもないのに、2人はぎこちなく言ってきた。

(いったい何をしたんでしょう・・・)

「それにしても、これじゃ魔王の城にいくやつは
いないんじゃね?」

「いや、数名行った。僕の言うことを聞かないバカたちが」

「数名ですか、でも、魔王は強いですからね〜」

「僕が魔王役を依頼した時には、怯えてた。
もう許してくれ、カタツムリ食べないでくれって。
カタツムリってなんだろ、僕が食べたのはエスカ・・・」

「と、とにかく、校長・・・魔王の鉄拳をうけて
帰ってこれたら勇者ですよね」

「もしもだ」

突然蓮哉が震えだした。

「魔王のせいで死者が出たらどうしたらよいのだ・・・」

『!!』

誰もが凍りついた。
魔王は今年で58になるが、
彼の鉄拳は発泡スチロールをも粉砕させる力がある。
逆らうものには容赦しないが、
道端のタンポポを摘めないなど、オチャメで
川合らしいところもある。

「こ、これはまずいぜ!」

「僕は、あいつとは関わりたくないので、けっ(´ `)」

「わ、私も、ちょっと」

「仕方ないではないか、生徒会が始めたことだ、
生徒会が終止符を打たねばなるまいよ」

(無駄にかっこいいですけど、
ただの中2にしか見えませんっ)

「た、確かに、俺たちが行かないとな・・・」

「はい!とゆか、蓮哉さん?」

「あ?」

「なぜ勇者のコスプレなんですか?」

「Σ(´□`;)」










蓮哉から勇者のコスプレを剥ぎ取り、
佐々川先生と同じ全身をはかせた。

「ここが、魔王の城」

校長室というプレートは、マジックでぐちゃぐちゃに
されていた。

「行くぞ、我が戦士たちよ!
魔王、ツルッ・パゲーの悪逆を許すわけにはいかん!」

『おーっ!』


いきおいよく扉を開けると、
数名の男子が床に転がっていた。
佐々川先生は近づいていくと、しゃがんだ。

(きっと、可愛い生徒が犠牲になったから、
落ち込んで・・・)

「こいつこいつ、僕の言うことを聞かなかったの
ちきしょー、落書きしてやる(´ 3`)」

「あなたはガキか!
やめてくださいよ、いい大人が!あ。」

「よく来たな、貧弱な勇者たちよ!」

「言ったそばからガキ2人
目がきたんですけどー!」

「くっ、魔王だ!みんな体勢を整えよ!」

(体勢を整えるもなにも、
4人中2人全身タイツなんですが!?)

私のつっこみなどお構い無く、
戦闘が始まる!

魔王は杖(どっから持ってきた!?)を振り上げ、
蓮哉が剣(どっから持ってきた!?)を振り上げて
攻撃をかわした!

「くっらえー!」

海音は拳を魔王の・・・

(海音さん海音さん!普通に暴力だから!
相手御老体だから!)

「効かぬわ!」

「がはっ」

魔王が海音の拳を受け止め、
そのまま海音を投げ飛ばす!

(あんたが手加減してくださいっ)

「わ、私はどうしたら!」

そのとき、佐々川先生が立ち上がった。






「第1の呪文、カタツムリ」

「ぐはー!ごめんなさい!食べないでー!ιθθΦΦε㌣㌫㍑㍑!」

「倒したーっ」



こうして、魔王は倒され、
学園に平和が戻ったとさ・・・

Re: RPG!! ( No.29 )
日時: 2012/12/09 14:45
名前: 柏木 幸人 (ID: bcCpS5uI)

【13時限目!】「打ち上げ会!」


費用の話を置いておけば、
勇者ゴッコは大反響だった。
校長はあれからカタツムリのことで
精神科へ行かされることとなったのだが・・・

「うむ、では始めようかの」

「乾杯は優太が言えよな!」

「え?でも、私はなんにも!」

「言わないなら、書くよ」

「わ、わかりましたよ〜(汗)」

私はみんなの言う通りに、
乾杯の挨拶をすることになった。
一人一人に飲み物を配っていく。

「佐々川先生、学校で飲酒は・・・」

「飲ませてくれなきゃ、書くよ」

(脅しかばか野郎!)

