コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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RPG!!
日時: 2012/11/11 11:32
名前: 柏木 幸人 (ID: yci5og17)

私は、
体が弱かった。
そのせいで
小さい頃から
遊ぶことも禁じられ、
部屋で読書していた。
だからだろう。
コミュニケーション能力が
皆無だ・・・

18になり、
やっと元気になった私は、
高校に行きたかった。
入院生活をしていた
私はもちろん、
三年生にはなれなかった・・・
顔も知らない一年生の
クラスに入れられて、
みんなから気を使われて、
肩身が狭かった。


けど
そんな私に、
私の人生を変えた
言葉をくれた人たちがいる。


「お前って、女だろ!」




ここから始まる、
私と、私たちの
ハチャメチャ学園物語。

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Re: RPG!! ( No.21 )
日時: 2012/11/24 22:21
名前: 柏木 幸人 (ID: SsVmP61.)


【8時限目!】「雨澤かえる!」


「みんな、聞いてほしい。
確かに雨澤かえるは花咲学園を志望していた。
そして、願書を書いた。
けど、あの病院を退院したわけではないんです」

「病院を移したのではなかろうか?」

「それなら、私が知らないはずありません」

「じゃあ、雨澤かえるは・・・」

みんなが静まる。
引っ越したわけでも退院したわけではない。
けれど、願書があって、
私を救ってほしいという文が・・・

「僕が、願書を受け取った」

佐々川先生のいきなりな発言に、
一同は静まり返る。

「元気で明るくて、絶対合格してくると
思っていた。けど、叶わなかった。」

「か、なわなかった、ってなんですか?」

私が先生に質問すると、先生は手で前髪を
クシャッとさせながら話した。

「学園側は、公開しなかった、
2年前の事件で、彼女は、亡くなっていたんだよ」






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」









「李、演技はもういい、お前は知ってる。
あの事件を」

「どうしても、言わねばならないのか?」

「神埼は、言うまで納得しない」

私と海音だけが、
なんのことか分からず呆然としていた。


「なぜ、目安箱にあの依頼があったかはわからない
だけど、それまでの話をしよう
僕が知ってることを」






雨澤かえるは、自分に死期がなくても
両足が完璧に治らないことを知っていた。
だから、願書を出しても納得できなかった。

頭もよく、先生からの推薦もあって、
受かることはほぼ確実だったんだ。

それでも満足に走ることさえ、
歩くことさえできない彼女は、
学園生活に自信をなくしていった。

一緒に通いたかった神埼は、まだ入院中だったし、
入学を取り止める話まで出ていた。
けど、それを親が許すはずない。
そして、
プレッシャーや絶望に耐えきれなくなった彼女は、
学園の理科室にて、死亡が確認された。

「それも、僕が危険物用の棚にいれ忘れた、
塩酸を飲んでね・・・」

「佐々川、そのせいで理科担当から
落とされたのだよな」

「僕には、彼女のために辞職願を
書いて、はやく辞職するための義務がある」

(だから、辞職願を書いているんですね・・・)

今まで黙っていた海音が、
私の肩にてを置いた。

「佐々川先生のことは、よくわかったから、
もう辞職願書くのはやめろよな!
あと、優太」

「は、はい」

「彼女が死ぬ前に書いたのか、
死んだ後にかいわからないけど、
女を心配させない、強い男にならないとな!」

「・・・強い、男に・・・はい、なりますよ!」






そして、彼女の依頼はいつきたのかわからないが、
私は私の体の運命などに負けず、
強く生きたいと感じた。

そして、
感謝の気持ちをこめ、数日後、
理科室に花束を置いた。

Re: RPG!!【この生徒会のライバルキャラ募集中!】 ( No.22 )
日時: 2012/11/25 09:32
名前: 柏木 幸人 (ID: SsVmP61.)

【9時限目!】「そろそろ文化祭!」


あの目安箱の日から、
けっこうな日数が経つ。

あれから生徒会メンバーが私をよく見ていてくれて、
いじめやカツアゲ、
前のような暴力ざたもなくなっていった。

「おいおい!みんなー!」

そんな平和な日々に訪れる、ある知らせ。
海音が生徒会室にスライディングで
入ってきては・・・

「危ないです!昨日床を磨いたばかりで・・・」

私の注意も遅く、海音は止まらない。
とりあえずソファーに腰掛けている佐々川先生の
ところに突っ込んでいって、
一瞬テコの原理発動。

佐々川先生は飛ばされ、頭が天井にはまった。

「うるさいではないか!静かにせぬか海音!」

「と、とととととと止まらねぇっ ひゃっふぅう!」

(明らかに後半楽しんでますね(笑))

蓮哉が海音の前に進み出て、
両手を前につきだした。

「れ、蓮哉さん!受け止めるなんて危ないです!」

私が止めようとしましたが、
止める気が失せたので止めました。

「我は神に支える風の勇者、
今こそ。その力を見せたまえ!
必殺の・・・ぶるべばぁぁっ!!?」

「ごめん会長ー!」

(必殺技言わせてもらえなかったー!)

