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【歴史系】陰陽師兼忍者【オリキャラ募集】
日時: 2014/09/08 22:36
名前: 捨駒 (ID: kDko/hPR)

クリックorタップありがとうございます。

初めまして。捨駒(すてごま)と申します。
分かる方は捨駒の意味、分かると思うのであえて言いません!(`・ω´・ 。)キリッ

そんな私が書く小説は、主に歴史ギャグ小説です。
全く歴史関係無いし、時々戦闘シーンも入ると思いますがとどうぞ、良しなに……

※文才無いし、更新はボチボチです。すみません……(´・c_・`)


【話数一覧表】

・第零 登場人物>>1

・第一 人物兼引きニート>>2-13>>15-16>>20-22

・第二 繋グ者兼夜ノ街>>23-25>>28-31>>33 続く。


【オリキャラ様】

亜琵助斗様>>(赤い追放者)□シロクロ■様より頂きました!ありがとうございます!(*´ω`)
>>26>>28より設定でございます。(因みに、ぱっぴぃ星人ボイスで考えておりますよ。)


まだまだオリキャラを募集しております!
もうなんか、ルールとかどうでもいいんですけどね…(;´∀`)

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Re: 軽く登場人物紹介 ( No.1 )
日時: 2014/09/01 12:46
名前: 捨駒 (ID: 5ySyUGFj)

主人公(三人)

・甘凪杏子 カンナギアンコ(仮cv.山崎和佳奈)

備考
十八歳の女。茶髪に黒目、お団子頭に桜と赤い蜻蛉玉の簪。ピンクに白と水色の桜の着物。一応、陰陽道を学ぶ同士として神李を慕っている。忍では無いが、ちょくちょく忍の仕事についていっている。ツッコミ。子供には好かれるタイプ。


・飴宮純一 アメミヤスミイチ(cv.中村悠一)

備考
20代前半の男。独り身でバカにされる。濃い青の髪に色の目、黒の着物に青の羽織。忍の時は忍装束に懐刀。平和主義。口は悪い。万屋を営む。時々、薬物の調合をしているため、漢方薬や薬品に詳しい。


・賀喜神李 カキコウリ(cv.鈴村健一)

備考
十八歳の男。暗い紫の髪で無造作。涼しい顔立ち。冷静沈着であり、バシバシツッコミを入れる。でも、ほぼボケている様なもの。鉄仮面の様に笑わない。笑うといえば鼻で笑うくらい。無自覚(人をいじめるのが好きということは分かっている。)だがドS。

新撰組御一考(大体のメンバー)

近藤さん・顔面凶器だが優しい。
土方さん・顔が怖いがお人好し。
伊東さん・うるさい。
芹沢さん・居ないようでいる。
沖田隊長・アホだが自分には厳しい。
永倉隊長・しつこい。
桜井さん・喧嘩っ早い。
中島さん・冷静だが怖い。
山崎さん・ポジティブ。
浅野さん・ネガティブ。

町の人

・飴宮也太 アメミヤナルタ(cv.杉田智和)

備考
赤毛の天パ。眼鏡をかけている。幕府の要注意人物で新撰組に狙われている。喜作で何事も気にしない。一応、知り合いの家で住み込みで働いてはいるが、ほぼサボっているので現在無職。妖怪と幽霊の他にも色々なモノが見える。

・神崎苺花 カンザキマイカ(cv.小林ゆう)

備考
引きこもり。ボロボロの着物に長い黒髪。幽霊が見える為、代々受け継がれた店を仲良くなった幽霊に任せている。
神李とは十年以上の仲だが、六歳の時に引っ越してきた杏子を取り合いして、元々仲が悪かったが今では殺したい程憎んでいる。

・風魔架乱 フウマカロン(cv.甲斐田裕子)

備考
あの有名な風魔一族の末裔。江戸から逃げてきてようやく京の都までたどり着いた。猫目が特徴的。神李の仕事場・妖怪街と何か関係を持つ様に思える。

妖怪・式神・幽霊等その他

・面狐 メンコ(仮cv.永島由子)

備考
神李の式神。烏天狗
下っ端。なめたような口を聞く。一人称は俺。真っ二つに割れた狐の面と、感情によって変わる不思議な能面をつけている。真っ先に死殺についていった。新入りにも優しくしてもらえるのが惚れた理由らしい。

