コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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婚約者候補とシェアハウス!?
日時: 2017/06/05 12:43
名前: ユイ (ID: QUK6VU.N)

いきなり現れた素敵な婚約者〜♪…とか、

イケメンたちと同居生活〜♪とか。

漫画とか小説とか乙女ゲームとかでよくありがちな設定。

現実的に考えて絶対ありえない!って、思ってた私が。


婚約者候補たちとシェアハウスって、どういうことですか!?



☆逆ハーレム、乙女ゲームっぽいジャンルに入るので、苦手な方はご遠慮ください☆


☆ちなみに名前をユイから豆猫に変更しました☆

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Re:柑橘系のマイペース ( No.43 )
日時: 2018/07/11 04:07
名前: 豆猫 (ID: gb3QXpQ1)

「ちょっと椅子に座ってもらっていい?」

「え、あ、うん」

私はそばにあった椅子に腰かける。

「これでいい?」

「うん。ちょっとごめんね」

椅子に座った私の後ろに回った要君は、結んだままだった左側の髪の毛のゴムをパサッと取った。

そして、机に置いてあったブラシを使って髪をとかしだす。

「要君?」

「あ、痛かった?」

「いや、そうじゃなくて、えっと……。髪の毛、してくれるの?」

「あ、嫌だった?」

「え、いや、別にそういうわけでも……」

「ん、ならいーや」

そのまま慣れた手つきで髪をとかし続ける要君。案外マイペースなんだな……。

「さっきみたいに2つにすればいい?」

「うん。ほかにもできるの?」

「ポニテとか、サイドテールとか三つ編みとか……その他もろもろ」

「へぇ、すごい……」

基本情けないことに自分ではろくに髪を結べない私。三つ編みとか絶対無理。

「要君って、美容師とか目指してたりするの?」

「いや、ぜんっぜんないよ。むしろ僕こういうの嫌いだったし」

「あ、そうなの?」

じゃあなんでそんなポーチを持ち歩いてるんだろう、と思っていると、そのタイミングで要君が話し出した。

「うちね、4人兄妹なんだけど。僕以外全員女なんだよ。頼りない姉が一人と、手のかかる妹が二人」

「あ、じゃあそのお姉さんや妹さんの髪を?」

「うん。最初は姉貴にどうにかしてくれって頼まれて、そのうち妹たちのも含めて僕の仕事になってたんだよね〜」

「そうなんだ〜」

喋りながらも動く要君の手が、ブラシを置いて、髪の毛を2つに分けた。
袋からゴムを取り出して、再び髪に手を戻す。

「花音、髪の毛柔らかいね」

「え、そうかな?」

「うん」

すると、要君の手が触れていた左側の髪の毛が持ち上げられる。それを目で追うように左から後ろを見ると、

「……甘いにおいがする」

要君が、その髪にふっと顔を近づけて、スン、と匂いを嗅いだ。

「! ちょ、要君!」

「ん?」

その毛を口元に持って行きながら、いたずらっぽく微笑む要君に、心臓がトクッと弾むのを感じる。

「も、もう、なんでみんなしてそうやってからかうかな……」

高鳴る鼓動を隠すように言葉を紡げば、要君は髪の毛から顔を離す。

「そりゃあ、花音が可愛いからでしょ」

「!!」

ドクッと、一段大きく胸が鳴る。

私が言葉を返せず黙り込むと、要君も髪を結ぶ作業を再開させた。

下手に意識しているせいで、部屋に落ちた沈黙がどこか息苦しい。

思わず下唇を噛んでいると、ふと首筋に触れた要君の指の感覚に、体がビクッと跳ねる。

「っ」

コクリと小さく息をのむと、後ろからクスクスと笑う声が耳に入る。

髪の毛を結ぶ手が時々肌に触れて、その度に胸が鳴って体が熱くなるのを感じた。

それをしばらく繰り返して、私がようやく慣れてきたころに、要君が声を発した。

「よし、オッケー」

「お、終わった?」

「うん、バッチリ☆鏡見てみなよ」

言われるままに鏡を覗き込むと、いつもより数段綺麗に結ばれた髪。そして、耳の下で結ばれたゴムより上は、三つ編みになっていた。

「わぁ、三つ編み」

「それは編み込み。言っとくけど、三つ編みより技術いるからね?」

「編み込み……」

鏡に映るその髪型は、まるでモデルさんのものみたいに可愛らしい。心なしか、私も幾分かマシに見える気がする。

「すごく素敵。ありがとう、要君」

「どーいたしまして。これくらいなら、またしてあげるよ」

「うん、ありがと」

でももうちょっといろんなことに慣れてからじゃないと、心臓が持ちそうにないな。

そんなことを思いながら、要君がポーチを片付ける様子を見ていた。

「そういえば要君、その中に入ってたビンみたいなのって、何?」

「ビン?あぁコレ?」

要君が取り出したのは、縦長の透明なガラスの容器。中には、淡いピンク色の液体が入っていた。

「香水?」

「まぁ、そんなもんかな。ヘアコロン、っていうらしいけど。いくつかあって、姉貴が何故かくれたんだよ」

「僕がこんなの使うわけないのに」という要君のツッコミに、フッと笑う。
ピンク色なら、バラの香りとかなのかな。

「ちょっと匂わせてもらっていい?」

「いいよ、はい」

ビンを受け取って、蓋を取って鼻を近づけると、漂ってくる甘いにおい。ちょっと鼻につく感じのその匂いは、やっぱりバラのものだった。

「あ〜、やっぱりバラの香り。私こういうの使ったことないな」

親戚の女の人からは、よくこんな匂いがしたっけな。

うちのお母さんはもっとこてこてに甘ったるい匂いの香水が好きでつけてたけど。

それらの匂いを思い返していると、いつの間にか要君が私の方へ近づいてきていた。

私をじっと見つめている要君に、また鼓動が速まりだす。

「か、要君……?」

絞り出した声はわずかに揺れていて、そのことに気が付くのとほぼ同時に、腕を引かれて抱き寄せられた。

「!?」

そのまま、要君にぎゅっと抱きしめられる。鼓動は何倍にも速まって、大きくなって。要君から漂う微かな柑橘系の甘酸っぱい匂いに、クラっと眩暈がした。

まずなんで今抱きしめられてるのかがわからない……!

