コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- LosT WoRD
- 日時: 2013/02/06 17:59
- 名前: 狐乃宮 秋 (ID: 3w9Tjbf7)
LosT WoRD
StoRy
世界が度重なる戦争や災害の為、バランスを崩した時代。
大人達が求めるのは確かな金か。揺るぎない地位か。
……まぁ、そんなの俺には関係ないのだけれど。
失われた世界でのわけがわからないファンタジー。
ここからはネタバレ含みます。
chAraCTor
シェン 一応主人公
ラギ 一応主要人物
スタン 万屋
ルーチェ.ルーカス 北区スラムリーダー 最興の錬金術師
ライア 南区スラムリーダー 最強の戦闘狂
ストーム 西区スラムリーダー 最凶の薄愛主義者
ラグマ.A.トリスタン トリスタン家の子供
ジュダル.A.トリスタン トリスタン家頭首
先生 ラギの先生
里兎 サトー 佐藤 シェンの義父
ジャン・エルカール 2年前の事件の関係者 万屋の宿敵
WorD
旧時代 戦争前の時代
新時代 戦争後の時代 今
合成獣 キメラ 戦争の生物兵器
機会人形 戦争のロボット兵士
錬金術師 不可能のラインを見極める科学者
街 戦争後富裕層が住むセントラル
中、外 街の中、街の外
森 戦争の異物が残る沿岸部
トリスタン家 戦争の兵器開発第一人者
不老不死者のホムンクルス トリスタン家の計画
- Re: LosT WoRD ( No.22 )
- 日時: 2013/01/06 21:58
- 名前: 狐乃宮 秋 (ID: .GCH7A/G)
“街”トリスタン家のどこか。
「今、どこかで揺れました?」
いや。
「そうですか? 揺れたと思ったんですけど……」
俺は感じなかったが、じゃあどこかで揺れたんじゃねぇか?
「そうだと思いますよ。ほら。僕ってこの状態ですから敏感で」
……。
「返事してくださいよ。一応僕はあなたの雇い主の子供ですよ? 坊ちゃんですよ?」
……。ラギには坊ちゃんはヤメろと言われたが?
「ああ言えばこういう」
“街”ルーチェの場合。
迷ッタ。ハグレタ。困ッタ。
コウイウ時ハ空ヲ見テ方角ヲ確認。
「って煙ってるし」
ンー。ンー。ウーンー。
壁二手ヲ付ケテ進メバ出レル?
「ってここ迷路じゃないし」
ンー。ンー。ウーンー。
マァ。イッカ。
何カコッチナ気ガスルシ。
迷子ハ犬ノオ巡リサンヲ探セバイイノ。
サトーガ教エテクレタ……気ガスル。
最も『知識』に深い最興の錬金術師は、その最も優れているであろう知識が破綻していた。
一見では腹に一物も二物も三物も四物も五物も六物も七物も八物もーーーー持っていそうな彼女の思慮なんて、所詮は幼児の幻想レベル。
ルーチェは内面でずっとアーダコーダワーダナーダと思いながら、その考えを自分で否定するかの様に着の身着のまま機の赴くままに自分の道を進んだ。
“街”ストームの場合。
「ハグれたね。どうしようか?」
修辞疑問文であるのに相手が存在しないこの現状。
ストームは気にしない様子で歩いて行く。
「俺的思考で言うと、こんな中でも皆に俺の愛を語ってあげて、安心とリラックスとその他諸々を提供してあぎたいんだけど」
寧ろ、気にすべき事などありはしないのではという程その足取りは確かだった。
「爆発魔がいる中自分の居場所を叫ぶのもなんだかね」
実際はそんな状況なのだが、ストームの歩調は一定で安定しており、
「まぁ? 元からはぐれるつもりだったからいいんだけど?」
それが確かに計画的であったことを証明していた。
シェンやラギには悪いけど俺にも事情があるし?
