コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- なるやん、時々へたつん。【シリアス編進行中】
- 日時: 2016/01/04 11:34
- 名前: 彼方 (ID: dzyZ6unJ)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=38844
この小説はナルシスト×ヤンデレの2人の、よく分からないイチャイチャ(?)物語と、主人公×ツンデレのラブコメです……読めば分かります!!←
とか言ってますけど、なるやんの部分少なめです←
どっちかというと、へたつん、時々なるやんですw というか、その四人以外のラブコメも多めです←
気が向いた時に更新するので、更新止まったら「あ、この作者飽きたんだな…」とでも思っといてくださいw
≪2014.12/30執筆開始≫
+゜*。:゜+.゜目次+゜*。:゜+.゜
キャラ紹介>>01
オリキャラ応募用紙>>07
プロローグ1「なるへた」
>>02>>03>>04
プロローグ2「やんつん」
>>05>>06
第1話 「俺じゃ釣り合わないから」
>>10>>11>>12>>13>>14
第2話「鈍感恋模様」
>>17>>18>>21>>24
第3話「君とスポーツバッグ」
>>25>>28>>29>>30>>31
第4話「転校生トライアングル」
>>32>>33>>34>>35>>38
第5話「きっと恋は変わってく」
>>43>>44>>45>>46>>47>>50
第6話「恋心に変わった日」
>>51>>54>>55>>56>>57>>58>>59
第7話「首吊りなんかじゃ救われない」
>>61>>62>>63>>64>>65
第8話「あっかんべをあの日のように」
>>66
《祝、参照1000超え 2015.12/30》>>60
゜・†。+゜お客様゜・†。+゜
椎名さん >>08>>15すごい良いキャラありがとうございます!!!ヾ(*´▽`*)ノ
春音>>19>>26>>40ボクっ娘&可愛い系男子キャラありがとΣb( `・ω・´)グッ
むむさん>>22ハイキュー良いですよね(((
四之神綾芽さん>>36ハイキュー好きがいてうれしいです!!(そこじゃない)
正義さん>>39マトモなキャラありがとうございます!!アレンジしがいが(((((
てるてる522>>48>>52久しぶり&ありがとう!!…φ(・ω・*)
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- Re: なるやん、時々へたつん。【オリキャラ募集!!】 ( No.43 )
- 日時: 2015/12/31 00:17
- 名前: 彼方 (ID: dzyZ6unJ)
春音!陽太くん出すよ!キャラ崩壊させるよ!!設定いじくりまくるよ!!←
第5話「きっと恋は変わってく」
ことりんが転校してきてから三日後。
「ねえねえのんのんー!」
ことりんが転校してきてくれたのは嬉しい。
「のんのんってば〜」
中二の時に転校してきて、中三になる前にまた転校してしまったので、一緒に卒業できなかったから。
「それでね、のんのんっ!」
……嬉しい、のは嬉しいんだよ。でも____、
「のんのんのんのんっ!!」
____頭痛の種を頼むから増やさないでくれ。
ことりんは菜々架の席に勝手に座って、望の隣でひたすら望と喋っていた。望はことりんが嫌いではないので、楽しそうに話している。____それが命取りになるとも考えずに。
馬鹿だな、望。せっかく菜々架がことりん転校当時は手加減して、入院沙汰までは持って行かなかったのに。
「どうしよう友哉腕が痺れて動かないよっ!?」って早退したその日の放課後ぐらいの時間に、俺に悲壮な声で電話してきたことを忘れたか。
望の見舞いに行くのは面倒なので、せめて「気付け!」と念を送ってやる。
と、望は第六感で何かを感じとったのか、ぴたっと話すのを止めた。そして、うって変わって小さな声でことりんに対して言った。
