コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 月から来た猫
- 日時: 2016/07/10 10:18
- 名前: 瑞樹 (ID: Lnsp.uM2)
ザー...ザー...
上から降ってくる滴が、傷だらけの体に容赦なく打ちつける。
痛い
痛い
倒れて動かなくなった体を必死に動かそうとする度に激痛が走り、もう動かすことすら諦めてしまった。
このまま僕は、死ぬのだろうか。
___ああ、眠たい。
だんだんとまぶたが落ちていき、完全にまぶたが閉じようとした、その時。
ふいに滴が止み、僕は何者かによって優しく包み込まれた。
「かわいそうに」
浮遊感を感じ、抱き上げられたのだと理解する。
「もう、大丈夫だよ」
優しく、どこか切ない声と共に頭を撫でられる感触に、閉じかけたまぶたを必死に持ち上げた。
声の降ってきた方向に目をむけると、心配と慈悲に満ちた目と、目があう。
へにゃり、と安心させようとするかのように笑う、僕を助けた少女に心臓がどきりとし、顔に熱が集まる錯覚に陥った。
"ありがとう"と、せめて伝えたくて僕は口を開いた。
「にゃあ」
......そうだ、僕は猫だった。
*
初めまして、瑞樹と申します。
小説を書くこと自体、滅多にないので文章が拙くなるかもしれません。ていうか、なります。
更新も、とても遅いです。
それでも、どうか温かい目で見守っていただけると嬉しいです!
コメント大歓迎です。
これからよろしくお願いしますm(_ _)m
- Re: 月から来た猫 ( No.23 )
- 日時: 2016/07/10 10:17
- 名前: 瑞樹 (ID: Lnsp.uM2)
「____先日のUFOと見られる船のような物体に相次ぎ、昨日、同じ形状の船のような物体が落ちてきたところを発見されました。
現在専門家によって、関連性について調べられています。
次のニュースです。昨日、謎のイケメンが街を賑わせ_________」
くわぁと欠伸をしながらテレビから流れてくる音を右から左に受け流していると、台所から食欲をそそる匂いが漂ってくる。
暫くして台所から足音が近づいてくるとともに、愛しくてたまらない声が降ってきた。
「あれ。夜空、起きたんだね!」
目の前に餌皿が置かれ、猫用のご飯が注がれている傍らそっとちはるを盗み見た。
どうやら、熱は下がったようだ。
血色のよい顔を確認出来て安心していると、視線に気づいたのか、ちはると目が合った。
「はやくお食べ」
いつの間にか満タンになっていた餌皿を前に、促されるままご飯を口に入れる作業を繰り返す。
「...夢だったのかな」
ふと聞こえた声に顔を上げると、ちはるは考え込んだ様子で僕を見ていた。
首を傾げてみてもちはるの反応がないので、かなり重要な考え事らしい。
「にゃー」
満腹感に睡魔が襲ってきていたところに突然、自分より少し高い猫の声が響いた。
警戒心をあらわに全身の毛を逆立て威嚇しながら辺りを見回すと、窓ガラス越しに白い猫と目が合った。
ちはるもそれには気づいたようで、窓に小走りで近寄り、窓を開け放った。
「どうしたの?白猫ちゃん」
白い猫はおもむろに部屋に足を踏み入れると、ちはるには目もくれず一直線に僕に走りよってきた。
「にゃー!」
いきなり僕の襟首をくわえて、持ち上げると、再び一直線に窓まで全速力で駆けていく。
「待って!夜空を連れてかないで!」
ちはるが僕の方に手を伸ばしているのを横目でちらりと見えたが、白い猫が僕をくわえたまま窓から飛び降りたので、一瞬しかちはるを見ることができなかった。
「にゃぁ!!」
待て!離せ!何をするんだ!
必死に声を荒らげるも、白い猫は素知らぬ顔で_______むしろ、何か焦ったような
表情を顔に浮かべながら_______路地裏や大通りを駆けていく。
次第に抵抗する気力も失せ、されるがままに白い猫に身を委ねていた。
- Re: 月から来た猫 ( No.24 )
- 日時: 2016/07/10 22:02
- 名前: 桧 譜出子 (ID: DjQ11j/o)
お久しぶりです。瑞樹さん。
(私が勝手にお久しぶりしていただけですが…。)
千陽ちゃんの件、失礼しました!
頭では分かっているんですけど…。
時々やっちゃうんです。こういう初歩的なミス…。
「千陽」って書いてちはるですよね…。
ちはる、ちはる、ちはる…。
よし、覚えたぞ!
あの…。本当にすみませんでした!