気が向いたら助けるし? 手が空いて助けに行ければいいしね?
ごめんな? 俺は皆を平等に平行に平坦に平々凡々に水平に平均的に愛しているから、ごめんな?
このまま俺が行っても、まぁ二人共殺しても死にそうにないから別にいっか。
そういうわけで行って来ます!
最も『法』を尊重する最凶の薄愛主義者は、その最も尊重されるであろう法が破綻していた。
騙されてはいけないのだ。彼は決して博愛主義者ではないのだから。
“街”ライアの場合。
「んんっ?! 何かこっちにいったらいい気がする」
ライアは見た目ではルーチェよりも髪が長い分大人っぽく落ち着いて見える。
長い睫毛も突き出た胸も小惑的で格好いい。
だが、実際は、
「こっちにいったら闘える気がする!」
ルーチェが幼児的な思考なら、ライアは野生的である。
彼女の頭の中の方程式は、
戦戦戦戦戦戦戦戦戦戦戦イコール喜喜喜喜喜喜喜喜喜喜喜
である。戦えば戦う程喜びを感じられる。そこにプラスやマイナスは存在しない。
彼女は彼女の本能で、自分を満足させる方法を明確に知っていた。
最も『力』を行使する最強の戦闘狂は、その最も行使されるであろう力が破綻していた。
彼女は純粋に戦う。そこには打算も何もない。何もないからその力は強大になるのだ。
- Re: LosT WoRD ( No.23 )
- 日時: 2013/01/27 00:37
- 名前: 狐乃宮 秋 (ID: .GCH7A/G)
スラム層。ヨロヅヤとショウネン。
爆音がこだまする。
それは四十奏になって彼の耳に響いた。
死。
ーーーーシ?
し?
僕の横を僕の皮膚が飛んでいる。
これがーーーー。
『死ねっ!』
あの時と同じだ。僕はスタンに向けて銃を放つ。違うのはその銃は僕の銃で、紛い物ではなく本当に鉛の玉が出る銃だということだ。
引鉄を引く時、あれからはいつも左頬が疼く。刺青が震えて模様が変わる。
「まだぁ。死にたくはないかなぁー」
あの時と同じ間延びした声が傷口を抉る。
『てめぇが死ね?』
あの銃の所為で僕の左頬が、僕の喉が、声が。
ーーーー何で?
ーーーーーーーーどうして?
ーーーー!ーー!!ーーーーーー僕の全てが!
ーーーーーーー!!!!ーーーーーーーーーーだって銃は素晴らしい物なのに!
引鉄を引く時の震えが!
弾を入れるリズムが!
形が! 色が! 弾が出る時の反動が!
フォルムが! 発想が! 行いが! 全てがいい筈なのに!
ーーーそうだ。銃は悪くない!
ーーーーーー!ーーー悪いのは! 素晴らしい銃を冒涜したこの男だ!