「……ことりん、そろそろ、自分の席に戻るのはどうかな……?」
ことりんは疑問符を浮かべたが、
「Oh,OK」
と言って戻っていった。
その直後、菜々架が桃音と一緒に入ってきた。危機一髪、という風に望はため息をついた。
____だが望は大事なことを忘れていた。菜々架はそんなこと効果がない。何故なら、
「三澤くーん?お話があるの。ちょっと一緒に付いてきてー?」
菜々架が笑顔で手招きした。望は何が何だかわからない、という顔で俺の方を振り向いた。
俺は望にぼそっと呟いた。
「望、忘れたか?菜々架、お前に盗聴器仕掛けてんだぞ」
望は顔面蒼白になり、「どうしようどうしようオレ死んじゃう」と俺を見た。そんな顔されても俺は何もできない、とばかりに俺は望の背中を押した。逝ってこい、望。
望は悲壮感たっぷりの顔で菜々架についていった。
桃音は苦笑いしながら俺の隣に座った。
「おはよ、友哉。……望、入院しないといいね」
「おう、おはよ。そうだな、でも……、無理じゃねえかな」
むしろ入院だけで済めばいい方だ。
「そうよねー……、一緒に登校してる時の菜々架、すんごい怖かったもん。あたしまで殺されるかと思った」
その時を思い出したのか、桃音は身震いした。
と、
「……友哉くん、あのさ?」
という声が聞こえた。すこし低めだが、女子かな、とあたりをつけて振り向くと、
「…………すまん、佐藤」
男子でした。しっかり男子でした。
- Re: なるやん、時々へたつん。【オリキャラ募集!!】 ( No.44 )
- 日時: 2015/08/26 07:59
- 名前: 彼方 (ID: hzhul6b3)
俺を呼んだのは、佐藤陽太というあまり、というかほとんど接点のないやつだった。
俺は一時期、こいつを男装趣味のある女子だと思っていた。しかたないだろ、顔が女子なんだから。低めの身長に、明るい茶髪、そして何より女子みたいな大きくて睫毛の長い目。なんでこいつ男かな、と思う男子は少なくないだろう。
「なんで謝るのっ?……でね、聞きたいことがあるんだけど」
「お、おう。何だ?」
上目遣いと困っている表情のコンボは卑怯だと思う。こいつ本当に男か。
こいつは女子だけでなく、男子にも人気があるらしい。そりゃあ、こんな顔しててさらに明るく活発、とくれば、そっち系の人にもモテるだろう。
苦労しそうだな、こいつ、と変な心配をする俺。
「琴ちゃん、っているでしょ?……望くんと付き合ってるの……?」
至極不安そうに尋ねる佐藤。
接点ゼロの俺に話しかけるなんて何でだ、と思っていたが、そういうことか。恐らく本人達には話しづらく、両方と仲が良さそうな俺に聞いてきたんだろう。
「いや、付き合ってねえよ?」
そう俺が言うと、「よかったぁ……」と安堵したようにふるっと笑った。
「佐藤ー、そういうこと聞くなんて、もしかして……?一目惚れ?しちゃったっ?」
やけに嬉しそうな声で桃音が訊く。女子ってみんな他人の恋愛事情知るのが好きだよな、何でだろうか。
佐藤は「ふえっ?」と顔を赤くして必死に否定した。
「そっ、そそっ、そんなことないよぉ!ただ、ちょっと、本当にちょっと気になっただけで……っ!」
「ふえっ?」が似合う男子初めて見たぞ俺。下手な女子より反応が女子っぽい。なんだこいつ。
「へえ〜?それホント〜?何で気になるのっ?」
「えとっ、それは……っ、うう」
とうとう佐藤は真っ赤になってうつむいてしまった。こいつ、生まれてくる性別間違えたんじゃないだろうか。
桃音はわくわくしながら佐藤にぐっと顔を近付けた。
「で?ことりんのこと、好きなの?嫌いなの?大丈夫、バラしたりしないから」
「……い、言わなきゃ、ダメ……?」
来ました、赤い顔プラス上目遣いプラス涙目の三連コンボ。こいつ、全部天然だったら恐ろしいやつだな。計算でも恐ろしいやつだけど。
「だーめっ!さあさっさと吐いちゃって?」
桃音は一瞬身を引いたが、すぐに同じ調子で言った。
「うぅ……、す、好き、だと思う……。い、言ったよ!これでいいよねっ!」
赤い頬のまま少し怒ったように口を尖らせる佐藤。……俺もうこいつの性別分かんない。