少しの間違いでも、自分が作り出したキャラを間違えられるのって気分のいいことではないですよね。
気分を害してなければ、これからも仲良くしてくれると嬉しいです。
- Re: 月から来た猫 ( No.25 )
- 日時: 2016/08/10 17:33
- 名前: 瑞樹 (ID: Lnsp.uM2)
桧 譜出子 さん
いや、全然気分害してないので大丈夫ですよ!
たしかに、あまりこういう読みの名前ってなかなかないので、間違えて当然だと思います(笑)
こちらこそ、これからも仲良くして欲しいです
よろしくお願いします!
- Re: 月から来た猫 ( No.26 )
- 日時: 2016/08/10 17:39
- 名前: 瑞樹 (ID: Lnsp.uM2)
どれ程の時間が経過したのだろうか。気づけば日が傾き、そろそろ月が姿をあらわす頃だろう。
白い猫も体力が底をついてきたのか、だんだんと速度を緩め、それでも僕の襟首を離さないまま辿り着いた先は、この辺りで一番の高さを誇る丘の上だった。
ようやく白い猫は僕を解放し、僕の顔を覗き込むように目の前に座り込んだ。
______チェーロ
突然降ってきた、もう2度と呼ばれることのないと思っていた名前に目を大きく見開き思考が停止する。
_______チェーロ
確かに、
白い猫の口が、
「会いたかったわ、チェーロ。
ずっと、...ずっと、会いたかった」
いつの間にか月が昇り、僕達を月の光が眩いくらいに照らしていた。
視線がだんだん高くなり、向かい合う“彼女”と目が合う。
嗚呼、なんてこと。
恐らくあの時の戦いで、綺麗な肌に何本も赤い線が走っている。
指先で優しく赤い線に触れ、次に頬に手を伸ばした。
ここにいる。___存在している。
ずっと、傍に居たヒトが。
「ステッラ....ッ!」
強く抱き寄せ、生きているということを実感する。
ステッラも僕を抱き返し、暫くしてようやく手を離した。
「あの時の約束、果たせる日が来たことを、嬉しく思いますわ」
_____ステッラ。もし、チキュウに行くことが出来るのならば、その時は僕と一緒に来てくれないかな
_____ええ、喜んで。チェーロと一緒ならどこへでもついてゆきますわ
記憶に蘇る、まだ幼き日の約束。
ついに叶わなかったと諦めていたことが、叶う日が来たんだ。
「でも、何故ステッラは地球に来ることができ、僕の場所がわかったんだ?」
ステッラは、表情に陰りを見せ、僕に背を向けた。
「...あの日起きた戦争は、激闘の末フォルトゥーナ王国に勝利の女神が微笑みました。
絶望的だった戦局も、なんとか立て直すことができ、敵を追い込み壊滅状態にさせました。
ですが、ソーレ様は自ら敵将の首を討ち取りに行かれ、そして相討ちに...」
母様...。
母様は、きっと先陣切って、まるでついてきなさいというように皆を引っ張っていったのだろう。
「そして今、生き残った民や王国の中枢にいた者達が王国の建て直しや、経済面での運営の見直し、他国との連携を図るため協定などの作成に追われています。
私が地球に来れたのは、方舟が秘密裏にもう数台作られていたからですわ。万が一の万が一に備えて。
チェーロの場所は、まぁ説明すると厄介なので、愛の力、とでも言いましょうか」
そこまで言うとステッラは振り返った。
目元をよく見たら泣いていたのか、赤く充血していることに気がつく。
僕が何かかける言葉を探しているうちに、先にステッラが口を開いた。
「私がチェーロを探していた理由はただ1つ。
生き残った者達がみな望んでいることです。
...ところで今、王国には何か足りないものがありますわ。
それがなにかおわかりでいらして?」
足りないもの...?
首を捻ってもなかなか出てこない。
「...食料だろうか。さきの戦争でみなが作っていた農作物がダメになってしまったとか?」
ステッラは首を振った。
「食料のことなら安心してくださいまし。
長年手を取り合っていた隣国から大量に寄付してくださって、その面では心配いりませんの。
_____王、ですわ。私たちが望んでやまないものは。
しかも、もう私たちの中で王は決まっておりますの。
ここまで言えば、大体察しがつくでしょう?」
「......僕、か」
「そう、そうですわ。
だから、念願の地球に来たばかりで本当に申し訳ないけれど。
___チェーロ、あなたを月に連れて帰ることが私の役目ですわ」
そう言ってステッラはふわりと笑った。
- Re: 月から来た猫 ( No.27 )
- 日時: 2016/08/12 18:34
- 名前: 桧 譜出子 (ID: DjQ11j/o)
瑞樹さん、心が広すぎです!
本当に、このサイト上でできたお友達が瑞樹さんでよかったです。
ではでは、これからもよろしくお願い致します!
(千陽ちゃんは、こんなに優しい人に書いてもらえてよかったね!!)
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