・死殺 シヤリ(cv.梶裕貴)

備考
銀髪に片眼鏡。右目の方は銀色で左目は黒色。着物に燕尾服という少し変わった組み合わせ。時々、江戸っ子風口調。
したっぱの天狗だったが、頭(鎖羅を連れ去った妖)を殺して自分が頭に。

・鎖羅 サラ(cv.緑川光)

備考
昔(平安時代)に死殺をかばい妖怪の吉原、鬼蛇穴(キサラギ)通りに男を隠し女として花魁になる。だが、死殺がその男を殺したため、自由に出入りができる様になった。細身の身体に金髪。九十九神のやどった不思議な煙を吐く煙管と見るものを魅了する紫色の目をもつ。因みに化け狐。

・白兎 ハクト (cv.日野聡)

備考
純一の懐刀。妖刀のイペタムの妖の方であり、使いこなせる純一に強い忠義心を抱く。元は杏子の式神であり、昔の杏子らを知っている。白髪に赤い瞳。顔以外に巻いた包帯が特徴的だ。(これは日焼けを防ぐため。女子ですね。)

・冷寒天流 レイカンアマル(cv.小林由美子)

備考
山に住み着く山霊。七歳程に見えるが実年齢百以上。古くからざらしの事をおやっさんと呼び、親しい。風の声、川の声、色々な言葉が聞こえる。

・ざらし(cv.石川英郎)

備考
白髪のロング。細い目の中に水色の瞳が。昔は置いてけ堀として畏れられたが最近は記憶の果てへ葬られる。あの方(また考える)にも忘れられていないかと思い深い森林へと身を寄せる。

・緋色 ヒイロ(cv.原林めぐみ)

備考
白兎の拾ってきた子供。詳細は不明。

昔の人

・賀喜安芸彦 カキアキヒコ(cv.子安武人)

備考
透き通る様な肌に切れ長の目の端から口の端まで伸びた紅い刺青に暗い茶髪。気崩した着物の下にはさらしが巻かれている。腕にはめられた鍵の束はあらゆる世界を繋ぐ扉の鍵。剛腕の持ち主。

・神崎白玉 カンザキシラタマ(cv.釘宮理恵)

備考
蘭星の店主。明るい性格をそのまま写した様な服装には誰もが目を見張る。賀喜の数少ない信頼できる相手で、愛称はタマちゃん。料理の腕は天下一品らしい。


結構増やして、設定も増やしました(´・c_・`)

キャラクターのボイスですが、新撰組御一行と仮の方たちのcvを考えて頂きたいです。因みに、子安と石田さんは次のキャラに使う予定なのでお控えを。
本当に、ワガママすみません。

Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【ギャグ】 ( No.2 )
日時: 2014/04/05 15:38
名前: 捨駒 (ID: slzqu/cu)

清く蒼い江戸の空には白い雲が似合う。

「杏子さん、今日もありがとうございました。」

「さよなら!」

小さい少女とその母親に笑顔で手を降り返すと後ろから物が倒れる音が聞こえた。いつもの事だが、今日は呻き声までプラスされている。

「またか……はァ……」

足早に中に入るとホウキを片手で持ちもう片方の手で純一の頭を掴み、持ち上げている神李がいた。部屋の中は団子の包みと古そうな巻物や置物が散乱している。

「やめろっ、話せば分かるから……」
「やめません。分かりません。張っ倒しますよ。」

神李は懐から呪符を取り出すと念を唱え始める。声を出そうとしても出ない位の威圧感が部屋を覆うが神李はやめない。

「分かった!分かった!邪魔だから怒ってんだろ!? 」

喚く純一を無視し念を唱え終わった神李は札を額に貼った。

「滅……つーか死ね。」



「なんで初っぱなからこれなんですか!」

杏子は純一の額に包帯を巻き終わると神李を睨み付ける。

「大体!神李君は笑わないからいけないんですよ!」
「俺が笑ったらガキが泣くんですよ。分かりますか?」

反省の素振りも見せない神李に少し腹が立つが仕方ない事だ。彼が笑うといえば、人をバカにするか嫌いな奴の葬式の時位。
はっきり言うと死んでもいい奴に笑いかける位なのだ。