「おおっ!いいねーいいねー、あたし応援す「今の話ホントッ!?」
いつの間にか望が佐藤の近くまで駆け寄って必死な形相で問いかけた。
「おまっ、菜々架はどうしたんだっ?何でここにいんのっ!?」
俺が驚いているのにも意を介さずにただ必死な顔で佐藤を見る望。
「ほ、ほんとだよ……?何でそ「ああっ……!もうホント佐藤様様だよっ!オレの救世主っ!オレ、全っ力でサポートするからねっ!!」
出て行った時とは正反対の、輝いた顔でそう言う望。
「は?お前どうしたの?ちゃんと説明しろよっ!菜々架はっ?何でお前無傷なのっ?」
俺が訳も分からず問い詰めるのも無視して、望は後ろを振り返って、後ろのドアの近くにいつの間にかいた菜々架に対して必死に早口で説明する。
「ねっ?オレはこいつを全力でサポートして何が何でもことりんとくっつけるから、そしたらもうああいう風にことりんが来ることもないはずっ!あれはオレの本意じゃないから、ねっ?」
菜々架はふーっと長いため息を吐いて、薄く笑顔を浮かべた。
「いいわ。あのアマと仲良くお喋りしてたのは望の本意じゃないってことな十分分かった。貴方、一度もアイツを庇わなかったものね」
近くで「ホントにごめんねことりん、オレの命がかかってたんだ……!」と望が呟くのが聞こえた。
そういうことか。望はあの後必死に、仲良くお喋りはしてない、あれはことりんが勝手に、とか言って説得していたんだろう。もしかしたら何かことりんを貶したのかもしれない。
しかしそのことに対して文句は言えない。
望が言った通り、間違いなく命がかかっていた。ことりんを一度でも庇ったりなんかしたら、病院行きはまず間違いなかっただろう。
「そうよね、悪いのはあのアマよね、ふふ。……でも?分かってるわよね?今後、佐藤くん関連のこと以外で貴方からアイツに近付いたら……」
その先はあえて言わずににこっと笑う菜々架。恐らく、俺、望、桃音、そして事情の分かってない佐藤ですらも思ったことは同じだろう。そう思うぐらいに菜々架は悪魔のようだった。
- Re: なるやん、時々へたつん。【オリキャラ募集!!】 ( No.45 )
- 日時: 2015/08/28 16:36
- 名前: 彼方 (ID: qi1QiRsq)
「じゃあ!佐藤をどうにかしてことりんとくっつけよう!」
昼休み。望の机に俺、望、佐藤が集まっていた。
なんで俺まで巻き添え食らうかな。俺は恨めしい顔で外を見た。今頃外ではクラス対抗のサッカーかバスケが行われているんだろう。羨ましくて仕方がない。
バシッと望に頭をはたかれた。思わず「いってえ!」と望を睨むと、望は必死さと悲壮さが入り混じったすごく真剣な顔をしていたので、黙って話に参加することにした。そうだよな、お前の命がかかってるもんな。ちょっとぐらいは真面目になってやるか。
「そ、そこまでしなくていいよ……?ぼく、琴ちゃんは見てるだけで幸せだから……」
おどおどと佐藤が口を挟む。
「ダメなの、それじゃあ!何が何でもくっついてもらわないとっ!オレの事情だから佐藤は気にしないでっ!」
望の必死さに圧倒されたように、「う、うん……」と頷く佐藤。
「あ、えっとね、佐藤じゃなくて、陽太って呼んで?ぼく、佐藤って名字あんまり好きじゃないんだぁ」
えへへ、と笑うさと____陽太。それを見て俺は思わず呟く。
「さ____、陽太の強みってその、男だか女だか分かんないリアクションだよな」
「へ?ぼく、女じゃないし、女っぽくもないよ?」
ただでさえ大きな目をまん丸くして驚く陽太。……本当にこいつ性別なんだよ。
「……ダメだ、陽太といると何か……、うん。感覚おかしくなりそう」
「ふえ?」と疑問符を浮かべる陽太に望はこそっと耳打ちする。
「気にしないでねっ?友哉、童貞だから女の経験全然なくて、女子っぽい可愛い反応に弱いだけなん「てめえ何か変なこと吹き込んでんじゃねえぞ」
俺が気にしてることを思いっきり抉ってきた望。やめてくれよ、気にしてんだからさ……。
「変なことって、事実でしょーっ?」
