コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ベスティア・ラッコント
日時: 2015/07/27 23:04
名前: いろはうた (ID: 2wn.vvKF)



すべては、あの青い夜に始まった


私の復讐は始まった


あなたの瞳に魅入られた


殺意あふれる琥珀の瞳に


恋するように


狂うように






  獣
ベスティアのように

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Re: ベスティア・ラッコント ( No.25 )
日時: 2016/01/19 00:29
名前: いろはうた (ID: 2wn.vvKF)

そこは、すべてが闇色に染まっていた。

吸い込まれてしまいそうなほどの深い黒。

その者はすっと瞳を開いた。

その視線は虚空をしばらく見つめている。

やがてその者はぐっと目を細めて睨むように虚空を見つめた後、その視線をひざまずく黒髪の少女に向けた。


「強い、霊力を感じる」


中性的な声が空間にぽつりと落とされた。

黒髪の少女は何も言わない。

ただ黙って膝をつき、頭を垂れている。


「間違いない。

 ……彼女だ」


確信に満ちた声。

その形の良い薄い唇は、三日月の形に弧を描いた。


「来る。

 彼女はきっとここに来る」


楽しそうに、噛みしめるように、確かめるようにその者はつぶやいた。


「楽しみだ。

 本当に、楽しみだよ。

 私はこの時を何年も待っていたのだから」

「……どうなさるおつもりですか」


黒髪の少女が初めて口を開いた。

ひどく平坦で感情が一切抜けた無機質な声。


「どうもこうもない。

 彼女が来るのを待つだけ。

 彼女が来たら、その時どうするか考えよう。

 そうすれば待っている間も楽しい」


歌うようにそう言うと、その者は、楽しそうに小さく笑った。

闇の中でこそ輝くその瞳。

瞳孔が獣のごとく縦にさけた琥珀の瞳だった。

Re: ベスティア・ラッコント ( No.26 )
日時: 2016/02/21 12:04
名前: いろはうた (ID: 2wn.vvKF)

*「なんじゃこの狭苦しく貧相な部屋は」

「貧相で悪いけど、これが私の部屋ですー!」


学校の寮の一部屋であるナタネの自室は、木造のシンプルな作りで、机とベッドしかない。

ナタネの自室に招かれるなり失礼な発言をする精霊を軽くにらむ。

空中でふんぞり返っている彼女は果てしなく偉そうだ。

しかし、その腕を組んでナタネを見下ろすその恰好が妙に様になっている。


「そういえば、あなたの名前、聞いてなかったな」


硬いベッドにどふっと腰かけるとナタネは彼女を見上げた。

精霊は普通は宙に浮いている。

その身に宿る霊力のみで体を構成しているため、非常に軽いのだ。

嵐雲色をした瞳が嬉しげに輝く。


「よくぞ聞いたな娘!!

 わらわは由緒正しき、いにしえの巫女一族、影水月が一ノ娘、ハルナじゃ」

「へぇー巫女さんだったんだぁ……」


体内に膨大な霊力を宿す人間の魂が、若くして亡くなった場合、

ごく稀に精霊へとその魂が具現化することがある。

その者の前世が、彼女のように、いかにも霊力を持っていそうな職業についているものも多いが

ごく普通の一般人でも精霊にはざらにいる。

しかしながら、そうなると、この精霊が身に付けている古風な和服も、古めかしい口調にも合点がいく。

一ノ娘、ということは大きな一族の長女である、ということだろう。

巫女一族のトップだった、ということだ。

この偉そうな態度にも納得がいった。

しかし、なにかひっかかる。


「名前、ハルナ、だっけ?

 私は、ナタネ、っていうの。

 よろしく!!」


そこまで言ってから、もうひとつ聞いていなかったことを思い出した。


「あ、ねぇねぇ。

 ハルナって霊質、なに??」


霊質というのは霊力の性質のことだ。

霊質は、火や水、木、風など自然界に存在するものが多い。

Re: ベスティア・ラッコント ( No.27 )
日時: 2016/02/21 13:15
名前: 美奈 (ID: UIQja7kt)

お久しぶりです、美奈です。...といっても、覚えていらっしゃるでしょうか...笑
以前、私の「俺の恋敵は憎たらしい式神だった」にコメントして下さいましたよね!
やはりいろはうた様の作品は秀逸ですね...一番はじめの文章から、ぐぐっと引き込まれました。選ぶ言葉が美しい!いろはうた様の脳みそをレンタルしたいと本気で思いました。
更新楽しみに待っております!

Re: ベスティア・ラッコント ( No.28 )
日時: 2016/02/22 17:26
名前: 成宮 理斗 (ID: /M2Jvana)

いろはうた様、初めまして。風花 彩花と申します。

私、実は「ナメコとワカメのふらいあうぇいっ」の所から閲覧させて頂いておりまして……






厚かましくもいろはうた様の、大 ファン ! なのでありますっ!!


すいません。ちょっとテンションおかしくなりました。
けどやっぱり文才の差がすごいですね。私なんか足元どころか立っている地面にも届きません。

カキコで有名な作家さんもたくさん来ていらっしゃいますし、もうすごい以外言う言葉がありません。



今回の作品もとっても面白かったです。

これからの展開がすごく楽しみで、期待してます!

更新頑張って下さいね!

Re: ベスティア・ラッコント ( No.29 )
日時: 2016/02/23 18:21
名前: いろはうた (ID: n8TUCoBB)

美奈様!!


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
来てくださってありがとうございます!!
これでもかというほど雄たけびをあげてしまいました(笑)


こちらの話はシリアスな展開が繰り広げられまくっておりますが、あくまでコメディなのです。あくまで!!(泣)


どうでもいいことなのですが、いろはうたは現在フェリーの上で返信をさせていただいております(笑)
忙しすぎて、もはや船の上で書き始めています……
いやぁこの一年あまりの忙しさにろくにカキコを更新できませんでした……( ;ω; )


コメントありがとうございます!!




風花 彩花様!!


はじめまして!!
ようこそお越しくださいました!!


なななななな、なめわかの時から読んでくださっているのですか!?
身に余る光栄でございます!!!!!!!
か、感動!!いろはうた感動しました!!


やっぱり、一年ろくに書いていないと、知らない作家さんが沢山増えていらっしゃって
若干心細さと寂しさがあったのですが、このような応援コメントを頂けると
めちゃくちゃうれしいです!!!!


コメントありがとうございました!!



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