「ちょ、要く、ん、離して……」

「だ〜め」

悪戯っぽい声で言う要君は、そのまま私の髪に顔を寄せた。

スン、と鼻を吸う音がして、体がビクッとなる。

「ん、甘い……」

「っ、かな、」

「花音はこのままでいーよ。もう十分甘い匂いだもん」

そう言って、要君はゆっくり抱きしめていた腕を離した。そして立ち尽くす私の顔を覗き込むと、クスッと笑った。

「花音、顔真っ赤。か〜わい〜」

「っも、もう!からかわないでってば!」

「ハハッ、ごめんごめん☆でもほら、僕香水臭い女嫌だからさ、花音はそのままでいてよ」

その言葉で、ああ、そういえば最初そんなこと言ってたっけ、と思い出す。と同時に、散々からかわれたことへの悔しさで、意地悪な気持ちが顔を出した。

「んー、別に要君が嫌でも関係ないし〜?今度お母さんのみたいなこってこての甘ったるい匂いの香水でもつけよっかな〜」

わざとらしい声でそう言ってみせると、要君は意外にも真面目なノリで返してきた。

「どうせつけるんならいいやつつけなよ。ほら、これあげる」

「え、わっ」

ポーチの中から取り出した、さっきの香水とはちょっと違う形のビン。要君が放り投げてきたそれを、あわててキャッチする。

手の中のそれを眺めれば、ビンの中には薄い黄色の液体が入っていた。

「それ、僕が唯一好きな香水の匂いなんだ」

「そう、なの?」

私はその蓋を取って、シュッと空気中に向けて吹きかける。手で仰いでその匂いを嗅ぐと、ふんわりとした、爽やかな柑橘系の匂いがした。

その甘酸っぱい匂いが、さっき要君から漂っていた匂いと重なる。

「もしかしてこれ、要君もつけてる?」

「うん。よくわかったね?」

「だってさっき……」

紡いだ言葉が途中で途切れる。抱きしめられた時の感覚がよみがえって、なんだかまた気まずくなった。

言葉を切った私を見ながら、特にそこには触れることなく、バラの香水のビンをポーチにしまった。

「ま、とにかく、それあげるからさ。香水つけるんならそれつけなよ」

「え、でもこれ、いいの?」

「僕部屋におんなじの持ってるから」

「あ、ありがと……」

私は手にしていたビンを、机の空いているスペースに置いた。

「じゃ、僕部屋に戻るね」

「うん。髪と香水ありがとう」

「どういたしまして。……あ、そうだ」

何かに気付いたように、ドアの方に向けていた身体をもう一度こっちへ向きなおらせる要君。何かと思うと、また私の方へ近づいてくる。

「ちょ、ま、今度は何!?」

身構える私。が、お構いなしな要君は、私の顔の横にそのきれいな顔を近づける。



ふっ。




「!?」

私は首筋……うなじの位置を押さえて飛び退いた。

要君が、そこに息を吹きかけたから。

「何!?」

「そこ。その香水、別に髪の毛用じゃないから。つけるんならそこにかけたらいーよ☆」

「じゃあね〜」と、すぐ身をひるがえして出ていってしまう要君。

パタン、と扉が閉まって、静かになった部屋で、私は首筋を押さえたまま立ち尽くしていた。

「ホントに、何なの……」

一気に襲ってきた脱力感に、私は椅子に座りこんだ。



甘酸っぱい匂いの彼は、どうやら相当マイペースらしい。



Re: 婚約者候補とシェアハウス!? ( No.44 )
日時: 2016/07/10 14:03
名前: 蜜柑 (ID: SUkZz.Kh)

赤毛ざると花音ちゃんのやりとりやっぱ面白いww

ひそかに登場するの楽しみにしてるww

あと、要くん結構好きかもしれない…

続き楽しみすぎる!!

更新頑張ってね!

Re: 婚約者候補とシェアハウス!?[テスト終了、更新再開!] ( No.45 )
日時: 2018/07/11 04:07
名前: 豆猫 (ID: gb3QXpQ1)

私は赤毛猿とのやり取りネタを考えるのに疲れた……。

要君は薄くなってたのをなんとか復活させようとしてたらだいぶ長くなって疲れた……。

他のキャラとのストーリーネタ考えるのにも疲れた……。

結果:とにかく疲れた

蜜柑が更新してくれたらそれを励みにできるんだ、早く更新してくれ……!

PS.さっさと更新しないとこの小説の更新は終了する恐れがあります。

Re: 婚約者候補とシェアハウス!? ( No.46 )
日時: 2016/07/10 20:29
名前: 蜜柑 (ID: SUkZz.Kh)

や、やべぇ早く更新しなくちゃガタブル

気になってたんだけど、Psってどういう意味?

Re: 婚約者候補とシェアハウス!?[テスト終了、更新再開!] ( No.47 )
日時: 2018/07/11 04:08
名前: 豆猫 (ID: gb3QXpQ1)

おうさっさとしろよ(脅し気味)

PSっていうのは手紙とかで使う、postscriptっていう英語(←追伸っていう意味)の略。要するに補足的なものだよ。




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