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LosT WoRD
日時: 2013/02/06 17:59
名前: 狐乃宮 秋 (ID: 3w9Tjbf7)

LosT WoRD

StoRy
世界が度重なる戦争や災害の為、バランスを崩した時代。
大人達が求めるのは確かな金か。揺るぎない地位か。
……まぁ、そんなの俺には関係ないのだけれど。
失われた世界でのわけがわからないファンタジー。


ここからはネタバレ含みます。

chAraCTor
シェン 一応主人公
ラギ 一応主要人物
スタン 万屋
ルーチェ.ルーカス 北区スラムリーダー 最興の錬金術師
ライア 南区スラムリーダー 最強の戦闘狂
ストーム 西区スラムリーダー 最凶の薄愛主義者
ラグマ.A.トリスタン トリスタン家の子供
ジュダル.A.トリスタン トリスタン家頭首
先生 ラギの先生
里兎 サトー 佐藤 シェンの義父
ジャン・エルカール 2年前の事件の関係者 万屋の宿敵


WorD
旧時代 戦争前の時代
新時代 戦争後の時代 今
合成獣 キメラ 戦争の生物兵器
機会人形 戦争のロボット兵士
錬金術師 不可能のラインを見極める科学者
街 戦争後富裕層が住むセントラル
中、外 街の中、街の外
森 戦争の異物が残る沿岸部
トリスタン家 戦争の兵器開発第一人者
不老不死者のホムンクルス トリスタン家の計画

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Re: LosT WoRD ( No.1 )
日時: 2012/12/19 22:13
名前: 狐乃宮 秋 (ID: .GCH7A/G)

ここはいつ来ても暗いのだ。
心臓部から、器官へと延びた神経に例えられるここは、本来なら人が通る場所ではない。
それ故いつでも明かりはついていない。照らす必要がない場所を照らすほどの余裕はどこにもない。する音といったらビチャンかピシャンかと水が落ちる音で生活から出た音ではない。
ここは街の心臓部から人も住めない器官、外縁部に延びる地下水脈だ。大昔に整備されたままずっと放置をされていたらしい。
ビチャンと水が水に落ちる音が胸の下からする。
こんな所は銃で撃たれた人がバシャバシャと走る場所ではないだろう。目の前が更に暗くなる。
ここで死んだら、誰かが自分を見つけるだろうか。
ーーそれじゃダメだろ。
大きく足を出した途端、後ろに激痛が走る。
そのまま気を失った。

街の外は人が住むような所ではない。中のお方々はそう思っていらっしゃるよ。
当てつけたようなご丁寧な言い方で皆はそう言う。しかし、実際は口を鳥か何かの嘴のように尖らせて言う外の連中の方が数で言うのなら多い。中のお方々もそれを知っている。しかし、中から外は見えない。見えても本当に中の人は外の俺らのことをヒトとは見えないのかもしれない。
確かに、外の連中はヒトと呼んでいいのか危うい奴らもいる。
「よっ」
スラム層の統率者なんかはその代表だ。
東西南北のスラムの統治者は俺自身も人として扱っていいのか迷う。
「おっと」
「俺も思うんだけどさー。正直ー、てめぇーも人かどうか怪しくねー?」
「えっ。怪しくなくなくねー?」
「確かにぃー、大将達はそりゃ変人奇人達だけどさー」
話をしながら俺は右足を大きく上げた。重い力を感じる。
「合成獣をー、片脚片手で話しながらぁ相手にするのてめーも怪しいよ」
その重い力の後に俺の体長の5倍はあろうかと言うキメラが吹っ飛んだ。
合成獣、キメラは旧時代の遺物の一つだ。戦争の生物兵器として軍の科学者達が秘密裏に開発したそれが、新時代の今になって放置され、街の外の外縁部で暴れている。旧時代の遺物は、まさに新時代の異物となったわけだ。
まったく、こんな犬歯と瞳孔をギラギラ光らせて、鋭利に伸びた爪をビタビタと何かの血に浸した獰猛なノラキメラを放置されたらいい迷惑極まりない。ついでに言うと、今回追いかけっこをした遊び相手は獅子と大鷲の合成獣だ。
「万屋ー。俺も思うんだけどさー。普通こんな子供が身の丈の5倍もある合成獣を相手にしてたら手助けぐらいはしてくれない?」
「えっー。してくれなくなくなくないー?」
「いや。してくれなくなくなくなくない」
なくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなく
「あー。ちなみに、逃げてるよぉ。てめぇのお友達ー」
はぁ。キメラに逃げる脳なんてないだろ。合成獣はシステムとして獲物を狩る本能を持っているのだ。つまりは人間を。
しかし、獅子の太い足は俺とは逆を太く蹴っていた。
「はぁー?!」
ここは外縁部だ。本来なら人が近寄ることはない。
「何であんな所で子供が寝てんだよっ」
「子供って、てめえの方が餓鬼じゃねー」
さっきキメラを蹴り上げた足で翔ける。キメラが爪を獲物に向ける。
万屋が呟いた。「あー。でもあれ、マズイねぇー」
細っこい少年はまた身の丈5倍の合成獣を蹴り飛ばした。

旧時代ー。
人は戦争をした。天変地異ともいえる大災害も起こった。
新時代ー。
旧時代を生き残る為に高めた知恵と技術が人を苦しめる。

世界は一度壊れた。
僅かに残った生命活動が可能な土地は街となり生命を守る。街の外の外縁部に向かう程、生命は危機にさらされる。
街にいられるのは所謂権力者だ。残りの人々は街の外でスラムを造り、かろうじて生きている。


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