声には出さなかったが、心では絶叫した。

「蓮哉さんは、・・・プッ」

「わ、笑うでないっ!これしか飲めぬのだ!」

中2発病率、常に100%を誇る蓮哉の飲み物は、
ヤクルトだった。
笑うしかない(笑)

「ストローいりますか?(笑)」

そういじめると、拗ねてしまった。
一方の海音は

「俺、水でいいよ」

「え?」

「ジュース苦手でさ!」

改めて仲間の意外さに気付かされたのだった。
私はコーヒーにして、
バラバラだが、それぞれ片手に飲み物を持つ。

「え、え〜、文化祭成功、おめでとう!乾杯!」

『かんぱーいっ!!』

佐々川先生は直後、
ビールのおかわりを要求してきた。

(この人はもぉ〜)

海音と蓮哉はお菓子の袋を次々に開けていった。
そんな2人に、
私がつっこもうとした、そのとき。

グラッ


世界がふにゃふにゃになって、
天井と床が逆になる。
そして、さっきまでの笑いもなくなり、
名にも聞こえなくなる。

ただ見えたのは、みんなの心配そうな顔だった。













目が覚めた。
静かな目覚めだ。

起き上がると、そこは病院であることがわかった。
私には、見慣れたいくつもの管がつながっている。
天井には換気のためのプロペラがある・・・けど、
違和感をかんじた。

ふと廊下を見ると、
看護師さんが台を押しながら歩いていくのが見えた。

(・・・・・・?)

私は気になった。
自分の耳に触れてみる。

(・・・ある)

耳は確かにある。
けれど、いつもの病院の音が、
まるで聞こえない。

「な、にこれ・・・・だ、誰か!」

言葉を発しているのに、
自分の声が聞こえない。

次第に、恐怖が私を包んでいく。

「あ・・・ぁ、いやだ、いやだ、いやだいやだいやだ!」

私の異変に気付いた先生が来て、
声をかけてくれるが、それさえもとどかない。
あまりの恐怖に、涙さえ出てくる。






一方、

「みなさんが、生徒会のお友だち?」

「はい。俺は大宮海音、こっちは会長の李蓮哉、
あと、顧問の佐々川先生です」

「はじめまして、優太の母です。
今日は、ありがとうね」

「いえ、顧問として、生徒会のメンバーとして
当然のこと。それで
前から気になっていた・・・」

「佐々川、よせ。母上殿にあまりに酷ではないか」

「しかし・・・」

2人が言い合っているのを、海音がおさえた。

「佐々川先生が正しいよ。
俺たちは、仲間として、
優太のことを知った方がいいんだ」

けれど、蓮哉は納得できず、

「我は聞かぬ!」

と言って、病院を出ていった。

「あ、優太のお母さん、気にしないで。
蓮哉なりに、いろいろ考えてると思うからさ」

「はい、大丈夫ですよ」

「あのバカには僕から話すとして、 まず、
お母さんから聞いてもいい?」

「はい・・・・・・ゆ、優太は、幼い頃から
発病していました。
それも、絶対に治らないものでした・・・
はっきり言いますと・・・」

「不治の病、なのか?」

「えぇ、それに・・・もう・・・」

「もう?それじゃあら優太は、優太はいつ、
いつ!?」

「大宮、黙れ」

佐々川先生が海音を落ち着かせる。
優太のお母さんが、涙をこぼしながら
伝えた。

「あと3ヶ月・・・」

「さ、3ヶ月!?そんな!」

「あと3ヶ月・・・生きれるか、どうか・・・」

海音と佐々川先生は、
言葉を忘れたかのように、
何も言えなくなった。

Re: RPG!! ( No.30 )
日時: 2012/12/09 17:22
名前: 柏木 幸人 (ID: bcCpS5uI)