「そんなのは出鱈目だって、いったらいいじゃ無いですか!」
「出鱈目では無いですよ。ほら、ここに来る際に……」

『初めまして、賀喜神李です。ニコッ』

「ほら。」

「いや、あれそー言う意味だったの?!」
「そうです。一目見た時から、締めとっか……と考えてたんですよ。」

当たり前の事を言う様な口調で神李は純一に言う。そこが彼の怖い所の一つでもあるのだ。
実はというと、神李は天才的なカリスマ陰陽師でよく純一の手伝いをしているとの事だ。陰陽道は杏子も学んでいるが同い年の神李とは比べ物にならない位弱い。

「締めとっかってな……お前、辞めさせるぞ!?」
「いいですよ。也太さんの所へ行きますので。」
「兄貴のとこだけはやめとけっ!!なっ!?」

慌てる純一を面白がる神李はやはりSの気質があるようだ。
杏子の溜め息はまたまた災難を呼ぶものとなったのだ。

「よー!!来たぜー!純ー!」

赤毛にパーマをかけたような髪に眼鏡をかけた若い男が戸を蹴り破って中に入ってきた。舌打ちをした神李が気になるが、ここはあえてツッコミをいれないでおこう。

「純、俺いい仕事をGETしたぜ!お前らにやって欲しくてさー! 」

軽い物言いで男は地図を純一に渡すと丸がついている所を指差した。

「兄貴……俺らは便利屋じゃねーんだ……万屋なんだよ……」
「万屋も便利屋も変わらねーって前にお前言ってたろー?」

豪快に笑う男は名を飴宮也太といい純一の実の兄。幕府や新撰組から目をつけられている程危ない人間だが、根っから悪い訳では無いので指名手配とはなっていない。

「しかも、そこの娘さんがめっちゃ可愛いんだよ!」
「マジでか!その話乗った!」

兄弟似た者同士だな……
染々思う杏子は神李の方へ目を向けた。

「チッ、また面倒なの引き受けやがって……殺すぞ……」

「キレてる……」

Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【ギャグ】 ( No.3 )
日時: 2014/10/18 16:52
名前: 捨駒 (ID: 8l51JBm.)

「ひえー、あっついー!」

外に出てまだ間もないのに直ぐにバテる純一。
彼は引きこもりだけあって暑さに滅法弱い。依頼を受け仕事に行くか、夜中に仕事に行くか、それ以上外へは出ない様にしているらしい。なんせ忍なのだからだ。

「杏子ー、冷やかい茶とか飲んできていいか?」
「おいおい、時間ねーぞ。」

杏子は純一を殴る也太に一つ言いたい事があった。

「誰のせいで前に進めないかわかってんですか!?」

杏子達の前に黒ずくめの着物を身に付けた新撰組御一考達が也太を連れていこうとしているからだ。ダンダラ模様の羽織を腰に巻いた、着崩した格好の金髪の男が話しかけてくる。ヤクザの下っ端の様な僧帽で彼は也太に顔を近づけた。