ジャン.エルカールは完成された銃愛好家である。ストームが世界をこよなく愛する様に、ジャンは全ての銃をこよなく愛する。
その銃の暴発の所為で自分は死にかけた。だが、それは違う。銃の暴発は結果だ。銃は暴発しても美しくて格好いいのだ。悪いのは銃ではない。このクネクネとしたスタンである。
それがジャンのあの事件の顛末であり、スタンを殺す理由だった。
遠くで爆発の音がした。それがジャンをあの事件に引き戻す。
そして彼の思考はある一点に到達したのだ。つまり、スタンを殺そうと。
「爆発ぅ? あれはぁ…………シェンに後で怒られるかなぁ?」
しかし、スタンは特に焦った様には見えない。先程からジャンの銃撃を障害物を上手く利用して避け、着実にシェン達が行った、恐らく今は爆発が起こっているであろう場所に近づいて行っていた。
ヨロヅヤとは、つまり『万屋』である。旧時代の日本では、八百万の神と言って、何にでも神様が宿り魂を持つとされていた。何にでもなわけだがら、神様は非常に沢山いたということになり、とにかく何でもという万の考えるがあった。
万屋とはつまり、体裁のない何でも屋である。
体裁も常識も、スタンの前では意味がない。
猫目にクセのある髪はスタンによくお似合いだった。彼は薄いパープルのシャツにユラユラと伊達眼鏡をかけていた。
スタンという万屋は、計算高い厄介者として知られていた。
『何?今度ノ爆発もアンタのセイ?』
機会音が尋ねる。
「俺はー今ここで君に撃たれてるんだよぉ? あんな向こうで爆発なんか起こせる筈ないよー」
『どうだカ。また誰かに何かをさせてるノかもしれない』
「人聞き悪いなぁー。それでぇ? そろそろ弾切れぇ??」
厚い面の皮が和かな物に歪む。「じ、えんどぉ?」
『寝言ハ寝て言えっ』
ジャンは持ち前の早さで手首にスナップをきかせて、弾を変えようとした。だかーーーー。
「うんン? だから、眠ってねぇ」
「は?」
一音も言う暇がなかった。
辺りからモヤが広がり、ジャンの視界を埋め尽くして行く。
憎き敵の姿は薄いムラサキのガストに隠れて行った。
そしてジャンの視界は暗転し、意識はその暗闇の中を彷徨った。
『睡眠ガス……?』
「喉がいかれてても、効くんだねぇ?」
狂気の男が最後に笑っていた。
スタンは立っていた。その横では少年が転がっていた。
万屋はほくそ笑んでいた。その横では商品が眠っていた。
「まぁ? 良かったよー。折角の仕掛けがムダにならなくてさぁー?」
男は呟いた。彼は万屋だった。
- Re: LosT WoRD ( No.24 )
- 日時: 2013/02/11 23:09
- 名前: 狐乃宮 秋 (ID: .GCH7A/G)
“街”三少年。(父と息子と依頼主)
シェンは不機嫌極まりなく、イライラは臨界点を突破、新たな高みへと突き進んでいた。
彼のその原因がサトーと言う彼の父親である(本当かよ?)少年の所為であることはラギの目に見ても明らかであった。
「ぇえと。そういえばサトーはいくつなんだ?」
「んー。ナ、イ、ショ」
めんどくセー。
「いってても20そこら? でもシェンの父親なんだから30は超えるよな?」
「おー。正解。22だよ。いいでしょ? 若い父親」
いや。若過ぎるだろ。
「よくねぇよ。断じてよくねぇよ。むしろ最悪だよ。うぜぇ」
「またっ! この子はっ! そんな口を叩く。お母さんはあなたをこんな子に育てた覚えはありません!」
「だから、育ててないんだよお前は俺を。覚えがない覚えしかないだろっ? ってかお父さんじゃないのかよ」
「昔からこの子は親に反抗ばかりしてぇ。困ったものね」
「俺とお前が知り合ったのは2年前だけどな。後女言葉やめろ。うぜえきめぇ」
少年二人がこんな会話をしながら青龍刀と刀を振り回す。この上なくシュールな光景に、ラギは眩暈を感じた。ここ小一時間で驚くことなどはもうない!と、いった図太い神経を鍛え上げても、やはり予想だにしなかったことの推測は出来ない。
この二人の2年間で二人にいったい何が起こったのか。