必殺技の途中で、海音が蓮哉にエルボー・・・・

(あれ、海音さん、何気に蓮哉さんに
攻撃加えてんですけど!)



佐々川先生を天井から引っこ抜き、
勇者蓮哉を往復ビンタで復活させる。
とりあえず、海音が持ってきた知らせを聞く。

「みんな、本当に知らないのか? 文化祭だよ」

『・・・・・・・・・』

3人は黙っていた。
完璧に忘れていたのだ。

「で、でも、早いんですね、ここの文化祭」

「だよなー!でさでさ!生徒会とかクラスの
出し物あんじゃん?あれ決めようよ!」

「いきなりだな、まあ、良いか」

「僕も仕事しなければならないの?」

「佐々川先生、当たり前で・・・」


その直後。
あんなに生徒会室に引きこもっていた
佐々川先生の
どこにあんな脚力があるのかと思うほどの
早さで走り出した。

「僕、実家のババア危篤で」

「あ、だから床を磨いたばかりだって!」

「あ。」

ツルンっ

佐々川先生は見事に滑り、一回転すると、
服からおびただしい数の辞職願を取り出して
その上に着地した。

(辞職願に、そんな使い道が・・・)

私は海音に、燃えるごみのゴミ箱を
あと10個ほどほしいと頼んでおいた。

「それで?生徒会からも出し物できるんですよね?」

「ああ!できるよ!」

「問題は内容ですね〜、生徒会として、
恥を書かないように・・・」

「勇者ゴッコ」

「だよな、優太、なんか真面目な内容を・・・・」

「勇者ゴッコ」

「どうです?なにかありますか?蓮哉さん」

「勇者ゴッコ」

「ないですか〜、残念です、佐々川先生は?」

「辞職短冊作り」

「天の川に飲み込まれてください」

「なんだよ〜2人ともないのか。じゃあ、2人で
考えようぜ」

「そうですね」

けれど、
どれだけ考えたって浮かばない。
どれも普通すぎてつまらないのだ。
かといって、勇者ゴッコは・・・

「忘れたのか?生徒会スローガン」

蓮哉が得意そうに言ってきた。

「え?RPG、ライオンパンツグレートだよな!」

「海音さーん!!違います!一個も合ってません!」

「仕方のないやつだ、だが、今回はそっちの
スローガンはいらない、RPGだけでいい。
そもそも、生徒会出し物は、生徒会スローガンの
下で行えばよいのであろう?なら簡単ではないか。
このスローガンの下で、我々らしい正当な
出し物をすればよい、よって、勇者ゴッコだ。」

「れ、蓮哉さんが真面目なことを言って
・・・明日、世界が爆発しそうです」

「まあ、勇者ゴッコも内容によるからな、
俺は、なんか楽しそうな気がしてきた!」

「辞職短冊は、なし、か」

どうやら、
賛成者がいるので、私も今さら否定できない。

「それでは、
私たち生徒会出し物は、勇者ゴッコにしましょう!」

『おぉー!!』

(や、やっぱり恥ずかしいんですが・・・)

こうして出し物を決めた生徒会。
これから、ワクワクドキドキな文化祭準備が
始まりますっ★







Re: RPG!! ( No.23 )
日時: 2012/11/25 14:26
名前: みぃ (ID: /ReVjAdg)

柏木様へ

やっぱり面白いですね!

初めて佐々川先生がイケメンに見えました
(笑)

Re: RPG!! ( No.24 )
日時: 2012/11/25 15:13
名前: 柏木 幸人 (ID: SsVmP61.)