「おーコラ。誰かと思えば也太の旦那じゃ無いッスか。」
「新撰組の……桜田君だったかな?久し振りだなー。」

赤い毛玉の様な髪をかきながら笑う也太に、眉間にシワをよせた金髪の男が也太の胸ぐらを掴んだ。周囲はヤレヤレと首を横に振り店の中へ消えていく。

「誰が桜田じゃボケェェ!!桜井じゃ、この毛玉!!いい加減名前覚えんかァァ!!チキショー!」

キレる桜井に後ろから慣れた手つきで腹部を殴る男。同じく、黒ずくめだったが彼とは違い、きっちりとした身なりだった。

「はいはい、屯所に戻りますよ。」

フォローをしたのか馬鹿にしているのか分からない口振りで黒髪の男が一礼した。影が薄くてそこに居たのか今まで気付かなかった。

「すみません。うちの桜田が。」
「え?桜井さんじゃ…」

「あ、俺は中島と申します。同期なんですけどね。喧嘩っ早いもんで……それでは。」

にこりともせずに中島は帰っていった。シワのついた襟元を直すと也太は何事もなかった様に前へ歩き出す。






ツッコミ所満載な道中だったが、遂に也太の言うお前らにやって欲しい仕事場所についた。蜘蛛の巣や灰を被った看板は江戸時代初期から受け継がれた趣を感じられる。

「んで?可愛い娘は?」

ふてぶてしく粒やいた純一に慌てるなと言わんばかりに杏子がチョップをかます。

「也太さん、この店って確か、アレですよね?甘味処ですよね?」
「そう、杏子ちゃん正解!さっすがあんこって名前だけあるねィ!」

褒められる事は嬉しい事だが、杏子は知っていた。この店が少し厄介だと言うことを。

「……あっ!いらっしゃい!」

杏子と同い年の娘が出迎えて来るのだが、足が透けているのだ。
神李は息を吐くと娘の額に札を押し当てる。

「全く……店主は何処ですか?」
「んあ?あァ!苺花さんッスか?!奥でなんかしてますぜ!」

札に気付いていないのか、にんまりと笑みを返し答えると奥に向かって叫ぶ。

「苺花サーンッ!若い男のお客さんと杏子さんッスよー!」

娘のデカイ声が店中響き渡りその後からか細い女の叫び声が聞こえた。

「うるさいっ!帰れと伝えろ!」

店主とは思えない口の聞き方に神李が舌打ちをするが也太がどうして苺花が引きこもりなのかを説明した。

「彼女はねー、昔、寺子屋にお父さんの春画を持っていったんだよー。だからな、ついたあだ名が変態だ。それから町を歩く度、皆が自分の悪口を言っている様に思えてきて……」
「こうなりましたー♪」

キャハハと甲高い声で笑う娘に神李は札を二枚押し付けて恐喝の様に脅した。

「んじゃ、俺らで解決しますんで。取り合えず、この娘と毛玉、殺っちゃっていいですか?」
「構わねェよ。可愛い娘もいなかったし。」

頷く神李から逃げる様に娘は消える。そして残った也太が必死に神李に説明をする。

「だから!その引きこもりを出させる為にお前らを呼んだんだよ!なっ?!頼むから。可愛い娘も紹介するし!」

手を合わせ涙目になっている也太の頭を踏みつけ神李は少し鼻で笑った。

「いいですよ。そこまで言うなら。ただし、報酬は弾みますからね。」
「あ、ありがとうなっ!」

踏まれた頭を直して立ち去る也太を追いかける様に純一と神李は帰っていった。

「あー、明日休みたいな……」

痛くなる頭を抱えて杏子も二人の影法師を追いかけ走っていった。






翌日、杏子は苺花の家へ行っていた。

昨日の謝罪も兼ね、キッチリと話を聞こうというなんともちゃっかりとした考えであった。

「苺花ちゃーん!」

一回、二回と呼び掛けてみたものの、全てシカトで終わっている。彼女の好きな大福を玄関に置き、帰ろうとしたとき、後ろから気配を感じた。

何かこの世のものでは無い気配だ。

素早く後ろに回転蹴りをすると音もなく後ろの気配が倒れこむ。気配は徐々に物体化し、やがて子供の形に成っていった。札を懐から取り出すと二枚投げ付け、九字を切った。

「いたっ、ちょ!一回待って!」

子供の物体は怪しく笑う半分に裂けた狐の面を顔に、能面を頭に付けて底面の歯が極端に高い下駄を履いていた。声は女の様だ。

「貴方、真っ昼間から妖怪なんて……死にたいんですか?!」
「妖怪と違う!俺は、式神!分かるか?!し、き、が、み!」

少々頭に来る言い方だが、後ろに見慣れた札をつけている。

「俺は神李様の命により、桜の簪を着けた女を見張れと言われてつけてたんです!」

あの冷血な神李が自分を見張れ……杏子は少し嬉しかったが、首を横に振ると投げつけた札を戻す。惑わされてはいけない。

「べっ、別に、私はつけられる程馬鹿じゃ無いし?」

強がる杏子に頭の能面はニヤリと笑う。

「んじゃ、天野屋限定の桜大福。要らないんですね?」

天野屋限定の桜大福とは、春にしか手に入らない幻の桜餡をふんだんに使った白い大福で、口に入れるとほんのりと桜の香りが広がる杏子の大好物だ。
意地悪そうな声音で言われるとどうしても癪に障る。