「いや、単純な話。ここのスラムの法律ってさ、養子を引き受けられる最低年齢が18なのね。だから、俺がシェンを養子にもらっても関係ナシ!」
「法律なんて守ってたのか……!」
「いや、そこは驚くところでないんだけどね」
サトーがラギの頭を犬を撫でるようにワシャワシャとかいた。実際にサトーがシェンの父親としてなんら問題のない歳と見た目だったら、そんな光景も映えていたかもしれないと思うと残念である。
「それで。あのトリスタン家との戦の座前になんの花を添えようか?」
サトーがラギの耳元に口を近づけて囁く。真っ黒な彼の出で立ちから、それは悪魔か何かの誘いのようだった。
ラギの心臓が誰かの手に掴まれるように高鳴った。
「座前?」
クスリ。そういう笑顔を作ってサトーはシェンの頭を先程のラギみたいにクシャクシャにした。
「この愚息に、ルーチェにライアにストーム。それから万屋に君。舞台は“街”のトリスタン家。役者も揃った今なら何でも出来るよ。しかもスペシャルゲストに俺まで来てるんだ」
自分のことをスペシャルゲストと言う辺りがいかにもこの男らしい。
「こんな爆発程度じゃ“街”のガーディアンも呼べないからね。もと出だしは華々しくないと」
もう煙は落ち着き、“街”の周が明らかになっていた。中と言っても、一度ぶっ壊れたことには変わりない。円の周に近いほど、「ごちゃこちゃ」している。
しかも三人は自衛兵のロボットと鉢合わせてどんぱちやるのを避けるために、ラギが逃走に使った整備されていない下水道を通っていた。幸い、水に浸った通り道がない区画ではなかったらしく、両側に歩道があったから、今はそこから世界の中心を目指していた。
本来の陸地なら、スラム層そどではないにしても階層に積み重ねられた豪邸が立ち並ぶのだが。
「座前なんてあの三人がほっといてもしてくれるだろ?」
シェンが疲れた様子で言った。気のせいか、ここが薄暗いせいか、その赤髪は気力をなくしてすっかり茶色に見えた。
「なんせ狂気のスラムリーダーズだぜ?」
「傍迷惑なグループだな」
「じやぁ。その一派の一味として、シェンはどうしたい? やっば親子の意見は尊重し合うべきだよなぁ」
「じゃぁ。息子の意見を尊重して今すぐ死ね。すぐに失せろ」
「時には厳しく接するのが我が家の家訓デス」
……ムカっ。
「え?何っ!シェン! 何でそんな銃を俺に向けんの?!」
「もう存在を消してやろうかと」
「ヤバイ。愛する息子に殺される」
顔面蒼白。これほどその言葉が似合わないやつもそういないだろう。
演技が見え見えの表情で逃げる振りをする少年に、ラギは何度目かの溜息をつくほかなかった。
- Re: LosT WoRD ( No.25 )
- 日時: 2013/02/20 23:32
- 名前: 狐乃宮 秋 (ID: .GCH7A/G)
“街” 少し遡った頃。
「いい仕事がある」
紫の万屋の名が売れ始めた。だが、本当に『いい仕事』なんてものはこの御時世に滅多にないことはその万屋である自分自身が一番よく知っている。
「へぇー。どんなぁ?」
客は“街”の暗部に関わる男だ。
「『いい仕事』だ。ある少年をスラム層から連れて来てくれ。キメラにも追わせたんだがね。あいつらに知能を求めるのは野暮って物だろ?」
「それは、『殺せ』ってこと?」
知能を求めることも出来ない合成獣に人を追わせる。しかも少年と言ったら子供だろう。東のシェンみたいな子供がそうそうにいる程世の中は裏返っていない。
だが、客は浅黒い顔を歪めて言う。
「殺れるものなら」
「ほぉー」
どうやら寝ている間に世の中はちゃっかり裏返ったらしい。
「どんな子供ー? マフィアの裏事情をしっちゃった子ぉ? ああ。財政界のかなぁ? それともその子自体がキメラかなぁ? ダメだよ。人との合成は暗黙の了解で黙認されてるだけでバッチリ違法だからねぇ。どっかの『法』に慈悲深く殺されても知らないよぉ?」
スタンの忠告は客への話題のチョイスをミスったらしく、呆気なく無視を決められた。