【10時限目!】「時間の大切さ!」


「まず、問題はここですが・・・」

「はいはーい!俺がやるー!」

「我がここを通しておこう」

「では、佐々川先生、他の先生と連絡とってください」

「わかった」

生徒会は大忙しだった。
7月の上旬、電気の回りに虫が集まる時間に
なっても、誰も帰ろうとしない。

「どうやら、さっきの案は通ったらしい」

いつになくみんな真面目で、
佐々川先生にいたっては辞職願を手放している。
私も負けないよう、そこらへんにあった
荷物を持とうとする。

「あ、優太!俺がやるから置いといてよ!」

海音が焦ったように私を止める。

「わ、わかりました」

次に、梯子に登ろうとすると・・・

「馬鹿者が、お主は下をやればよいのだ」

「は、はい」

と、蓮哉に止められてしまう。
仕方なく、佐々川先生と壁の飾りつけをした。
黙々と作業をする先生が、
なんだか逆におかしかった。

蓮哉の立案した勇者ゴッコは、
校舎全部を使用する、大胆なものに発展した。
各教室の出し物が集まる場所は、
「村」と称し、
人気の少ない場所は「ダンジョン」となっている。
ちなみに、「魔王の城」は校長室らしい(笑)

なんでも、あんなに仲の悪い校長に頼んでくれたのが
佐々川先生らしい。
言ってはいけないが、最初に佐々川先生を
見たときには、とても無愛想に見えた。

それが、生徒のために、嫌いな校長に
こんなメチャクチャな企画を通してくれたんだ。

「ハハッ」

小さく、嬉しさに笑いが出た。

「どうかした?神埼」

「いえ、なんだか、嘘みたいで」

「???」

飾りつけする手を休めずに話す。

「私はこの学園に、獣医になるために来たんです
でも志ばかりで、友達もできなくて、
それなのに、こんな体で部活さえできなくて・・・」

箱から蔓を取り出して、壁に引っ掻ける。
そうすることでしか誤魔化せなかった。

「だから、年下の海音さんや、本来なら
同じ学年の蓮哉さん、それに、初めて話す佐々川先生と、
こんな楽しく過ごせるなんて、
思ってもいませんでした。本当に、嘘みたいです・・・」

佐々川先生は「そうか」と呟いて
ポケットからハンカチを取り出した。

「目から辞職願が出てる。拭き取って
僕にちょうだい」

ブワッ
その、佐々川先生らしい励ましかたに、
さらに目から辞職願がこぼれおちる。

そこへ、

「先生が優太を泣かせてるぞ!」

「なに!佐々川、これはどういうことなのだ!」

「し〜らない」

前にも保健室で味わった仲間のあたたかさが、
今の私を包んでいた。
ハンカチを佐々川先生に返すと、
何事もなかったように2人の方を向く。

「さあ、早く準備を終わらせちゃいましょう!」

その後、私たち4人は明け方まで準備を進めた。
なにせ、校舎全部を飾りつけするのだから、
とてつもなく大変だったが。

「結構やりましたね」

「優太〜、眠いぞ〜」

「フッ、大宮は実に情けない、
我は今日、オールでも問題ない・・・ぐ〜」

「寝るな」

矛盾しまくりの蓮哉を、
佐々川先生が辞職願の束で叩くと、
作業をは再開された。

今度は海音と「魔王の城」の準備担当になった。

「大丈夫?優太、無理すんなよ?」

「心配ないですよ、ありがとうございます」

「でも、今日だって、病院行ってないじゃないか・・・
それに、こんな遅くまで!」

私は少し返答に迷ったが、
海音をしっかり見ながら答えた。

「今、神埼優太の人生の中で、一番楽しい時なんです。
だから、私は倒れても作業を止めたくないです」

「・・・そっか・・・
やっぱり、大人だな〜」

「え?」

「俺、この学園の副会長になる前は、
なんでもかんでも暴力で解決する人間だった。
恵まれた環境に甘えてたんだと思う」

私はなんと返したらいいかわからず、
ただ黙っていた。
校長室の壁は、もうここが校長室かわからないくらい
飾りつけされていた。

「本当は、生徒会選挙のとき、
差別のない学園にしたいって言いたかったけどさ、
こんな人間がそんな綺麗事言えるわけないじゃん。」

ギュッと拳を握りしめながら、海音は続けた。

「生徒会に入って、たくさんたくさんバカにされた。
けど、」

「けど・・・?」

「生徒会に入って、俺は変われたよ。
優太みたいに、もっとこの幸せな空間を
一分一秒でも多く楽しんでいかないとな!」

ニコッと笑いながら、海音は反対側の壁の
飾りつけに行った。
私も、なんだか嬉かった。
仲間との大切な時間を、
過ぎたら二度と戻らない時間を、
海音が言ったように一分一秒でも多く多く過ごせたら、
と思った。

Re: RPG!! ( No.25 )
日時: 2012/11/25 15:18
名前: 柏木 幸人 (ID: SsVmP61.)

みぃさん

ありがとうございます!


何気に忘れがちですが、
佐々川は唯一の20代です
たまにイケメンになります(笑)


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