「欲しいっ!!」

突如割り込んで来た声に目を向けると長い黒髪の少女が立っていた。ハッと顔を真っ赤に染めると勢い良く引き戸を閉め、中に戻っていった。

「………あれって……」
「……うん……。」





「それで、苺花さんは出てきたと……」

不機嫌そうに神李は大福を頬張ると女と杏子を睨み付ける。

「全く、面弧、杏子さん、貴女方はどうして捕まえられ無いんですか。」

面弧と呼ばれた女は頭を垂れる。能面の表情も落ち込んでいる様だった。
もう一つの大福を口に入れるとまた口を開く。

「いいですか?まずこの麻縄を彼女の首に巻き付けるんです。殺してしまった場合、俺が秘孔をついて治します。」
「北斗の拳のトキじゃ無い限り、無理ですよ。」
「かと言って、俺はアミバじゃありません。殺しはしませんよ。」

時系列がおかしくなったが、どうしたらいいものかと考えるが、結局、情報収集に頼る事になった。純一の万屋は万事屋でもあり、情報収集もプロ並だ。

「んあ?俺?やだよ?」

忍とは思えない返事に、神李の指がバキバキと鳴る。

「俺は、夜に活躍するんだよ。だから、新撰組のアホ共に頼め。」




Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【ギャグ】 ( No.5 )
日時: 2014/10/21 19:37
名前: 捨駒 (ID: 8l51JBm.)

江戸の空と表記したが、ここは昔の政治の中心地、京都。
そこだけは忘れないでいただきたい。
死に物狂いで攘夷浪士を斬っている訳では無く、主に、過激派攘夷浪士の捕縛を要する組織なのだ。

だが、己の身を守る為には刀も振るわなくてはならない。
今日も、切り込み隊、一番隊隊長・沖田隊長は木刀を握り熱心に振っていた。

「ふんっ、ふっ……ふっん……ぶぁっくしょい!」

日差しが温かい為か、最近はくしゃみが止まらない。桜が満開なこの季節、外に出たいのだが、目も痒く大変だ。

「仕方がない、休憩だな……」

目を擦るとここ数日間風呂に入っていない事に気が付く。

「やっべ、フケだらけだ。土方さんに怒られる」



新撰組の屯所の門には見張りがいる。どれも厳つい顔をしている人ばかりだ。

「すみません、退いてください。土方さんに用があるんですけど。」
「あァん?入れる訳ねーだろ?」

神李も軽くあしらわれ、杏子は途方に暮れていた。

土方さんは新撰組の副長であり、何か情報を知っているかも知れない。と、神李の予想で土方に聞き込みに来たのだ。

「……刀は使いたく無いんですけどね……」

ため息をつく神李が取り出したものは、純一の愛刀・屍鬼。鉄臭い臭いがして、結構使い込まれている様だ。

「やんのか?!あん!?」

警察とは思えない程血気盛んな右の男が刀に手を当てた時だ。次の瞬間、男はふらりと後ろに倒れたのだ。そして、倒れた男の後ろから広角を少し上げたあの黒髪の男、中島が立っていた。

「コラコラ、駄目ですよ。危うく一般の方に刀を抜かせる所だったじゃ無いですかァ。」

汚いものを見る様にもう一人の男を睨むと神李に微笑みかける。神李もニヤッと笑い、刀を鞘に収め腰にさす。

「これは、これは。賀喜様ではありませんか。」
「何方かと思えば、中島さん。貴方がお出迎えとは。」

(ま、まずい……)

両者は口元は笑っているものの、目で殺意が露になっていた。どちらがいつ首を斬ってもおかしくない状況に杏子は冷や汗をかく。

どうやらこの中島。神李と同じく、周りの人物を全て自分の下としか見ないおかしな人間らしい。そういう者程同類の人間に会うと喧嘩をする。これを同族嫌悪の一種だと杏子は察した。