望は満面の笑みと共に思いっきり俺のメンタルをぶっ壊しにかかった。
「えっと……、友哉くんならすぐできると思うよぉ?」
気まずそうな顔でそう俺を励ます陽太。……俺、そんなこと言われなきゃいけないほど不憫かな。不憫なんだろうな。
視界の端ににやにやしている望が入る。……決めた、俺、菜々架にこいつ殺してもらおう。
俺がゆらっと立ち上がりながら「……俺、ちょっと菜々架に用ができたわ」と呟くと、望は途端に「ごめんごめんっ!!それだけは勘弁してっ!!」と謝ってきた。仕方ないから座ってやる。
「しゃあねえな。お前、またそういうこと言ったら菜々架んとこ行くからな」
望は深い反省の色を浮かべて「ハイ、ごめんなさい」と頭を下げた。
「あのぉ……、望くんって、菜々架ちゃんと付き合ってるの?」
「え?うん、まあね」
陽太の問いに何気なく答える望。こいつ、付き合ってるの隠してんじゃないのかと思ったが、よく考えてみれば隠してる理由が理由だから、男子にいってもなんら問題はないのだろう。
理由って言っても、「女子にできるだけちやほやされたいから、彼女がいるなんて噂広まったら離れちゃう女子もいるでしょっ?」というどうしようもない理由だが。
それは許すけどことりんのようなものは許さない、というのは菜々架は一体どういう基準なんだ、とは思う。
でもきっとちやほやしてくれる女子はファンクラブみたいなのを作っていて、特定の誰かが近づき過ぎないように牽制し合うから構わないんだろう。それに、菜々架ことりん嫌いだもんな。
「そうなんだぁ……、何かちょっと意外だなぁ。……じゃあ、琴ちゃんって、望くんのこと好きなの?」
さっきとはなんら変わりのないイントネーションで陽太が問う。本当に何気なく。だから、
「え?うん、まあ____「阿呆ぉっ!何言ってんだよ!?」
望も答えてしまったんだろう。
「え?____あっ!?」
処置無し、と俺はため息をつく。
なんでわざわざそんなこと言っちゃうかな、こいつ。これで陽太が諦めたらどうするんだ、お前死ぬぞ。
「そっか、やっぱりそうなんだぁ……。ぼく、やっぱり見てるだけで「やめて!?諦めないで頼むからっ!!」
案の定陽太は諦めそうになっていた。自業自得、だな。
「諦めなくていいと思うぞ、陽太。……こいつ、性格ゴミだからよ。良いのは見た目だけで中身クズだけど、それでもことりん落とせたんだから、陽太でも大丈夫だ」
「ちょっとぉ!?ゴミとかクズとかってひど「うっせえ。陽太がことりん諦めたらどうすんだ、お前」
喚く望の口を塞ぎ、耳元で囁く。渋々といった感じで望が黙り込んだ。
「そんなことないよ!だって、望くんって運動もできて、勉強もできて、みんなに優しくて、かっこよくて……。ぼくなんか敵わないよぉ……」
陽太が悲しそうに俯く。
だろ?やっぱオレ完璧だろ?と望が言いそうだったのでとりあえず頭をはたいてやる。恨めしそうに望が睨んできたが無視した。
「そんなことないぞ?お前だってかなりハイスペックだろ。テニス部でシングルスで都大会だっけ、行ったろ?すげえじゃんかよ」
陽太が口を挟みたげにしていたので、手で制して俺は続けた。
「まあお前が反論したくなるのも分かるけどな?こいつ外面『だけ』はいいもんな。てか、普通にかなりのハイスペックだもんな。
でも!お前はもうちょい自信持て。俺、陽太とは今日初めてマトモに話したけど、それでも性格いいってぐらいは分かっから。だから、自信もて、な?」
俺はにっと陽太に笑いかけた。
……しっかし、何で俺がここまで真剣に励まさなきゃならんのだ。これって望の役割じゃねえのか?
「自信持て、って友哉人のこと言えないよね。つーか、一番自信持つべきなのって友哉だよね」
ぼそっと望が呟く。
「うっせ、俺はいいんだよ俺は。でも陽太は自信持つべきだろ?」
陽太の方を見ると、陽太はふへへ、と笑って驚くようなことを言った。
「何か、友哉くんがモテる理由、すごい分かったような気がする」
……こんな気持ち悪いやつがモテるっていうなんて、頭がおかしいか嫌味としか思えない。ということは俺、嫌味言われたのか?