【14時限目!】「優太のいない生徒会!」


優太は聴覚を失って、長い休みをとった。
生徒会室は静かで、誰も口を開こうとしない。
佐々川先生は辞職願をゴミ箱に捨てた。
海音は部屋の隅で俯き、
蓮哉は会長の机で何かを書いていた。

「・・・やっぱり、俺、今日も病院行くよ」

「やめておけ」

蓮哉がピシャリと海音の意見を否定した。
そのことに、少し腹を立てる海音。

「なんで?今俺たちにできることは、
会って励ましてあげることしかないじゃないか!」

「わからぬのか?
今我らがなにを言おうが、あやつには
同情しているようにしか見えんのだ」

「そんなこと言ってる暇ないだろ!」

ついに立ち上がり、蓮哉にドスドスと
歩み寄る。

「あと3ヶ月生きれるかどうかだぞ!?
グズグズここで泣いてろってのか!!」

「ちがう、今はそっとしておきたいのだ」

「だから!その今、優太は苦しんでるじゃないかよ!」

「そうだ。だからこそ・・・」

「会長は、本当に優太を心配してるのか?」

「なに?」

「さっきから聞いてれば、
そっとしておきたいの一点張り!
本当はめんどうなんだれ!」

今度は蓮哉が立ち上がる。
海音の襟首を掴み、怒鳴り付ける。

「我がいつそのようなことを申した!」

「さっきからずっとさ!」

「貴様・・・!」

「放せよ!俺は1人で行くからなっ!」

バシンッ
蓮哉の手を思いきり強く叩き、
生徒会室から走り去っていった。

「・・・しかたのないやつだの」

そう言って、会長の椅子に座り直す。

「佐々川、もう帰ってもいい」

「なんで?」

「もう人もこない、我といても仕方なかろう」

「なんで?」

「なんでと言われてもの・・・」

「なんで、李は帰らない?」

その質問に、はっとする。
さっきまで書いていた紙を、
見せたくないものを持ち去るようにかき集め、
鞄に詰め込んだ。

「わ、我は帰るつもりだったのだ!
さよならっ」

「ばいばい」





生徒会室を出て一階に行くと、
一年生の教室が見えた。

「・・・神埼・・・」

いつも年のせいで馴染めず、
俯いてばかりいた教室。
カツアゲされたり、陰口言われたり、

(あいつ、学園に来て、楽しかったのだろうか・・・)

無理矢理に花咲学園生徒会副会長に任命して、
学園生活を楽しませてやろうと思った。

後輩の海音と、使いやすい佐々川を呼び集め、
わざとあのメンバーになるように
立会演説にも細工して・・・
会長の権限であいつを副会長にした。

(最初は、部活ができないから任命したと勘違いして
嫌われかけたな…)

気がつくと、教室に入って
優太の席を探していた。

夕焼けで真っ赤に染まった教室。
その中で、一際新しいような机が目立った。
机のプレートには、神埼優太の文字。

「字、綺麗なんだな」

そんなことを思いながら椅子に座る。
よく見ると、机には落書きがされていた。

「なんだ、またあいつらにやられたのか?
・・・ん、これは・・・」

『生徒会出し物案
勇者ゴッコを盛り上げるために

佐々川先生には、全身タイツをはいてもらう。
あとは・・・』

「・・・神埼。授業でも考えて・・・ん?」

『今のうちに、たくさん思い出を作りたい』






涙が溢れた。

(知っていたのか、自分の体のこと)

もちろん、病気だということは
知っていたことだが。

「あやつ、本当に、毎日を大切に、
大切に生きていたのだな…」

机に涙が落ちていき、
書かれた文字が滲んでいく。


「我は、我がすべきことは・・・
海音、お主が教えてくれたな!」

教室を飛び出すと、怪談をダッシュで降りていく。
玄関を飛び出すと、

「待ってた」

車の窓から、佐々川先生が顔を出した。
蓮哉は心から礼を言った。

「先生、ありがとう」

生徒会のみんなが、優太の存在が、
いかに大切だったかわかりはじめていた。


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