「ささ、中にお入り下さい。僕の知り合いと言う事にしておきますので。」
「親切に、すみませんね。」

屯所に入るなり、直ぐに副長室の前へ連れていかれる。高級そうな墨の香りがしていた。ゴミ溜めの様な仕事場とは違って整備された美しい部屋の空気は格別に違う。

突き当たりの廊下からとたとたと小走りの音が聞こえ、冷ややかだった中島の表情は元に戻り少しばかりか微笑んだ。

「沖田隊長、御苦労様です。」
「中島もね!土方さんには内緒に!」

風呂場に駆け込んで行く沖田に頭を下げる中島に神李は皮肉混じりの言葉をぶつける。

「随分と猫を被るんですね。」
「人間、その様なものですよ。」

溜め息を吐いた彼の表情はまたもやあの冷酷な顔に戻っている。こいつ、やはり猫かぶりだとつくづく思った。

いつ噴火するかも分からない両者に耐えられなくなった頃、土方は現れた。

「ん?中島、何してんだ?」
「あ、副長。僕の知り合いが少し話があると申しておられるのですが……」

「話…ね…?」と顎を触りながら杏子と神李をジロジロと見つめると障子を開ける。こくりと頷くと中島は奥へ消えていった。

「どうぞ。」

短くその言葉だけ言うと綺麗な座布団の上へ座らせる。これから何が起きるのかと、杏子は身を強張らせる。

引き締まった土方の顔に少し笑みが浮かぶ。

「ようこそ、おいでくださいました。貴殿方、近頃有名な万屋・陰陽堂の方ですよね?お会いできて光栄です。」

きゅっと目を細くし、目元にシワが浮かぶと先程までの威圧感は無くなり、何処にでも居そうな男性に変わっていた。ほっと一息吐くと杏子の鼓動の早鐘は治まる。

「ところで、話…とは?一体?」

土方に聞かれ、苺花の事を話した。引きこもりの事、どうして外に出なくなったか、情報収集をしている事、全て言い終わると土方の方眉がピクリと動く。

「…て、事なんです。」
「成る程……その甘味処は、確か、天野屋と張り合える程の……」

やはりここら辺りの治安を守っているだけあって近辺の情報に詳しい。ただでさえ引っ越してくる者が多いこの都だ。長年住んでいる杏子も分からなくなる事もしばしあった。

一通り話終わると男が二人入ってきた。

「お茶持ってきました。」
「次いでに茶菓子も置いておきますね。」

綺麗な彫刻の施された机に茶と茶菓子を並べた。茶菓子は天野屋最新のお菓子であり、その美しさが杏子の目を魅了した。
俯いたまま硬直する、いかにもひ弱そうな男。その背中を白髪の男が強く叩く。

「浅野っ、いつまで俯いてんだよ。」
「…山崎……ごめん。」

少し顔を上げ、上目使いで一礼する浅野に山崎は項垂れる。
ガクッと肩を下げた時、浅野はまた短く謝った。

「それでは。俺達はこれで。」
「…すみませんでした……」

そっと閉められた障子戸の向こうからぶつぶつと二人の話し声が聞こえた。聞こえなくなってから、湯飲みに口を近付ける。

「…残念ながら、私達は切っ掛けとなる情報は分かりません。」

ばつの悪そうな顔で土方は立ち上がると部屋を出たが、そのまま帰ってこなかった。取り残された杏子と神李が帰ろうとした時後ろから低い声がきこえた。

「彼女は、決して部屋から出られない理由があるのかもな……」

後ろを振り返ると栗毛の男が薄笑いで出された茶菓子を頬張っていた。

「アイツは、裏できちんとやってくれてるだろうよ。……ま、テメーで探すんだな……」

「……誰ですか?」※芹沢さんです。


Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【ギャグ】 ( No.7 )
日時: 2014/10/21 20:19
名前: 捨駒 (ID: 8l51JBm.)

繁華街の元となったといっても過言ではない遊郭の吉原。そことはまた違う遊郭で飲めや歌えの男と女に唾を吐いては見回った。
手持ち少ない金で遊ぼうなんざサラサラ考えてはいないが流石にその様に見られてはいるようだ。

どの女も人も同等に扱わないと、見ないようにしないとこの仕事は務まらないものだが、一人だけ違うように美しく光って見える女はいる。飼われている犬の様に匂いで人は判断しないがその女だけは匂いだけでも分かる気がする程溺愛していた。

結婚したいとか、肌を重ねたいとかその様な疚しい感情ではなく愛情を持っていた。手を大きく振り、大人びた顔からは考えられないような顔をくしゃくしゃにした無邪気な笑みを自分に向けている。

「純一!!」
「アホ!ここでは純な?」

また笑う花魁は人気も無く、呼び込みをする小柄の女だ。たまたま仕事中に助けた女でありその美しい容姿に誰もが心を奪われるだろう。だが、彼女は欲のない性格で気に入ったものにしか媚を売らない。そのためかあまり人気は出ないという。