性格よさそうな陽太に嫌味言われるほど、ウザい、あるいはキモいこと言ったかな、俺。どうしよう、自覚がない。これじゃあ直しようがない。どこが悪かったんだ、一体。
「……待って、俺が今言ったことの何が一番キモかった?てかどこらへんがウザかった?」
笑顔のまま理解ができない、というように固まった陽太。
「気にしないでよ。友哉、卑屈すぎて変な勘違いたまにするから。オレも時々、ブッ飛び過ぎてて理解できないんだよね」
望が何か陽太に囁いた。陽太は少し驚いたように頷いた。……待って、今の俺本人に言えないぐらいアレだったのか?
「じゃあまずことりんが何でお前なんかを好きになったのか考えてからだな、話は」
俺は話を戻した。……だから、これは望の役割だろって。何で俺が仕切らなきゃいけないんだ。
「望、心当たりは「ないっ!オレ、しょっちゅう好きになられるだろうことを色んな人にしてるから、いちいち覚えてないねっ!」
もはや清々しいほどの笑顔で言い張る望。……ぶっ殺してえ。
「あーはいはいさいですか。……俺、そういや一回ことりんから恋愛相談受けたんだよな」
そう、中二の時にことりんから相談されたのだ。多分、望と仲が良くて自分も仲が良かったからだろう。
「あ、そうなのっ?だから鈍感過ぎる友哉がことりんが好きなのがオレって知ってたんだねっ!」
鈍感過ぎるってなんだ鈍感過ぎるって。
まあそれはいいとして。好きになった理由なんて言ってたかなことりん。確か____
「ああ、確か好きになった理由、部活の練習試合見てかっこよかったから、とか言ってたかな」
まあ、それ以前に友達になっておくのが大前提だとは思うが。
望が表情を輝かせて言った。
「それだよっ!!陽太とことりんを仲良くさせてから、陽太の練習試合、見せてあげればいいんだっ!!それでも無理だったらまた違う手を考えよう」
……ということで、ことりんと陽太をくっつけるための行動が開始した。
- Re: なるやん、時々へたつん。【オリキャラ募集!!】 ( No.46 )
- 日時: 2015/12/28 18:06
- 名前: 彼方 (ID: dzyZ6unJ)
「あの転校生の子、変な喋り方してね?」
「あ、分かるー!超うけるよね」
「てかさー、あの天然って計算でしょー?騙されてる人かわいそー」
「それ思ったー。あ、分かった!変な喋り方してんのって私ハーフなんですアピールなんじゃない?」
「何ソレ?意味分かんなーい」
「ねー!皆の気引こうとしても、それウザいだけだって気付けよ」
「ホントそれー!あっはは」
____転校してきたばかりの時、女子たちにそう陰口を叩かれていたのをボクは知っていた。
そんなことを言われても、何がどうおかしいのか全く見当がつかなかった。
だって、家族は全員自分のことを僕って言ってるし、こういう喋り方してるし。天然、なんて言われてもそもそも天然がどういう意味なのかも分からない。
あまりよく分からない言葉で言われていたが、何となく雰囲気から陰口だってことは分かった。でも、普段は皆とっても優しいのだ。
いつか、昔日本にいたイギリスの友達が「偏見かもしれないけど、日本人は表で仲良くしてても、裏ではすごい陰口言ってるから怖いよー?」と言っていた意味がようやく分かった。
分からないことだらけなのに悪口ばかり言われて、転校してから一、二週間ほどはさすがに気が滅入っていた。
「……I don't know what I should do!! Why? Why do they dislike me!?」
誰もいない屋上で、ボクは思わずそう叫んだ。もう限界だ。何でボクは嫌われてるの? ボクが一体何をしたの?
どんどんと視界が滲む。ボク、こんなに涙もろくないはずなんだけどな。それだけ堪えてるのかな、この環境。
「……あっはは、さすがハーフだねー? なんて言ってるか全然分かんないよ」
ふと後ろから声が聞こえた。涙を拭って慌てて後ろを向くと、そこには一人の男子が立っていた。
「Why you came here?」
そう訊くと、一瞬悩んで彼は「あ、分かった何聞いてるかー!」と笑顔になった。
「何でオレがここ来たか、って聞いたんだよねー?