そして、男は自分が無視した忠告と言う行為を自分でスタンに変えした。
「いいか? あくまで連れて来い。絶対にこの話は人にするな。
安心しろ。金は出す。言っただろ? いい仕事だ」
スタンは幾らかこの忠告をスルーしてやろうかとおもった。だが、こっちはあくまで商人。そして向こうはお客様である。それはするべきことではない。
スタンという万屋でも、一応は商人魂という名の考えがあったのだ。
- Re: LosT WoRD ( No.26 )
- 日時: 2013/02/24 23:04
- 名前: 狐乃宮 秋 (ID: .GCH7A/G)
西の最凶。
街に入るのは久し振りだった。前に入ったのはあの事件が最後であったから、年単位での久し振りである。
ストームは単独で街の中へと入っていた。
近頃。スラム層では騒ぎが起きていた。
『魂喰らい』
その連続殺人はそう呼ばれていた。
子供達が口をあんぐりと開けて倒れている。外傷は特には見えなかった。争った後の様な物は見えたのだが、それが致命傷には程遠い。
まるで魂を抜かれたかの様に冷たくなっているのだ。
ストームは思ったのだ。
これが“街”の騒ぎでもあると。
彼は彼の生きるスラム層で勝手を、されたことに腸が煮え帰って仕方がない。
「勿論俺は全ての人を愛するけど、全ての行いに微笑むけど、俺は博愛主義的な『法』に生きてるからね。
命は皆平等。格差社会反対。
だから、勝手はご遠慮して貰わないとな」
ストームは確かに憤っていた。
彼の中で、彼自身が彼に定められた『法』なのだ。それを土足で踏みにじる無礼者には『裁き』を与えなくてはならない。
「じゃあ。お前の裁判では俺は『有罪』になったわけか?」
「おっさん、肝が座ってるね」
「どこがだ。か弱い無抵抗のおっさんに銃なんか向けて、もうおっさんガタブルだよ?」
「か弱いおっさんは銃を向けられたらもっと怯えるもんだ」
ストームと対峙するのは、それなりの中年の男だ。白衣を着ているから、まず間違いなくトリスタンの錬金術師である。
「怯えたら助けてくれるわけでもねぇんだろ。怯えるだけ損だ」
「さっすが。理と利に生きる錬金術師だね。上手くやれば、長生き、もといしぶとく生き抜くタイプでしょ?」
「もとう方がおかしい、っだろ!」
「おっと」
中年の錬金術師が想定よりも機敏な動きでストームに捨て身の体当たりをして来た。
賢い判断だ。銃口から銃の内部が死と共に凝視できる今は、錬金術師は丸見えのそれから目をそらさずに立ち向かって行った方がよっぽどそれから離れられる。
錬金術師にそれだけの行動力があるのも珍しい。
よろけたストームには目もくれずに、錬金術師は一回も振り返ることなくやはり、速い足で走り去って行った。
恐らく。ストームに自分を殺す気が無いと早々に勘付いていたのだろう。
「違うのか?」
ストームは先程まで錬金術師に向けていた銃の銃口を自分で覗き込みーーーーバンッーーーー引き金を躊躇なく引いた。
「……なーんてな」
その銃から弾が放たれることはなかった。
あたりを見渡すと、道は二つある。
一つは自分が来た道。これは戻るだけなので却下。
となると、消去法的に選択出来るのは一つ。
二つ目の先程錬金術師が逃げて行った道だ。
「チッ。もっと相手して貰うんだったな」
“中”の錬金術師。
マズイ。あいつはマズイ。
もう目からして違う。あれは正気を保ちながらイかれた奴の目だ。言うなれば、トリスタンの当主。自分の雇い主であるあの老練な男の様な目だ。
何であんな奴がこっちにいるんだよ。
バッカス・ソナークは困惑しながら走っていた。
心当たりがないわけではない。ラギにスラムリーダーを頼れと提案したのは他でもない自分である。
だが、その仲介人であるラギはどうした。
「ったく! あんな野生の獣を野放しにすんなよな! あの銃じゃなかったら死んでたぞ!」
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