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- ベスティア・ラッコント
- 日時: 2015/07/27 23:04
- 名前: いろはうた (ID: 2wn.vvKF)
すべては、あの青い夜に始まった
私の復讐は始まった
あなたの瞳に魅入られた
殺意あふれる琥珀の瞳に
恋するように
狂うように
獣
ベスティアのように
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.15 )
- 日時: 2015/08/21 13:00
- 名前: いろはうた (ID: qgDGZVdh)
〜用語説明〜
精霊……生前に膨大な霊力をその体内に有した若くして亡くなった人間の魂が具現化したもの。
その身体は霊力の霧によって生成されており実体は無い。
耳がとがっている、裸足、宙に浮かんでいるなどの特徴から普通の人間と区別する。
容姿が非常に整っていて、人間離れした髪の色や瞳の色をもつものが多い。
霊質……霊力の性質のこと。
人によって違い、基本的に霊質は一人につき一つしかない。
精霊使い……精霊と協力して戦う霊力を体内に宿す人間の呼称。
基本的に自分の霊質と同じ精霊一人と契約を交わし、
精霊の力を貸してもらう。
霊的な術だけでなく、体術にも優れていなければ一人前にはなれない。
詠唱……力のある言霊の羅列のこと。
これを詠うことによって、精霊の力を借りた霊的な術を発動することが出来る。
詠唱が短ければ特別な霊気を帯びた武器を生成することが出来る。
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.16 )
- 日時: 2015/09/02 16:27
- 名前: いろはうた (ID: Rj4O5uNk)
*暖炉の炎がゆらゆら揺れる。
柔らかな温かさに包まれた室内にナタネは立っていた。
彼女は木製の床の上に白いチョークで描かれた魔方陣の中に立っていた。
そのすぐそばにはナタネが立っている物よりも少し小さな魔方陣が描かれている。
これは精霊と契約をするための術式だ。
精霊使いとしての最初のパートナーがこれで決まる。
女性だろうか。
男性だろうか。
そもそも自分の霊質はなんだろう。
炎だろうか。
水だろうか。
土だろうか。
もしかしたら、隣に立っているナギ校長先生と同じ風の霊質なのかもしれない。
心が躍る。
契約の儀式を始めるナギの了承を得るため、視線だけでちらりと彼女を見やる。
美しい真っ白な白髪に青い瞳。
その青さと白さは痛いほどに鮮やかでどこか人工的ですらあった。
あの時より、もう十年経とうしているのに、彼女の容姿は若々しいままだ。
その隣に浮いているのが彼女の契約精霊、ハヤテだ。
黒衣の着物に身を包んだ凛々しい若侍の容姿を持つ風の精霊。
流れるような紺の髪を頭の上の方で束ねていて、静かに紺の瞳を伏せる姿なんかもう絶品すぎて
鼻血を吹きそうである。
そう。
精霊たちはみな若く美しい容姿を持つ者が多い。
また髪色や瞳の色なども霊力によって通常とは異なる異質な色なのだ。
それは人間である精霊使いも同じで、徐々に自分の契約精霊の霊力の色に染まっていくらしい。
「……始めなさい」
冬の風のように静かな声でナギがつぶやいた。
深く息を吸う。
始まる。
契約の儀式が。
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.17 )
- 日時: 2015/10/20 21:38
- 名前: いろはうた (ID: 4xHshXk8)
*すうっと息を吸い込む。
鋭く冷えた空気が肺の中に入り込み、それはやがて唇の隙間から吐き出されて、歌となる。
契約詠唱という言葉に力を宿す特別な歌に。
体内で十分に霊力を練り上げそれをのどまで押し上げる。
風もないのに髪がふわりとゆれる。
ナタネは目を見開いた。
『Calje ancient lu vajyuna
詠え 古 の 契約歌
Meshia Vana sona madelata nine lu kirukesse
我が 身 に 宿りしは 汝 の 欠片 』
変化はすぐに表れた。
体内からにじみ出る霊力が黄金の霊力の粒となって具現化しだしたのだ。
初めて見る己の霊力の色に心が躍る。
黄金の霊力なんて初めて見る。
いったいどんな霊質なんだろう。
土にしては明るすぎる。
火にしては色が薄すぎる。
本当にどんな霊質なんだろう。
想像もできない。
自然と口角が上がるのを感じた。
ナタネの霊力はくるくると渦をまきながら、やがてもうひとつの魔法陣のほうに集まりだした。
きらきらと輝く金の粉のような霧状の霊力はやがて人の姿を取り始めた。
しかし、うまく形が定まらず、もどかしそうに空気中を漂っている。
ナタネの表情に少しずつ焦りが見え始めた。
おかしい。
いくら霊力を放出しても、精霊が呼び出されない。
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.18 )
- 日時: 2015/11/16 23:54
- 名前: いろはうた (ID: 2wn.vvKF)
ギリリと奥歯を噛みしめて、体中の力を根こそぎ抜き取られるような感覚に耐える。
まだだ。
まだ、足りない。
風もないのに髪が躍り、制服がはためく。
これくらいでは、足りない。
妹を探し出すには、復讐を遂げるには、この程度乗り越えなくては。
ナタネはずっと一人だった。
幼い頃の記憶が、大切なものを失う痛みを植え付けて、ナタネの人間関係に影響を与えていた。
失ったら、自分が痛いだけ。
それを知っているからこそ、もう一歩踏み込んだ親しさを他人に向けられない。
決して人に冷たくしているわけではない。
むしろ、授業では明るくおっちょこちょいな生徒で通っている。
しかし、どの生徒とも、薄壁を一枚隔てたような接し方をしていたのだった。
でも、もし、精霊と契約したら。
きっと。
消えない。
ずっとそばにいてくれる。
寄り添ってくれる。
そうだ。
本当は、復讐とかよりも。
そんな存在を。
私は。
「ほしい……」
うめきにも似た願いが唇の端から零れ落ちたとき、魔法陣いっぱいに光が満ちた。
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.19 )
- 日時: 2015/11/17 16:55
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: hYCoik1d)
- 参照: http://www.kakiko.cc/mydesign/index.php?mode
前に一度別小説にコメントをさせて頂いた者です←
いろはうたさんの小説はやっぱり1話分でもしっかしていて凄いなと感じました!!
今回のこの小説も凄く面白くて...あっと言う間に読めました♪
続き楽しみにしてます(^O^)/
頑張って下さいね〜。
シリアスも多かったけど凄く自分好みでしたぁッ!!//
byてるてる522
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