いや実はさ、成宮が思いつめた顔で屋上に上がってったから心配になっちゃってさー?ホラ、場所が場所でしょっ?うちの学校何故か屋上出入り自由だしさーっ?」
「Why do you worry about me? You dislike me too,right?」
「………………ごめん、Whyしか聞き取れなかった。こういう時なんて言うんだっけ……」
その言葉を聞いて、初めて自分は今まで英語で話していたことに気がついた。
慌てて頭の中で翻訳して言い直す。
「At first,ボクはどうすればいいのか分からん、何で皆はボクを嫌うの?って言ったんよ。And,何でキミはボクを心配するん?キミだってボクを嫌いなんやろ?って聞いたんよ」
すると彼は途端に怪訝な顔になった。
「嫌われてる?成宮が?そりゃまたどうしてっ?」
予想外の答えに慄きつつ、ボクは言った。
「それが分からんの!ボク、嫌われるようなことしてる覚えがないけん、余計分からん!」
彼は「うーん」と悩み、思いついたように言った。
「もしかして、成宮を嫌ってるのって田部とか美原とかじゃないー?」
いつも陰口を言ってるのは、確かにそんな名前だった気がする。そう思い、頷いた。すると彼は得心したように言った。
「あぁーなるほど。……あんまり悪口って言いたかないけど、田部とか美原っていっつも誰かしらの悪口言ってるんだよー。で、すごく誇張して色んな人に言いふらすんだ。でも、飽きたら多分違う人の悪口言い出すと思うし、悩むだけ時間の無駄だねっ!気にしなくってだいじょぶっ!
ていうか、成宮すっごい可愛いし、わざとらしくない天然だし、ユーモアセンスあるから皆に好かれてるよー?
悪口言う人が全てじゃないんだから、もっと周りを見なよっ!結構皆、成宮のこと好きだよーっ?」
「…………Reary?」
……ボクは嫌われてるって思ってたけど、嫌ってたのは一部の人だけだったの?なら、ボクはこのままで大丈夫なの?このまま皆と仲良くなれるの?
「えぇっと、イエス!」
そう言って笑う彼を見て、一つ答えを出した。____いいんだ、きっとボクはこのままで。引っ込みかけた涙がまた、顔を出しそうになった。
すると彼は途端に慌てた。
「え、泣かないで!?ほら、成宮は笑ってる顔の方が何十倍も可愛いからさ、笑っててよっ!」
「……ボク知ってるよ、それお世辞って言うんやろ?」
呆れ笑うと、首を振りながら彼は言った。
「違うよっ!本当に可愛いってっ!……てか、今思ったけどオレの名前分かるっ?」
「……No」
「やっぱり?そんな気がした!オレは三澤望っ!自由に呼んでよっ!」
自由に呼んで、と言われたので、適当にあだ名をつけて呼んでみた。
「なら、のんのんって呼ぶけん!いいやろ?」
「のんのん?何か可愛い呼び方だなぁ。まあご自由にっ!じゃあオレも成宮にあだ名つけよっ!んー……あっ、ことりんっ!ことりんって呼ぶねっ!」
本当にいいとは思わず、またあだ名をつけられるとも思わず、ボクは笑った。すると、のんのんは嬉しそうに言った。
「そうそう、そうやって笑ってた方が絶対いいっ!」
____この日から、ちょっとずつのんのんが気になり出していた。
そして、恋だって気づくきっかけは、のんのんの部活の試合を見たことだった。
「三澤、ナイッサー!」
そういうかけ声を聞きながら、のんのんはサーーブをする準備をした。
今は第3セットで23対25、あと1点決めればこちらの勝ちだ。しかし相手チームは強豪校、対するこちらはそこそこの実績しかない学校だった。
そんな状況の中、のんのんは宣戦布告するように、片手で持ったボールを相手チームに向けた。
「……次のサーブ決めて、オレ達が勝つからよろしくっ!」
途端に相手チームからブーイングが沸いた。
しかしのんのんはそれを意に介さず、ボールを投げ上げた。
そして、少し助走をつけて跳ね上がり、勢いよくボールを打った。心地いい音が響き、ボールが飛んでいく。
ボールが飛んでいく先は____人の薄いコート右側。のんのんは左側に飛ばすような素振りを見せていたため、右側はあまり人がいなかった。つまり、フェイントが成功したのだ。
ボールを見て初めて、他の人たちが動き出すがもう遅い。ボールに触れる数瞬前に、ボールはコート上に落ちた。