「で?今日は?」
「…最近、妙な噂が出回っててね…クスリだから、気をつけてな。」

クスクス笑いつつも純一に手を振った。

「…忍びに心なんて持たせんじゃねえ…」

そう聞こえない様に言って、暗い空へ跳ねていった。

やはり忍として瓦屋根を音を立てずに走ることは必要な事である。口元を黒い布で隠し、辺りの建物を見回す。今日は杏子がいない為、自由に仕事が出来た。

風俗、売春関係の路地を駆け抜けて、もう一度屋根に上る。その動作を繰り返し、一際高い建物を見上げる。ここが今日の仕事場だ。

(あそこが……豚(獲物)の場所か……)

懐から、愛刀・兎爪を取り出すともう一つの刀屍鬼が無いことに気が付く。短く舌打ちをすると腰のくないを数える。

(ざっと九つ。さては、神李に盗まれたか。)

この前の遠出の時、徳川将軍暗殺の仕事を頼まれ江戸まで着くと武器をなにも持っていなかった事があった。結局は配下見つかり、口を隠していた布で首を絞めて殺し、逃げる様に帰ってきたのだ。つまり、任務失敗。

(あん時は死ぬかと思ったぜ……)

さて、と呟き走り出すと黒い雲に隠れていた月が顔を出した。少し明るくなった周囲を見ると向こうの屋根に女が居るのが見える。もしや、忍かも知れない。昔から、女の忍などいるはずが無かったのに何故、今……

仕事を邪魔されたくないという本能が働いたのだろうか。純一は女の元へ方向を変え、低姿勢のまま走り抜ける。

「かーのじょ?何してる?」

後ろに兎爪を構えて自分でも嫌になるくらい軽い口調で聞く。女は純一にも動じず逃げていった。まずいと思った純一はくないを取り出して足元へ投げつける。

「………………」
「無視だなんて、つれないな。」

近くで見ると杏子と神李と変わらない位の歳の女だった。殺すのが惜しくなるくらい綺麗な顔をしている。だが、太ももの所に卍の反対のマーク。つまり、風魔一族の紋を持っているのだ。

(何故……あの一族は初期の頃に滅びたはず……)

「……貴様……」

女がいきなり口を開く。驚いた純一は刀を落としてしまう。

「やはり、何か持っていたか。」

小声だがハッキリとこちらに聞こえる声、まさしく風魔の血筋をひく者だ。

北条五代記によると、北条家に支えた五代目風魔小太郎の声は城内の何処に居ても響いたという事らしい。

「何、命は貰わぬ。忍は見つかったら即、死ぬ等、随分と昔の考えだ。」

彼女の猫目が月に照らされ白く光る。邪魔するなと言わんばかりに睨んでいるのが純一には分かった。

「滅亡したんじゃなかったのか?小太郎さん。」
「小太郎じゃない。架乱。架乱だ。」

女は架乱(カロン)と言う。
だからと言って女でも容赦なく殺さなくてはいけない。本能が働いたのだろうか。何故か女の首に刀を近付けていた。

「……何だ?私は貰わないと言ったのだが……」
「ご、ごめん……ついな……ハハハ……」

不思議そうな顔でその場に架乱はしゃがみこむ。純一は刀をしまうと汗でとれてしまった布をまた口に戻した。

「俺は……純……それじゃ……」
「うむ。私はもう少ししてから行くので……じゃ。」

月の下での出会いはこれからの出来事を大きく変えるものとなったのだった。






あれから芹沢のアドバイスで神李と杏子は部屋の構図を徹底的に調べた。どうやら土方達も協力してくれている様だ。

「只今戻りました……あれ?純一さん、今日は寝不足ですか?」
「ん……あ……うん。」

目の下に出来たクマを純一は触ると溜め息を吐く。一体何があったのか分からない杏子は神李と共に部屋の中に入っていく。

「あ、純一さん。昨日、屍鬼お借りしましたので返しますね。」
「そこ置いといて……」

呟く様に答えるとそのまま目を瞑り寝息をたてて寝てしまった。神李は筆で額に肉と買いて満足そうに笑った。

「筋肉バスター放たれそうですね。」

起こさないように小さく言う杏子。だが、頭の中は苺花と純一のクマの事でいっぱいだった。


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