ボールが転がる様子を黙って全員が見ていた。ボールの転がる音だけが世界のすべてになる。
沈黙が降り、それは試合終了のホイッスルが鳴るまで続いた。
鳴った瞬間、ものすごい歓声があがった。バレー部の人はもちろん、ボクも含めた観戦に来ていた大勢の女子達も、だ。
三澤は安堵したような表情を浮かべていた。そして、いきなり観客席の方へ歩き、ボクの近くまで来た。
「……ことりんっ!ことりんが来てくれたの分かったから、がんばろって思えたんだっ!ことりんがいなかったらあのサーブ、決まってなかったかもしんないっ!ありがとねーっ!」
そう言ってのんのんは、ボクに向かってにこにこしながら手を振った。その笑顔を見たとき、どうしようもなく胸が苦しくなって、頬が熱くなった。
____そっか、これが恋ってやつなんだ。そうボクは不意に思った。
- Re: なるやん、時々へたつん。【オリキャラ募集!!】 ( No.47 )
- 日時: 2015/11/13 18:06
- 名前: 彼方 (ID: dzyZ6unJ)
作戦開始、とは言っても、なかなか上手くはいかないだろうなとは思っていた。ことりんはずっと望一筋だったから。
「……そうなの?うわぁ、一緒に行ってみたいなぁ……!」
「それボクも思っとったっ!ようたん、今度一緒に行かん?」
「いいのっ?えへへ、嬉しい」
「____一体ことりんに何があったんだ……!?」
……いきなり上手くいき過ぎだろ。
ことりんと陽太は今度一緒にスイーツ店に行くという。____まだことりんと陽太をくっつけようって言い出してから1週間も経ってないんだけどな!?
「……絶対何かあったわよね、ことりん。だっていきなり『のんのん!』って言うのやめたもんね」
「……いいんだけど、何があったかすげぇ気になるよな……」
「ね……」
俺と桃音はそう顔を見合わせた。望は特に驚いておらず、当然のように振る舞っていた。……絶対何かあっただろ。
「……とりあえず、今日望問い詰めてみるわ」
「うんそうして?このまんまじゃ訳分かんないしね」
「…………んで?お前ことりんと何かあったの?」
帰り道そう望に聞くと、望は「うーん、まあ」と眉をひそめた。「んだよ、言えよ」と急かすと、渋々といった感じで口を開いた。
「全部話すと長くなるんだけどなぁー……、仕方ない、話すよ」
そう言って始めた望の話は、「何で今まで話さなかったんだよ!」というような内容だった。
「……ことりんっ!ことりんが来てくれたの分かったから、がんばろって思えたんだっ!ことりんがいなかったらあのサーブ、決まってなかったかもしんないっ!ありがとねーっ!」
中二の時。強豪校との試合終了後、そうことりんに声をかけたのを覚えている。
オレはいつもよりずっと好調だった。顧問にも「お前今日どうした」と聞かれるほど。
何でだかは自分でも分かっていた。ことりんが初めて試合を見に来てくれたのだ。それが嬉しくて仕方なくて、いいところを何が何でも見せないといけないと思っていたから。
嬉しかった理由なら分かってる。____オレはその時、ことりんが好きだったから。
きっかけは、ことりんが屋上で1人叫んでいたのを見た時だ。ことりんは自分が嫌われてる、と思っていたようで、それで悩んでいたらしい。
実際ことりんには言わなかったことだが、ことりん嫌われてたんじゃない。
可愛くて性格も良くてうざったくない天然で……と色々いいところが揃い、転校初日すぐに人気者になったことりんを妬んでいたのだ。
それで、何とか悪い噂を流してことりんを孤立させようとしていた。しかし、ことりんが孤立しかけたのはほんの1、2週間ほど。
ことりんの天然が計算じゃないことに皆気付き、今度は孤立させようとしていた子たちが孤立していった。
でもことりんは絶対に、自分を孤立させようとした子たちを恨まなかった。なんで恨まないのか、とオレが聞くと、
「Why?今は一人ぼっちやないんやし、わざわざ恨む必要ないやん」
と言ってのけた。
仲良くなればなるほど、いいところばかり見つかっていった。底抜けに明るくて、天然で、時々馬鹿で。何より向日葵みたいな笑顔が好きだった。
でも、ことりんに告白するのはすごく難しいことだってことは分かっていた。だって、オレには菜々架がいたから。
オレが中学生の頃は菜々架と付き合っていた記憶はないが、菜々架の中では付き合っていることになっていたらしい。なので、理不尽だが束縛が酷かった。
もしオレが好きなんて言ったら、菜々架はどんな手を使ってでもことりんを潰しにかかるだろう。ことりんにそんな迷惑はかけたくないから、好きなんて言えなかった。
オレがことりんを好きなのと同様、ことりんもオレを好きなのは知っていた。また、オレがことりんを好きなのをことりんも知っていた。
オレがことりんと結ばれなかったのは、間違いなく菜々架のせいだ。
菜々架がいなかったらもしかすると、イギリスへことりんが帰った後も遠距離恋愛をしていたかもしれない。
今は菜々架のことは苦手ではなく、むしろ付き合ってるぐらいだ、愛してもいる。でも、この頃はどうにも菜々架が苦手だった。
菜々架は自分の恋敵、つまりオレのことを好きな人を徹底的に潰していっていた。おかげで中学の頃、オレに告白してくる人は本当に少なかった。
それもあり、ことりんのことを嫌っているのもあり、何より束縛が酷過ぎたのもあり、とにかく菜々架が怖かった。
オレのメールや電話はもちろん、いつどこで何をしたかを全て知られている、と知った時はとにかく恐怖しか感じなかった。
一度、ことりんにそのことを打ち明けたことがある。ことりんがイギリスへ帰る直前の日だ。
その話を、ことりんは神妙な顔をして聞いてくれた。そして、しばらく間を空けて真剣な声色で言った。
「Mmm, it's scary.
____のんのん、ボクに好いとうって一回も言ってくれたことないやん?それってこういうreasonがあったんやんなぁ。きっと、ボクだけがのんのんを好いとるんやろうな、って思っとったときもあったんよ?
でも、これでボク分かった。……やけん、一回も好いとうって言わんでええから、ボクと付き合ってくれん?もちろん、遠距離にはなるけん、大変なんは分かっとる。でも付き合いたいんよ。
____って思ったんやけど、impossibleやんな。きっと隠れて付き合っとっても、バレるやろうし。やけん、ボクがそう思っとることだけ覚えててくれん?」
そう言ってことりんは、にこっと笑って小指を出した。オレが小指を絡めると、ことりんは「ゆっびきりげんまーんっ」と歌いながら手を揺らした。
そんな会話がイギリスへ帰る直前だったから、ことりんの中でのオレと菜々架の関係の認識は、そこで止まっていた。つまり、今もオレが菜々架のことを苦手だ、と思っていたのだ。
でもある日、というかちょうどことりんと陽太をくっつけよう、という話をしていた日にことりんと帰り道が一緒になった。
「……のんのん。今は菜々架のこと、どう思っとる?」
ことりんのいつもの笑顔はなりを潜め、真剣な色が浮かんでいた。
「…………今は好きだよ、菜々架のこと」
オレも真剣に返した。
昔は苦手だったけど、今は菜々架のことが好きだ。怖いくらいの執着心と束縛も、それだけオレが好きだってことだろうし。
それに、考えてみれば今まで辛いことを一緒に背負ってくれたのは、いつも菜々架だった。ことりんがいなくなって、菜々架のことを真剣に考えてみて初めて、気付いたことだった。
考えてみれば、オレのこの溢れんばかりの自己愛を全て受け止め、そして肯定してくれるのは菜々架くらいかもしれない。
それにあんな性格してるけどいつの間にか、いないと駄目な存在になっていた。
「……心の底から、そう思っとる?」
「思ってる。前は苦手だったけどね。今は菜々架がいないと駄目だなぁ」
悩まずにそう言うと、ことりんはしばらく俯いて黙った。そして、不意に顔を上げて言った。
「OK____ボク、このquestionでのんのんがどう答えるか聞いて、それで言うこと変えようと思っとったん。
____のんのん、今幸せやんな?やけんボク、のんのんのことは今、好いとる訳やないよ、好いとっただけ。……Thanks, 好いとったよ、のんのん」
花開くような笑顔をオレに見せ、ことりんは走り去っていった。
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